世界樹の実
誤字報告、感想をありがとうございます!
陽が当たると同時に実がなる光景は、不思議で幻想的で、命の息吹に満ちた光景だった。
ドンドンと下まで下りてくる日の光と目に見える位置まで下りてくる実。
半透明な風船に入った沢山のビー玉のような世界樹の実は、今や溢れる程にたわわに実っている。
エルフが触れるだけで風船は弾け、七色に輝く実が収穫出来る。
大きめのビー玉くらいの実は、中に花のような模様があって、一つとして同じ模様が無いのがまた不思議。
俺達は木に登っても届かない位置の実を、ボードに乗って上から収穫してる。
世界樹の実は子玉の原料の一つでもあるし、聖獣の成長薬でもあるし、難病の薬にもなるなかなかに万能な実なのだ。
これはせっせと収穫しないとね!
一日で駄目になるのは、風船の方で、風船が誰にも触れられずにいると、一日で萎んで中の実も潰れてしまうらしい。
まあ、見渡す限り実ってる実を全て収穫するのは難しいけど、なるべく多くは確保したいよね。
エルフの女の人はエプロンを袋のように使って落ちる実を回収してるし、男の人は前に籠を持ってきて、実をつついて落としてる。
俺は前に持ってきたリュック型のマジックバッグの口を開けて、実をつついてる。
無限収納便利!
皆もそれぞれにマジックバッグに直に入れてるし。
俺達だけでいったいどれ程の実を収穫してるんだろうね?
ちなみに世界樹は根っこを延ばして成長するので、実は成長には必要ないそうです。
力が満ちた時に吐き出すような役目なので、幾ら取っても問題ないそうです。
午前中どころか夕方までかかっても取りきれない実。
そろそろお腹がすいて限界なので、帰ります!
もうどれだけ取ったか全然わかんない程取ったし。
おはようございます。
天気は雲の多い晴れ。
エルフの街はまだまだ世界樹の収穫祭で大忙し。
皆ももう少し実を収穫してくるそうなので、最近手抜きの簡単料理しかしてなかったので、俺は残ってご飯でも作ろうと思います。
宿の部屋の中で作るわけにはいかないので、世界樹の見える広場の隅でタープと台所を出して調理。
何作ろ~かな~?
ドラゴンの肉があるから…………ステーキは何時でも出来るし、凝ったもの?肉が美味いから、あまり手を掛けすぎるのもね?ローストビーフで良いかな?じっくりオーブンで火を通す感じで!
あとはパンが続いたからご飯も食べたい。炊き込みご飯とか久しぶりに良いね!あとは、野菜ゴロゴロの煮物と…………。
むふむふしながらメニューを考えて野菜を切ったり下拵えしたり。
そしたら何故か、タープの外にエルフの代表者の三人が正座してこっちをガン見してた。
音は遮断してないので、無言でガン見されてる。
「にゃに~?」
「いえ、聖獣様が何をされているのかを見ておりました!」
うん、それはわかる。女性のエルフ代表者さんが凄いメモしてるし。
これはあれかね?ちょっと味見とかさせないといけないものかな?
切った材料を見る。
人参大根ごぼう里芋…………煮物に使おうと思ってたけど、仕方なくけんちん汁に変更。
けんちん汁なら大量に作る方が美味しいし、皆にも分けられるしね。
ただ全員に腹一杯は無理だよ!
流石に俺の無限収納に大量に材料が入ってるとしても、作る方が間に合わないからね。
代表者の三人と子供達くらいかな?
さらに材料を切って切って切って、大鍋を出して油をひき、材料を炒めて水を入れて煮る。
久々に肉体強化全開で頑張ったよ!
ドラゴン倒す時も使わなかった肉体強化、俺の肉体強化って料理の時にしか使わないね?
けんちん汁を煮てる間に他の料理も作る。
ローストビーフはオーブンにお任せだし、炊き込みご飯はもう少し後で良いし、暇になったね?
ふと外を見ると、代表者三人だけでなく、子供達が鼻をヒクヒクさせながらタープの外に集まってた。
まだ暫くは完成しないんだけど、鼻をヒクヒクさせる子供達がとても微笑ましいので、ここは一つおじちゃんが何か食わせてやろうかね!
