6日目 休み
おはようございます。
今日の天気は晴れです。
お腹の大合唱で、いつもより早く目覚めました。
昨日の馬車に乗った後の記憶がありません。
なので夕飯を食べた記憶もありません。
シェルが来るにもまだ早いので、マジックバッグを漁り、チョコバーとカロリーバーを一本ずつ取りだし、カロリーバーを開封してかじる。
この世界の食事を食べ続けた結果、多少は顎が鍛えられたのか、前世で食べた記憶よりも、大分柔らかく感じる。
モソモソ食べていると、視線が。
ソラとハクが並んでこっちを見ている。
2匹してジーーーと見てくるので、試しにカロリーバーを少し割って、掌にのせて2匹の前に出してみた。
ソラはフンフン匂いを嗅いでからパクリと食べて、ハクは触手でツンツンしてから体に取り込んだ。
更に見てくる2匹に、さっきより大きめに割ってあげてみる。
2匹共すぐに食い付いて、それで満足したのか、2匹で遊び始めた。
普段俺が皆と食事をしていても、全く興味を示さずに、俺の浄化した魔物か魔力だけ食べてたのに、なぜカロリーバーに反応したし?
ギャル男神の神力?とやらが入っているのだろうか?
俺は残ったカロリーバーを食べきって、水魔法で出した水をのむ。
何だか満足してしまったので、チョコバーは次回に回そう。
それでも時間が余ったので、2匹を眺めながらボケーとする。
昨日は濃いい1日だった。
俺が見た範囲では、死人は出ていなかったが、あれだけの戦闘で、一人の死人も出ていないと言う事は無いだろう。
それでも負けなかった、戦闘後には多くの人が笑ってた。
この世界はクソバカダ女神に好き勝手されたけど、そんな事には負けないと思えた。
感情も乱高下して、今は何もする気がおきない。
俺がボケーっとしてる間に、シェルが部屋に来た。
モコモコの半袖着ぐるみを着せられて食堂へ。
昨日の大規模討伐戦の余波か、皆もどこかボンヤリとしている様に見える。
ユーグラムとディーグリーも来ていて、二人もいつもより緩い雰囲気。
注文を済ませ、周りを見るともなしに見ていると、入口に顔を出した生徒会長。
焦ったような顔をして、食堂内を見回している。
目的は二股女だろうか?
生徒会長は、アールスハインを見付けたのか、早足でこっちに向かって来たが、俺が無意識で張っていたバリアに阻まれて、近付いて来れない。
バリアをバンバン叩くので、アールスハイン達も気付いて、暫く眺めた後に、バリア内に入れる様に頼まれたので、入れて上げたら、
「貴様ら、リナをどこへやった!」
開口一番そう叫ぶ。
これ入れない方が良かったんじゃない?とアールスハインを見ると、アールスハインは能面のような無表情で生徒会長を見ていた。
「何なのさいきなり~、リナ?意味分かんな~い」
「貴様らがリナを隠したんだろう!」
「知らないし~、それと今、自分が誰に無礼な口きいてるのか分かってる~?」
ディーグリーが生徒会長に答えているが、全く意味が分からない。
二股女が居なくなったのが、なぜ俺達のせいにされるのだろうか?
ディーグリーの言葉に、ハッとなった生徒会長は、
「……………………アールスハイン王子、申し訳ありませんでした。お尋ねしたいのですが宜しいでしょうか?」
「ハウアー殿のお探しの令嬢の行方に心当りは無いが?」
「本当ですか?昨日の夜はどちらに?」
「主をお疑いのようですが、何か根拠が有っての事でしょうか?ただの憶測で王子である我が主を糾弾しようとされるなら、こちらもそれなりの対処をさせて頂きますが?」
シェルが生徒会長の前に立ち、見下すように言えば、
「い、いや、疑っているなどとんでもない!ただの質問だろう!」
「主は知らないと申しましたが、それでも昨夜の行動をお尋ねになりましたよね?」
「そ、それは、しょ、少々動揺していて、失礼な態度を取った事は、申し訳なく思っている」
しどろもどろに言い訳をする生徒会長。
アールスハインが片手を上げると、シェルが軽く頭を下げて席に戻る。
「私達の誰も、彼女の行方に心当りは無い、他を当たるんだな」
「はい、申し訳ありませんでした」
生徒会長は、しおらしく謝って離れて行ったが、最後にチラッと睨んでいったのを、全員が見ていた。
「何なんですかねあれは。あそこまで愚かな男とは知りませんでしたよ」
ユーグラムが溜め息混じりに呟けば、ディーグリーも同意するように、
「ほんとにね~、いくら何でも周りが見えなさ過ぎ!元々挑発には乗りやすかったけど、彼女に会うまではあそこまで酷くは無かったのにね~?キャベンディッシュ王子とも無駄に張り合ってるし!三年にしては大人気無さすぎ~!」
「所でその彼女ですが、行方を眩ませたとか、どう言う事でしょう?」
「………………彼女が居なくなって一番大騒ぎするだろう兄上が居ない所を見ると……」
一同無言。
