青龍の基準って?
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
天気は晴れ。
朝御飯を食べた後に、ユーグラムに抱っこされて治療所のテントに来てます。
十日かけて宣伝を行い、中でも重症な患者だけは先に治療して、手伝ってくれる爺ちゃん婆ちゃんの治療もして、数十年振りに調子の良い足腰に、爺ちゃん婆ちゃんが張り切って宣伝してくれたお陰で、始まってもいないのに既に長蛇の列が出来てる現場におります!
長いよ行列!見た目元気そうに見える人も多く並んでるよね?
爺ちゃん婆ちゃんが頑張ってくれてるので、綺麗に列に並んでるけど、これ全部治癒魔法で治すの大変そうね?
なので神官さんの中で、ベテランだけど魔力が少なくて軽症しか治せない人何人かにお願いして、トリアージして貰うことに。
緊急度、重症度別に分ける事ね。
そして爺ちゃんと相談して微妙に料金の調整も。
そしたらほんのかすり傷や打ち身程度の人がごっそり減りました!
なんで来たんだよ!行列には並びたい派かよ!日本人以外はあまり行列には並びたくないのかと思ってたのに。
暇なのかよ!復興頑張れよ!と言いたい。
半分以下になった行列の、一番重症な人が集まるテントで治療をしている。
多くの人が手足が無かったり、内臓に疾患を抱えていたり、精神が病んでたり。
付き添いの人に抱えられたり、支えられて何とかここまでこられた人が大半。
そしてその大半の人達が、治療をしようとする俺を見て物凄く不安そうな顔をする。
構わずサクサク治療すんだけど、治ったそばから拝むの止めて下さい!
天の遣いとかじゃないから!ちゃんと治療費取ってるから!
何食わぬ顔でスルーしてるけど、居心地は悪いです!
感謝されるのは嬉しいけど、拝まれたり跪かれるのはちょっとね~?
俺チートなので、他の神官さん達よりも重症度が高いのにサクサク進むせいで、余計に特別視されてる。
手伝ってくれてる爺ちゃん婆ちゃんまで唖然としてるし。
そうだよね~、隠してるけど、俺、大陸割った青龍と同じ生き物なんだよね~?自覚無いけど!
このくらいのチートは朝飯前ですよ!
昼休憩にテントの外の様子を見に行ったら、軽症過ぎて弾かれた人達が未だ集まってる場所が。
トリアージの終わった神官さんにあの人達は何してるのか聞いたら、
「あー、あの方々は、働きたくなくて治療を言い訳にここでサボっているんですよ」
と教えてくれた。
「にしがわって~、いいしとしかいにゃいんじゃないの?」
「青龍様の思し召しなので我々人間には想像もつきませんが、罪を犯してないからと言って、善良とは限りませんよね?」
ああ、犯罪は犯してないけど、怠惰な人や意欲の無い人も善良組に入っちゃったのね。
青龍に人間の性質までは見抜けなかっただろうし、魂の汚れってのは、俺達聖獣には見えるけど、人間には見えないから、基準が分からないだろうしね。
普通に善良な人から見れば、人の善意を良いようにただ受け取るだけで何も返そうとしない人は、あまり性質が良くないように見えるしね。
そこに溜まってる人達も、働きたくないだけで悪人ではないからね。
その辺の事は本人とその周りの人に任せるしかないよね。
爺ちゃんみたいに、甘やかすだけが優しさじゃないぞ!って考え方の人も多くいることだし、その内困窮してくれば自分で何とかするしかなくなるだろうしね。
持参したサンドイッチを食べて午後も治療。
手足の無い人に魔法をかけるだけで、新たな手足が生えてくるのは自分でやってて不思議な光景。
想像力が足りないのか、脛毛は再現出来るのに、日焼けまでは再現出来ない不思議。
妙に色白な手や足が生えてきてちょっとバランスは悪いけど、問題なく動くし、拝まれて感謝されるのでそこまで再現するほど頑張る気が起きないし。
あと、喉や目を潰されてる人も多い。
万が一魔道具が壊れても、すぐには逃げられないようにとか、助けを呼べないようにするためかな?
