子供拾いました
再開を喜んで下さる声、2巻予約したよの声、誤字報告や感想をありがとうございます!
北大陸の港に着いた。
うん、港街というのは、何となくどこも似たような雰囲気になるようで、多少人の服装が違うかな?あと降り立った港街の全体の建物の雰囲気が違うかな?程度。
ちょっと匂いも違うかな?
前世の空港程の匂いの違いは感じられない。
結局は海の匂いが強いしね!
南大陸、北大陸とは言うけど、この世界、魔物とか精霊とか聖獣とかの影響で、気候がコロコロ変わるので、北大陸だから寒い、南大陸だから暑いなどと言うこともなく、人の暮らす場所ではそれほどの温度差は感じられない。
俺と助とアールスハインは港街のギルドに行って、周辺の魔物や盗賊の情報を買ったり、ディーグリーはラバー商会に行ったり、ユーグラムは教会に行ったり。
ここは元帝国の主要な港街だったので、それなりに栄えて発展もしている。帝国が崩壊してしまった後は、この港街を巡って熾烈な争いがあったらしいけど、今は中立地帯とされて、どこの国からも干渉されない商人の街扱いになっているとか。
ラバー商会はこの北大陸では中堅扱いだけど、細かく色々な町にも支店を展開していて発言力はなかなかのものと噂。
ここからブリュエンヌ国までは砂漠を越えて、十日間程かかる。
普通は街道を遠回りに行くので一ヶ月かかるところ、俺達は魔改造した快適馬車があるので砂漠を突っ切るぜ!
そしてこの周辺国の主な移動手段として重宝されてる動物は、牛?ラクダ?顔は駱駝で腹がパンパンに膨れてて、柄がホルスタイン。背中にコブは無し。名前はカウメル。
なんだろうかこの生き物は?
ボケ~っと眺めてたら鼻息をかけられてベロンとなめられた!ヨダレでベットベトになった!
ウエ~っとなって髪と顔を拭こうとしたら、カウメル飼いのお姉さんに止められた。
「ダメよ僕、カウメルのヨダレには虫除けと魔物避けの効果があるんだから、拭かずに塗りつけるのが正解!なかなかカウメルになめられることはないんだから得したわね!」
ウフフッ!とウインクまでしてきた。
いや、ヨダレを塗りつけるって!どんな効果があったとしても気が進まないんだけど?!
微妙な気分になりながら、お姉さんの見てない隙にさっと拭いた。
カウメルを二頭借りて料金を支払い特製の鞍を掛ける。
カウメルは駱駝のコブの代わりに、腹に水分を貯めてるそうです。
腹が凹んできたら水をたっぷりとあげないと一歩も動かなくなるのだとか。
餌は一日一個、ヤシの実みたいな硬い木の実をバリバリと齧るそうです。
町外れに移動して、砂漠へと出発!
街の人が無謀な奴を見る目で見てくるけど、全然平気だから!砂漠のど真ん中でも快適温度で過ごせる魔改造馬車だから!と一人ムフムフしてたら、アールスハインに頭をクシャクシャされた。
カウメルは足元が砂だろうが暑かろうが全然お構い無しに快調に走ってる。
魔改造馬車は重さも軽減してるので、どんなに荷物を積んでも、一人乗りのソリくらいの重さしか無い。
カウメル絶好調に飛ばしてます!
機嫌が良いのかたまにブエ~~ッと鳴きながらも何処と無く楽しそう。
走る速度は馬よりも遅いかな?
景色が変わらないので、スピード感覚が麻痺する。
途中にある小さなオアシスでは休憩を入れる。
快適馬車に乗りっぱなしでは砂漠を堪能できないからね!
そして何故か俺は、オアシスに着く度にカウメルによって、水溜まりのようなオアシスにポイされる。
そしてカウメルが俺の沈んだ水を、ウメェ~ウメェ~!とばかりにがぶ飲みする。
なんなの?俺エキスがそんなに旨いの?水浴びの好きなラニアンとハクが水溜まりに入ろうとすると全力で阻止するのに?俺エキス?俺エキスなの?!
