うん、聖獣って!
誤字報告、感想をありがとうございます!
青龍とニョロと別れて、朝御飯を食べて、ナタクとヤサクを見送ってまったりとお茶を飲んでた時それは起きた。
ブワンブワン、と大気が震え、濃密な魔力が上空に。
驚いて外に出ると、上空には雲に隠れていない青龍が!
元帝国首都の上空辺りをトグロを巻くように旋回してる。
【聞け、人間共よ!我は人間の強欲さ傲慢さをこれ以上容認できぬ、したがって我の許しなく我の頭上を越える事許すまじ!我の許しなき者我の眠る場所に入ること能わず!聖獣の力思い知れ!】
そう大陸中に響くような声で叫んだ後に、その口から光線のような魔力が迸って、元帝国首都に直撃。
ドワワワーーーーーっと地響きの後に、キノコ雲が立って、その雲を一周するように飛んだ青龍は、今度はこっちに!
そして砂漠のど真ん中にドーーーーンと寝転んだ。
大陸を真っ二つに分けるように。
大きな地震の後のように騒然とした中、人々の体がほんのりと光り、それが集まるように手首に光のブレスレットが現れる。
【善良なる者は西へ、そうでない者は東へ】
それだけ言ってシーーーンとなる。
うん。打ち合わせ通りね!
早朝に訪問してきた青龍親子に頼んだのは、砂漠を真っ二つにすることと、善良な人とそうでない人の選別。
俺にはまだその能力が無いけど、長く生きた聖獣ってのは、生き物の魂が見えるそうで、選別も簡単に出来るそうな。
人を殺したり騙したりする人は魂が汚れるので、一発で分かるとか。
ただし、自己防衛とか人に強制されてとかだと汚れ方が違うらしい。
戦争とかで大量虐殺しちゃえば意味はないけど。
そんな青龍の選別が行われ、手首に光るブレスレットが現れた人は西側に行ける人。
現れなかった人は行けない人。
ついでに魂の汚れの無い奴隷にされてた人もサクッと解放。
今頃奴隷の首輪型魔道具が壊れて外れてる頃だろう。
解放感ついでに奴隷契約されてた主人を殺さなければ、西側に行けるだろう。
弱ってた青龍に選別を任せたので、俺はあの宝珠に力一杯魔力を込めるお仕事を担当しました!
弱ってた青龍に直接魔力を分けてあげると、俺の魔力の影響を受けて今後過ごしにくくなるそうなので、宝珠に目一杯籠めといた!
それを容赦なく使ってるね!
ディーグリーの爺ちゃん婆ちゃんもちゃんと善良組に入ってるよ!
青龍ったら本当に容赦なく遠慮もなく宝珠の魔力使いきる勢いで使ってるので、光のブレスレットが現れた人は、一定時間攻撃が効かない仕様になってるし!
移住する時間も稼いでくれてるね!
爺ちゃんと婆ちゃんと、その知り合いとラバー商会の大部分は、直ぐに西側に移住計画を立てて荷造りし始めた。
訓練所のお師匠さんや弟子達も善良組で移住するそうで、そっちこっちで大忙し。
お師匠さんにふんだくられてたお金持ちは非善良組なので移住は出来ないそうです。残念。
そして非善良組な西側に住んでた人達は、青龍の容赦ない仕打ちを受けて砂漠の東側に放り出されたそうです。おおう!
そして一ヶ月もしない内に民族大移動。民族じゃないけど!皆さん行動が早いね!
東西の境目で唯一通行可能な場所が、俺達が北大陸に来た時に入港した港街。
この街も強制的に東西で分けられてて、見えないゲートと言うか、バリア的なもので二分されてる。
もう真っ二つに。
なんかその内青龍教とかの宗教でも立ち上がりそうな勢いで、砂漠のど真ん中を遮る青龍の体に触れていく人が後を絶たない。
元奴隷だった人達は泣いてすがり付いて感謝の言葉を叫んでる人もいるし。
俺達は引っ越しのお手伝いをしてたよ。
無尽蔵に入るマジックバッグ持ってるし!ディーグリーも結構な容量のマジックバッグ持ってるしね!
この世界の聖獣の位置付けは、神様の御使いとか、伝説の生き物的な扱いなので、皆さん物凄く素直に言うことを聞く。
まあ、空を覆うような巨大な生き物の言うことなら聞くのかも知れないけど、今まで住んでた土地とか家とか、愛着もあるだろうに、スパッと切り替えて移住の準備するって凄くない?