「取り敢えず、一旦城に戻って確認が必要だな。ただ退学になって男爵家に戻された可能性もあるのだし」
「お供しても宜しいでしょうか?私も気になるので」
「はい、俺もご一緒したいです!」
「あぁ、かまわない。食事が済んだら城に向かうが、予定は大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「俺も予定は無いで~す」
丁度食事も届いたので、ゆっくり食べた後は、学園の馬車を借りて城へ。
城門では、見慣れない馬車で来たアールスハインに、門番さんが驚いていたが、問題なく入れた。
連絡していなかったので、デュランさんのお迎えは無かったけど、騎士さんの案内で部屋に通された。
メイドさんが淹れてくれたお茶を飲んでいると、王様と宰相さんが来た。
「どうした?連絡も無く急に呼び出すとは、アールスハインにしては珍しいな」
「忙しいところすみません。学園から元聖女が居なくなったと聞いて、男爵家に戻されたのかと、確認に来ました」
「…………そのような報告は受けておりませんが?」
宰相さんが、眉間に皺を寄せて言った。
王様も難しい顔をしている。
「学園からは、近日中に退学処分とすると、報告は受けているが」
「その報告は私も受けておりますが……元聖女が居なくなったと言うのはいつの事ですか?」
「聞いた話では、昨日の夜から姿を見かけていないとか」
「監視の任務についている者からの報告もありませんね、昨日の大規模討伐戦に乗じて何事かが起こったと言う事か?」
「確か、監視に当たっていた者も半数に減らしたんだったか?」
「はい、前兆の無い突然の魔物の大氾濫でしたので、急遽動員されました」
「確認はしておりませんが、兄上の姿も見当たりません。元聖女が居なくなったと知れば、兄上が探さないわけは無いので、騒ぎになっていない所を見ると………」
王様と宰相さんが無言になる。
バターン
ドアを壊れそうな勢いで開けて入って来たのは、将軍さん。
「おうおう、集まってるな、今日は何事があった?」
「騒々しい男だ、討伐の後処理に行ったんじゃなかったのか?」
「ああ、それはイングリードと代わって来た。大体の事は分かったからな」
「やはりあのドラゴンが?」
「そのようだ。ドラゴンが倒された事で魔物が退いていった事からも予想はついていたがな!おうケータ様よ!昨日は大活躍だったな!あの魔法には度肝抜かれたぞ!思わず笑っちまったよ!アハハハハ」
大笑いしながら、背中をバンバン叩かれて、アールスハインの膝から落ちる。
加減はしてくれたのだろうが、力が強すぎるのと、俺が軽すぎるので軽く飛ばされる。
アールスハインがキャッチしてくれたので無事だったが、
「悪い悪い、加減を間違えた!昨日の大魔法を見たもんで、もっと頑丈なもんかと思ったぞ!アハハハハ」
「お前それは謝っとらんだろう!まぁいい、それよりも今の話だ。端的に言うと、元聖女が居なくなった。おそらくキャベンディッシュ王子が関わっている」
「は?見張りがついてたはずだろう?」
「昨日の戦闘で人数が半分になった隙を狙われたのかもしれん」
「そんな柔な鍛え方はしておらんが?」
「だが実際姿を消している」
「………すぐに調査させよう」
「ああ、そうしてくれ、あの二人に大それた事が出来るとは思わんが、魅了魔法の事も有るし放置するわけにもいかんからな」
「…………その事ですが、一昨日の夜にケータと話したんですが、聖女が学園を退学になることはほぼ確定した事です、何とか在学中に魅了魔法の検査は出来ないでしょうか?」
「ふむ、確かに、男爵家に返してから口実を作って検査するのも面倒か?」
「それと、テイルスミヤ長官に相談して、魅了魔法のみ封印出来る魔道具の改良をお願いしています」
「ほう?そんな魔道具は聞いたことが無いが?」
「奴隷の首輪を改良して出来ないか試してもらっています」
「むう、だがあんな物を黙って着けさせる者はおらんだろう?」
「外側だけ、宝飾品のように飾り付ければいかがでしょう?」
「成る程!あの者は城に居たときから派手派手しく飾り立てるのを好んでいたようだしな、それならばいけるかも知れん。だがどうやって渡す?あの者に褒章を与える功績など無いぞ?」
「あぁ、そこはライダー・オコネル先輩に協力を願います」
「ライダー・オコネル、確か近衛騎士団長の息子だったか?」
「はい、一番最初に魅了魔法の疑いを持ったのもオコネル先輩でした。彼は生徒会長であるエチェット・ハウアーと共に、元聖女とも面識が有ります」
「協力してくれるか?」
「魅了魔法が確認されれば、協力してくれるでしょう」
締め括るようにアールスハインが言えば、
「とにかく二人を捕まえる事が肝心だな!」
そう言って立ち上がった将軍さんが部屋を出ていく。
王様との話も終わったので学園に帰ります。