これは隷属の首輪って魔道具に組み込まれた機能なので、普通の治癒魔法では中々難しい治療。
まず、青龍の魔法で首輪をぶっ壊したせいで、首輪に籠ってる契約者の魔力が分からなくなってるし、契約者と一定以上距離が離れると、心臓が止まるとか、電気ショックを受けるとか、発情して自我を失うとかの、奴隷にされてた人が致命的な痛手を負う効果は無効にされたけど、それ以外の効果は残ってたりするので、契約者の魔力を吸い取る、もしくは無効に出来る術者じゃないと無理って事。
俺はどっちも出来ますよ!契約者の魔力を無効にして、機能の低下した視力を回復させる、声帯を復活させるとか。
手足を生やすのとそんなに変わらない治療。
治って家族の顔を見て、名前を呼んで号泣して、俺を拝み倒して帰っていくまでが流れ。
もう慣れたもので、ふぁ~っとした薄い笑顔で見送るけど。
夕方の治療終了時間前に重症者が居なくなったので一足先に終了。
ディーグリー爺ちゃんに抱っこされてテントの外に出ると、いまだに溜まってる人達。
あの人達はご飯も食べずにただダラダラしてるんだろうか?
明日も来るのかな?
働き者のディーグリー爺ちゃんからすると、ああいう奴等の気が知れん!健康なら働け!って、手伝ってくれてる爺ちゃん婆ちゃん達も同じ考えらしく何度か説教に行ったらしい。
のらりくらりと言い訳ばかりして、話にならん!って爺ちゃん婆ちゃん達の方が諦めて帰ってくるけど。
それから一週間、治療所は続き、お陰であまり熱心ではなかった信者の人達も教会に通うようになったとか、神官さん達とも気軽に話せるようになったとか、教会にも活気が出てきた様子。
俺はたまに街角なのに拝まれたりしてる。
そして説教には嫌な顔をするくせに、怠惰な人達は治療を言い訳に一週間ずっと通い続けた。
治療は受けられないのに。
撤収作業を見守りながら、何となく集まってる人達の近くに行ってみる。
皆さん見事に目が死んでるね!
散々拝まれてる俺にも見向きもしないでぼんやりしてる。
うん、実験してみよう!
酷い目にあって精神を病んでしまった人達の治療も出来たので、逆に精神を高揚させる魔法も出来るんじゃない?体に害はないから、ちょっと試させてね!
微妙な距離を取って集まってる人達を透明バリアで包んで…………………一日平均八時間睡眠で、それ以外の時間はやる気に満ちてて、人の為に働かないと落ち着かない気持ちになる、とかどうよ?今まで散々周りに恵まれてきたんだろうから、これからは恩を返したまえよ!
ぬぬぬ~~~っと手足を生やす魔法よりも力を入れてやってやったよ!
バリア内がビカビカ光って派手に目立っちゃったけど、カクンと一瞬意識を失った彼等は、バリアを解いた途端、今までに無くシャキッと立ち上がり、テントの撤収作業を手伝い出した!
そして、
「「「「「仕事探さなきゃ!!」」」」」
と何処かへ駆けてった。
うん、成功ですな!
一人うんうん頷いてたら、後ろからひょいっと抱っこされて、ユーグラムが覗き込むように、
「ケータちゃん、彼等に何をしたんですか?」
「やる気スイッチ押してみた!」
正直に答えたのに、ユーグラムが困った顔になって、隣のディーグリー爺ちゃんが爆笑してる。
「ガーーッハッハッハッ!成る程!奴等のあれは病気じゃったか!難病を治療するとはさすがじゃの!」
ガーーッハッハッハッと豪快に笑いながら離れていく爺ちゃん。
「まあ、命に危険は無いようですし、周りの人に迷惑どころか歓迎される行為でしょうから、良いんですが、無償で行うのは禁止では?」
「のぞまれたちりょ~とはちがうから、いんじゃらい?」
「…………確かに。彼等はいかに怠惰に過ごすかを模索する人達なので、真反対の効果は望んでいなかったでしょうね?」
「しょ、だからちりょ~じゃないよ!」
「フフ、そうですね、治療ではありませんね!」
それにこれは彼等の為じゃなく、懲りずに何度も何度も説教してた爺ちゃん婆ちゃん達のためだしね!
俺個人としては、後々苦労するだろうけど、怠惰に過ごしてても自己責任で好きにすれば良いと思うけど。社会生活には一定数のさぼり要員が必要とか前世では言ってたけど、それなら爺ちゃん婆ちゃんを休ませろよ!と言いたい。
ユーグラムには笑われたけどまあ良いだろう。
本日はこれで終了。




