助の嫁
いよいよ終わりが見えてきました。
あと数話でこのお話も終わります。
最後までお付き合い頂けるとありがたいです!
よろしくお願いいたします!
おはようございます。
天気は雪。
アールスハインとレニー嬢がお付き合いを始めて一ヶ月。
初々しい二人のやり取りをニヤニヤ眺めながら過ごして、相性のよさそうな二人に安心して、本格的に婚約の話が出てるそうで、色々な方面で話し合いとか調整がされ始めた今日この頃。
何となくのびのびになってたけど、そろそろ島に帰ろうかな?
婚約が決まればまた婚約式とかパーティーとかあるだろうし、その時はまた来れば良いし。
島では毎日、思う存分暴れまわってた我がペット達が、体を動かし足りなくてウズウズしてきてるからね。
このままでは王都近くの魔の森に行って、魔物を殲滅でもしかねない。
駆け出し冒険者達の収入源を断ってしまっては可哀想なので、本当にそろそろ王都を出たほうが良い感じ。
そう思ってアールスハインと助に挨拶に行ったら、
「あー、ケータ、紹介するわ。俺の嫁になるミクニ」
頭をボリボリ掻きながら、照れ臭そうに横の女性を紹介してくる助。
そこにはリュグナトフ国の騎士服を着た女性騎士の姿。
顔には額から頬にかけて三本の爪痕が刻まれ、筋肉質なのにスタイルの良い背の高い、中々に迫力がある女性騎士。
でもよ~~~~く見ると面影はあるね?甘ったれで世間知らずで傲慢だったアマテ国のお姫様が、何をどうしたらこんな女戦士みたいな騎士になるんだろうね?
話を聞いてみると、アマテ国を出されて、リュグナトフ国に留学し、リュグナトフ国の令嬢達の現状を見て、学園の授業を受けて、ミクニ姫は衝撃を受けたそう。
そして自分がいかに口先だけの何の実力もない存在なのかと思い知り、それでも姫としてのプライドを捨てられず、傲慢に振る舞ってたら、令嬢達全員に総スカンを食らったそう。
アマテ国から正式に姫として留学してきたなら、リュグナトフ国の学園に入学する時に、全校集会で紹介されるのが通例。
そんな紹介もなく、口先だけで実力もないのに偉そうにしてる姫らしき人物。誰も近寄らないよね。
お姫様とは言え、アマテ国はまだまだその当時はあまり豊かな国ではなかったので、リュグナトフ国の低位貴族にも劣る生活費しかなく、贅沢な暮らしが出来る余裕もなく、どんどんくたびれていくミクニ姫。
国に帰ろうとして手紙を出しても、学園を卒業するまでは帰国を許さないとの、父王からの返信に癇癪を起こし暴れて泣きわめき、国から連れてきた従者やメイドが国に帰ると言い出す始末。
何度も何度も送られる手紙と、従者達からの報告の手紙に、スサナ王子が現状を見に来て、呆れてため息を吐かれたのだとか。
そしてミクニ姫は学園の寮に強制的に入れられた。
お姫様なのに誰一人世話をしてくれる者はなく、同室者は低位である子爵家の令嬢。
ここでも癇癪を起し暴れようとしたミクニ姫は、呆気なく子爵家の令嬢に取り抑えられ、こんこんと説教されたそう。
子爵家の三女だったその令嬢は、卒業後は騎士団に入ることを希望していて、日々の鍛練を怠らない令嬢だった。
その令嬢に、いかにミクニ姫に実力がないか、どれだけ暴れても現状は変わらない事、この国では民を守れる事が貴族の誇りであることを説明され、アマテ国に留学したアンネローゼが幼年学園時代に騎士団の巡回の旅に同行して、実力を付けた実例まで出して、甘ったれるな!と、現実を見て、嘆くだけなら幼児と変わらないだろう!それでも一国の姫か?!と説教されたそう。
面倒見の良かった同室の令嬢に説教され、一つ一つ生活の仕方を習う内に、段々とミクニ姫も意識を変えられ、真剣に自分の現状を考えられるようになり、前向きになっていったとか。
うん、それはとても良い事だけど、何故それがリュグナトフ国の騎士団に入団して、助の嫁になる話になるんだろうね?