西側に行っても直ぐに住む家が見付かるとは限らないよね?
と爺ちゃんに聞いてみたら、
「な~にそんなもんは何とでもなる!聖獣様に守られた土地に行ける事の幸運に比べれば、野宿など容易いもんじゃ!」
ガッハッハッハッと笑う爺ちゃん。
他の人達も似たようなモノ。
聖獣に善良と認められたことが凄く光栄で誇らしい事らしい。
あれ?俺も確か聖獣だったよね?こんな威厳とか尊敬とかは微塵も向けられたことないね?まあ別に良いけど!
無事到着した西側は、非善良組が居なくなったので凄く穏やかな空気が流れてる。
非善良組が強制的に東側に出されたので、溜め込んでた財産も全部置いてある。
西側で幅を利かせていた国の王様も強制排除されてしまったので、国としても崩壊してる。
唯一残った大臣が今後の事をどうしようかでお悩み中。
王様に意見した罪で捕まってた元大臣とか宰相とかが牢屋から出されて無罪になってまた国を治める仕事につくらしい。
爺ちゃんと婆ちゃんはラバー商会の力で手に入れた新しい家に住み始めた。
その家が実は元小国のお城だったりする。
小国の城と言っても城は城なので、一家族で住むには大きすぎる、なのでラバー商会北大陸西支部として買い取って、そのお城の一角に住んでる感じ。
その小国も偉い人達は相当数排除されて崩壊しちゃった口。
そして三ヶ月もすると、自然と西側で力関係も整ってきて、人間族代表、獣族代表、エルフ代表、ドワーフ代表、妖精代表と其々の種族代表者が現れ、種族毎に国として住み分けが出来ていった。
西側は青龍に選別された善良な人ばかりなので、非善良な西側に住んでた人達の、溜め込んでた資産を一人占めしようなどと考える人は少なくて、その溜め込まれた資産を集め必要な物とそうでない物に分け、豪華なだけの調度品や宝飾品は港街で売りに出され、その売上金は各種族代表者に分配された。
人間族代表の仮の王様は、奴隷として囚われていた人達のために病院を建てたり心を壊してしまった人達のために専用の施設を作ったりに使ってた。
その間俺達は、何の手入れもされず放置されてた魔の森で魔物を狩りまくってた。
増えすぎたトレントは良い建材になるし、魔物の素材は良い服の生地にもなるし、肉は旨いし良いことずくめ!
西側でも半数以上の冒険者ギルドが乗っ取られてたらしいけど、皆さん排除されちゃったので、今は正常に戻って普通に営業できているし。
冒険者ギルド独自のネットワークで、南大陸に救援要請を送ったそうです。
たぶん東側では冒険者ギルドが機能してないだろうしね。
半年も過ぎると、獣族やエルフ、ドワーフの冒険者も増えてきた。
以前は人間族以外の冒険者ギルド登録は認められてなかったそうな。
冒険者ギルドとしてはそんな規定は無いんだけど、人間族側の都合で登録してくれなかったらしい。
神様の御使いとか言われてる聖獣の青龍に認められたことで、今までは亜人と蔑まれてた他種族の皆さんも、人間族に忌避感も持たずに上手くやってる。
西側は半年も過ぎるとそれが以前からの在り方だったように、穏やかに争いもなく共生が出来ていった。
噂で聞く東側は大変な事になってるそうな。
元帝国の首都は、地下の鍾乳洞まで貫通するような深い穴が開き、帝国が所有していたと思われてた古代兵器魔道具や財宝は跡形もなく消え去り、元帝国首都を狙う目的を見失った。
長い年月降り続けた雨水がその穴に流れ込み、大きく深い湖になったとか。
その事で争いの目は元帝国首都の外に向けられ、戦火が拡大してるとか。
西側から排除された、なにも持たない非善良組が軒並み奴隷にされたとか。
港街のバリアを破壊して西側に来ようとしてる人が大量に居るとか。
青龍の体を越えようと挑んで撃沈してる人が多数居るとか。
兎に角まあ、殺伐としてるそうです。
なのでこっそり青龍が寝てる間に宝珠に魔力を籠め直しておいた。
ニョロに呉々も一度に使いすぎないように!って言い聞かせてきた。
どうにも青龍は加減を知らないと言うか、ぶっぱなすのを楽しんでる節がうかがえるので。
表情は分からないけどニョロがうなずいてたので大丈夫だろう。




