ドワーフの街
誤字報告、感想、ブクマをありがとうございます!
街を出て森に入り、大きな岩の隙間から洞窟に入り、下り坂をおりて暫く歩くと行き止まりだった。
ドワーフおっさんが懐から大きめのネジを取り出すと、岩の隙間に差し込みグリッと捻ると、ゴゴゴゴゴゴと重い音と共に目の前の岩が左右に開き!その先に道が現れた!
「ひょ~!かっきぇ~!」
「ぬふふっ、だろう?」
思わず歓声を上げたら、渾身のドヤ顔をされました!
そこからはトロッコに乗せられ、坂道をさらに下って下って、やっとたどり着いたのは地下神殿?
映画で見たような光景が目の前に広がっております!
何本もの太い柱に支えられた広大な地下空間が広がり、奥は影で見えない程広い。
映画と違うのは、忙しなくドワーフが往き来してること。
子供達もいるらしくはしゃぎながら走り回る姿も見られる。
遠くの壁際からはなにやら怒鳴り声も聞こえるし、荘厳な空間なのに生活感満載!
暫く俺達が眺める姿を自慢気にドヤ顔で見てたドワーフおっさんは、飽きたのかまた別の場所に先導し出した。
巨大な柱一本一本に繊細な彫刻がなされ、しかも同じ模様が一本も無いって凄くない?!
天井は暗くて見えないけど二十メートルは上だろうし、すげぇなドワーフ!
壁際まで来ると、沢山の部屋が並んでて、そのどれもが扉に様々な彫刻がされてて、その彫刻で部屋を識別してる感じ。
一際立派で大きな扉、ミッチリ隙間もなく透かし彫りまで施された繊細で精緻な彫刻の扉を入ると、他の部屋より広い部屋で、幾人ものドワーフが集まっていた。
入った途端ギロッと音がしそうな程全員に睨まれて、他のドワーフとは違う、体の大きなドワーフが、腹に響くようなドラ声で、
「マージュナルの~、誰の許可を得て人間を連れてきた~?」
「親方!この人間達はドラゴンを六匹も持ってるんです!解体を手伝えば、ドラゴン素材の加工も依頼すると言ってるんで、連れて来ました!」
「な~に~!ドラゴンだと~!久方振りだな~、ならば人間の滞在も許そ~。皆の衆~、久方振りのドラゴンだ~、気張れよ~!」
「「「「「「「おう!」」」」」
話が纏まると後はワラワラと囲まれて別の部屋に連れていかれ、ドラゴンを出せ!とだだっ子のように机をバンバン叩きながら催促されるままにドラゴンの死体を出して、部屋を追い出された。
皆さんヒャッハッー!と大はしゃぎでドラゴンの解体をしてますね!
皆、髪も眉も髭ももじゃもじゃで見分け付かないけど、目が輝いてるのは何となく分かるね。
既に二体解体した後のマージュナルと呼ばれたドワーフおっさんも部屋から追い出されて、俺達のお世話係にされてしまったようで、街を案内してくれる事に。
ドワーフの街はドワーフが生活する為の場所なので、特に観光目的に作られている訳ではない。
柱の並んだ巨大空間は、万が一人間や他の種族が攻めてきた時に迎え撃つ為の空間だそうで、部屋ではなく別の通路を通った先には、また別の巨大空間があり、そこに生活するための建物?が乱立していた。
岩の斜面を削って部屋を作っている感じで、普通に人の家の上が道になっていたり、道の途中でどこかの建物に入っていったりと、来た道さえ全然覚えられる気がしない。
下に行く程地位が上がるらしくお客の俺達に宛がわれた部屋は最上階と言ってもいい位置。
でも凄く見晴らしが良い。
客としてはこの部屋の方が楽しいよね?
南大陸リュグナトフ国にあったドワーフの谷は、迫害されたドワーフが新たに作った街なので、比較的新しい街で、こちらの北大陸のドワーフの街の方が歴史は古い。
そして規模も大きい。
最初は地上に街を作っていたそうだけど、段々と地下に潜るようになったのは、迫害とかのせいではなく、単に火力を求めての事らしい。
近辺の火山はドラゴンの巣なので近寄れないし、他の地には人間が多すぎて過ごしにくかったそうで、火山から流れ出るマグマが溜まる地を探した結果、地下深くに落ち着いたそうです。
ドワーフを探すには火山付近か地下を探せって事ね!
街を案内されてる内に解体が終了して、今度はドラゴン素材を使った製作依頼。
装備一式ずつと、ブーツ一足ずつ、後は今回の討伐で破損した剣の打ち直しと強化にそれぞれ合うように素材を使ってもらう。
ファイアドラゴンだけの素材を使うと、氷魔法や寒い所での動作が悪くなるので、以前狩った他のドラゴンの素材も一緒に使ってもらう。
その他にも溜め込んだまま使い道のなかった素材を出して、必要なら使ってもらう。
肉は半分確保して後は売りました。
ドラゴン肉は魔素と言われる魔力の素が大量に含まれてるので、一週間くらい放置しないと食べられないそうです。
ドラゴンの魔力にやられて腹を下すんだって!
ダンジョンドラゴンはダンジョンに魔素を吸収されちゃうので、すぐに食っても大丈夫だそうです。
ダンジョンではランダムドロップだったけど、外での討伐では確実に有るドラゴンの魔石は、全部返された。
ドワーフは魔力はあまり多くないので使い道が少ないそう。
俺が魔道具にしても良いそうです。
馬車をまた魔改造する?