意識を変えられたミクニ姫は、子爵令嬢と共に鍛練を始めた。
何度も何度も投げ出しそうになりながらも何とか食らい付き、鍛練していく内に、親しくしてくれる令嬢も増えて、学園の授業にも付いていけるようになった。
元々の姫としての身分相応に魔力の多かったミクニ姫は、真摯に学ぶ内に実力を付け、三年になる頃には同室の子爵令嬢と肩を並べる実力者と見なされるまでになり、一目置かれる存在に。
ただ、野外演習の最終週。
過信していた訳ではないが、一人班からはぐれてしまったミクニ姫は、救援の信号弾を撃つ事なくオークと遭遇し、苦戦を強いられた。
そこにミクニ姫を探していた子爵令嬢が現れ、共闘になり、結果、ミクニ姫を庇った子爵令嬢が片腕を失うと言う酷い怪我を負った。
ミクニ姫自身も顔に爪をたてられ視界を遮られたが、駆け付けた教師と冒険者によって助けられた。
片腕を失うと言う酷い怪我を負った子爵令嬢は、教会預かりで治療に専念することとなり、一年留年する事に。
子爵令嬢の騎士への道は閉ざされた。
責任を感じたミクニ姫は、子爵令嬢の夢であった騎士団入りを決意し、アマテ国での王族籍から抜け、平民の一般試験である騎士団入団テストを受け合格。
リュグナトフ国の騎士団員でただのミクニとなった。
ミクニ姫を助けた子爵令嬢は、治療を担当してくれた神官と卒業後すぐに結婚して、今は幸せに暮らしてるとか。
ササナスラ国の魔物討伐戦にも参加していたミクニは、リュグナトフ国王の王都攻勢に同行する一員となり、そこで助と再会したそうな。
助もアマテ国での態度を見ていたので、最初は疑っていたらしいが、ひた向きに任務に取り組む姿に感心して、たまに助けたりしてる内に心惹かれていったらしい。
ミクニの方も度々助けてくれた事で意識し出して、周りに囃し立てられながら徐々に距離を縮めていったとか。
で、この一年はお付き合いをしていたそうです。
婚約の話も出てて、リュグナトフ国とアマテ国の許しも既に貰っているそうです。
「ふぇ~~」
「あー、アマテ国の方も、つい最近許しが貰えて、ケータにも報告出来たんだよ」
「ほ~~ん?」
「ニヤニヤすんな!」
「おめれと~!」
「お、おう。ありがとうよ!」
「ありがとうございます」
見つめ合って微笑み合う二人はとても幸せそう。
ちょっとゴツイ見た目だけどとてもお似合い。
振られないように頑張れ!
二人の世界に突入した二人を置いて、アールスハインの所へ行けば、こっちはこっちでレニー嬢と微妙な距離で見つめ合ってた。
距離があるのが初々しいね!
助達程進展してない感じが微笑ましい。
お互いしか目に入ってない様子を、シェルと二人でニヤニヤ眺めてれば、やっと俺の存在に気付いたアールスハインとレニー嬢が真っ赤っ赤の顔になるのも面白い。
でも完全には浮かれてないところもアールスハインらしいと言えばらしいところ。
早くもミルリング国に婚約の打診をしたところ、レニー嬢が微妙に凹んでる気配。
婚約したくないのか聞けば、婚約は嬉しいと言う。
なら凹んでる理由は?と聞いてみれば、レニー嬢は、
「わたくしは、アールスハイン陛下に相応しくありません」
とか言い出した。
「何か理由が?」
と聞いたアールスハインに、涙目になったレニー嬢が、
「……………………実は、わたくし、呪われております。子供の頃から。長い時間声を出し続ける事が出来ません。教会で大神官様に相談しても、解呪は出来ないと言われてしまって………………」
ん?呪いなら俺もハインも見えるよね?そんな気配はないけど?
「それは、呪いが解けないと言うことではなく、呪われていないと言うことでは?」
アールスハインが聞いても、レニー嬢は首を振るばかりで、
「呪いは確かにあるのです。大神官様でも解けない程強い呪いが」
ボロボロと泣き出してしまった。
え?聖獣の俺にも見えない呪いってどゆこと?
タスクの嫁です!
ミクニちゃんは元々更生して誰かの嫁になる予定でしたが、タスクの嫁で落ち着きました。
アールスハインの嫁にはちょっと向かないし、平民になったとは言えディーグリーの嫁には身分が高すぎるし、ユーグラムの好みではないし。
そんなこんなでタスクの嫁になりました。
思ったよりもワイルドな嫁になったけど!
心は乙女、かもしれないし。