お昼時なのに大人達は収穫に忙しすぎて子供達のご飯がおざなりになってて、茹でただけの芋とかそれくらいしか持ってないみたいだし。
大量の巨大さつま芋を魔法で賽の目に切り、卵黄と砂糖と小麦粉と牛乳とをまぜた生地に入れてさらにまぜる。そしてメレンゲもまぜる。
もう子供達が大勢集まってるので、一個一個小分けにしてる間も、オーブンがあくまで待ってる間もないので、魔法でガンガンいきますよ!
巨大な二メートル四方のバットに生地を流し入れ、適当に均す。それを三個分作って一気に魔法でレンチンするイメージ。
レンチンの蒸しパンは冷めると固くなるんだけど、皆この場ですぐに食べてくれそうなので、まあ良いだろう。
透明なバリアで作ったバットなので、生地の膨らみ具合が一目でわかる。
それを見る子供達の目がランランと輝いているのが面白い。
無駄にチートな俺の魔法は、チンッとレンジのベル音まで再現して、ホカホカのさつま芋蒸しパンの出来上がり。
蓋部分を消して、適当な大きさに切り分け、一番最初に、子供達よりも涎を垂らしてガン見してる代表者の女性に渡す。
安全ですよ!と皆に知らせる為にも、大人がまず食べるべきだと思って。
渡された途端ハムッと音がしそうな勢いで蒸しパンを頬張った女性エルフは、ムグムグハフハフ食べてホワ~~~ッとした顔になり、またムグムグハフハフし始めた。
問題なさそうなので、他二名の代表者にも渡して、子供達の方へ向きを変えると、期待に足踏みしてる子もいて、ちょっと年上の子が、小さい子供から二列に並ぶように誘導してる。優秀!
切り分けた蒸しパンを一人一人手渡して、熱いから気をつけるように言ったのに、待ちきれなくてアチチッとなる子を笑って、ほっこりした時間を過ごした。
そして子供達はまた収穫に戻っていった。
代表者の三人に頼んで、汁椀を大量に運ばせた。
汁椀と言っても、木の椀なのでとても重そうだったけど、そこはエルフなので魔法で運んできたので問題なし。
けんちん汁に味噌と醤油で味付け。
これは前世の婆ちゃんのレシピ。
醤油だけより食べごたえがある感じで好きな味付け。
夕方になれば皆も家に帰るので、その前に少しだけ休憩がてらけんちん汁を配る。
よそうのは代表者の三人に任せた。
ちゃんと子供達と同様に三列に並んで順番待ちするのが面白い。
そして皆してホワ~~~っとした顔になるのも面白い。
けんちん汁はエルフにも好評でした!
味付けは薄めにしといたからね!
全員を満腹にさせることは出来なかったけど、具沢山に作ったので、それなりに満足そうにまた収穫に戻っていった。
代表者の三人が魔法で汁椀を洗って片付けて、深々とお礼をされた。
夜になる前に皆も戻ってきたので、片付けて宿へ。
宿の食事は断って、部屋でローストビーフと炊き込みご飯、けんちん汁を出して夕飯。
広場で広げたら大変なことになりそうだったので、部屋に戻るまで出せませんでした!
「あ~旨っ!上の方まで匂いが漂ってきて、途中すげぇ腹鳴ってたんだよ!でもエルフの集団の中に入っていく気にもなれなくて、拷問のようだったな!」
助がけんちん汁片手にガハハと笑い、それに皆も苦笑してる。
ローストビーフは低温でじっくり火を通したので、柔らかくて肉汁が溢れてソースなんかいらないくらい旨かったよ!
炊き込みご飯はグリーンピースご飯。
炊き込むと色が悪くなるんだけど、俺は炊き込んだ方が好きなので、多少色が悪くなっても入れちゃいます!
異世界のグリーンピースはピンポン玉くらいあるので、崩しながらまぜました。見た目は悪いけど味は美味しかったよ!
お正月休みが飛び飛びだったので、出かける気にもなれず、長編の小説を一気読みしてたら、自分の書いたものの拙さに落ち込んでおります。
反省して精進します!
そんなにすぐには上達しないけど!