完成までは十日程掛かるので、その間は街に居ても良いそうです。
ドワーフの食事と言えば肉とエール。
野菜類はほとんど食べないそうで、肉もワイルドに塩を振って焼いただけのシンプルな調理方法のみ、硬い肉を噛み締めながらエールで流す!みたいな感じ。
もう口が肥えちゃってる俺達にはそんなシンプルな料理はすぐ飽きてしまう。
そもそも硬い肉は食えないし!
なのでここでも自炊。
自分達で作るご飯が一番旨いって言うね!
エールだけはドワーフ族のエールが一番旨いので、大量に買い付けたけど。
それでも粒々を濾して、薄めて、炭酸を足して冷やして飲むけど!
街は形は変わってるし、そこに住んでる人達も種族が違って珍しいけど、三日も眺めてれば飽きる。
なので温泉を探しに来ました!
すぐ側に火山があるしマグマも流れてるらしいので、近くにあると思うんだよね~?
マージュナルに作ってもらった直角に折れた棒を持ってダウジングを試みています!
詳しいやり方とかは知らないけど、雰囲気って大事!もしかしたら俺のチート能力で発見出来ちゃうかも知れないじゃん?
地道に歩きながらモヨ~ンモヨ~ンと動く棒を見てる。
これがどうなったら正解かも分かんないけど、何となくノリで持ってる。
そしてダウジングと全然関係無く温泉を発見してました。ハクが!
ポヨンポヨン跳ねながら周りで他のペット達と遊んでたのに、突然、
「ムムーー」
と大声で呼ぶので、行ってみたら有りました温泉。
大岩に隠れるように泉があり、それが温泉でした。
不思議なことに硫黄泉ではなく何故か炭酸泉だったけど。
何だろう?異世界だから?普通火山近くの温泉て言ったら硫黄泉だよね?疑問は残るけどまあ異世界だしね!と無理矢理納得して、泉周辺を湯船らしく整える。
ドワーフなマージュナルは穴掘りも得意らしく、見事に円形な湯船を作ってくれた。
俺達の出番が無い程素早い仕事だった!
ドワーフのマージュナルに合わせたのか、湯船は浅目。
アールスハイン達だと胸くらいまでしか浸かれない。
俺は立って首まで浸かるけど!
昼過ぎから作業して完成したのは夕方と夜の間。
湯量は豊富で穴掘りをした後でもすぐに新しい綺麗なお湯に入れ替わったので、皆で入浴することに。
マージュナルは、と言うかドワーフにはあまり入浴の習慣は無いそうで、最初は入ろうとしなかったけど、俺達があまりに気持ち良さそうに入っているので興味が湧いて、結局入ってきた。
マージュナルから微妙に汚れが浮いて来るんですが?
ちょっと一旦湯船から出して、洗浄魔法を掛ける。
髭が!なんか色々な食べ滓とか縮れ毛とか、ネジとかも出てきてきっちゃない!抵抗されたが無理矢理押さえて、何度も魔法を掛けて綺麗にしてからもう一度湯船に入れたら、ふぃ~~っと深い溜め息を吐いて顎まで浸かってた。
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かって、充分温まってから出て、素早く部屋に戻ってから、帰ろうとするマージュナルの目の前に、キンキンに冷えたエールをジョッキでドンと置く。
ドワーフのマージュナルが断れる訳もなく、グヒグビーーっとね!
「「「プハーーーッ!」」」
俺と助とマージュナルのプハーーーッが被った!
「はーーー!何じゃこれは!こんなに旨いエールは初めて飲んだぞ!どこのもんが作ったエールじゃ?!ドワーフ族より旨いエールを作るとは!人間族も侮れん!」
「いやいやいや、このエールは昨日この街で買ってちょっと加工しただけのエールだから!人間族にドワーフ程のエールを作る技術はまだ無いよ!」
ディーグリーが説明してる間も俺と助はグビグビエールを飲んでる。
おつまみには粒がでかくてピンク色の枝豆とスルメ、焼き鳥ならぬ焼きドードー肉を出して。
俺の出した見慣れないつまみを恐る恐る食べるマージュナル。
スルメの噛みごたえと噛む程味が出てくるのが気に入った様子で、ガジガジしながらエールをグビグビして止まらなくなってる!
一緒に美味しいものを食べると、一気に距離が縮まるよね!
そしてとても不思議なことに、洗って湯に浸かって乾かした後のマージュナルの髭が、サラサラの艶々になってるのを笑いながら、何度も撫でる手が止まらないのも笑いながら、その夜は皆が潰れるまで飲んだ。
マージュナルは途中から旨いが薄い!とか言い出したので、濾しただけの薄めてないエールに炭酸を足して出してやったら、見事に潰れてた。
無事なのは俺とエールを飲んでないペット達だけ。
床にグデンと転がる皆を跨ぎながら、後片付けをしてベッドで寝ました!
最近めっきり寒さが厳しくてなってきましたね。
風邪などひかないようお気を付け下さい。
ところで"めっきり"ってどこから来た言葉なんだろう?
めっきり、普通に使っちゃうけど、出所のわからない言葉ってありますよね?