悪意が欠片も無い行為なので、バリアも効かず、簡単にポイされる俺。
まあ涼しいし良いけど。
不貞腐れたラニアンが砂漠を走りに行ってしまった。
それをソラが追いかけていった。
猫って元は砂漠の生き物だって聞いたことある気がするけど、ソラがとても元気。
真っ黒なので熱をもろに吸収してより熱くなってそうなのにとても元気。
ハクだけ微妙に萎んでる感じ。
なのでハクには魔法で雨を降らせてやった。
プルンと艶が出た!
プラムとルクスは暑いのが嫌いなのか馬車から出てこない。
夜は一気に気温が下がり、その落差に驚くばかり。
カウメルは暑さには滅法強いが寒さには弱いので、カウメル飼いのお姉さんには、沢山毛布をかけて温熱の魔石で暖めてやってね!って言われたけど、タープに入れて毛布一枚かけただけで快適に過ごせてますよ!
そんな風に過ごした砂漠の旅の途中。
やっぱり泉に入らせて貰えなくて、不貞腐れて散歩に行ったラニアンとそれを追いかけていったソラが、何かを咥えて帰ってきた。
良く見るとそれは子供で、一人は五歳ぐらい、一人は十歳くらいのかなり汚れた子供だった。
痩せてガリガリ。
大きい方の子供が、小さい方の子供をガッチリ抱えて離さない。
その二人の腰の辺りを二匹で咥えて運んできた感じ。
取り敢えず意識が無い二人を馬車に乗せて、水の玉で洗う。
砂漠では乾燥して匂いが気にならなかったけど、馬車と言う限られた空間に入れたら凄く臭かった!
洗浄魔法を掛けながら洗っても、真っ黒い水が出るだけで一向に汚れが落ちきらない!どんだけ汚れてんのこの子達?!
まあ、匂いが軽減した所で一旦止めて乾かして、治癒魔法を連続で掛ける。
普段全く役に立たない鑑定で見てみたら、栄養失調と疲労と脱水。
あと小さい子の方は足が悪い。
それと二人とも水疱瘡的な流行り病にかかっていたので、まとめてサクッと治しといた!
魔法って便利ね!
二人をベッドに寝かせて口許がガッサガサなので、水に浸した布で口許を軽く拭う。
拭う度に舌がペロッと出るので、もう少し水分を多めにして含ませる。
寝てる人に水を飲ますのって凄く注意しなきゃいけないからね!
何度も何度も口許に水を含ませて、やっと少しだけ潤ったかな?って所で二人共力尽きた様に眠った。
それからは交代で何度か同じ様に水を含ませた布を当てたり、ほんのちょっとずつスプーンで水を飲ませてみたり、米をドロドロに煮た重湯を飲ませてみたり。
二日程で先に目を覚ましたのは小さい子の方。
ボンヤリと目覚めて、その時担当だった助を見て飛び起きて、隣の少年にしがみついて、パニックを起こして、重湯を持った俺が部屋に入っていったら、やっとホォ~~っと息を吐いて。
重湯を直接飲ませながら事情を説明すると、ワンワンと泣き出した。
大きい方の子は兄ちゃんで、沢山の子供達と共に汚くて暗くて狭い部屋に閉じ込められていたのに、ある日突然砂漠の真ん中に捨てられたのだとか。
兄ちゃんが自分を背負って馬車を追いかけたけど、追い付けなくて途中で倒れて、それからは兄ちゃんにおんぶされてずっと歩いていたのだとか。
うん、あれだね、奴隷制度のある世界。
流行り病にかかった子供を砂漠にまとめて捨てたとかそう言うことだね。
何とも胸糞の悪い話である。
取り敢えず助とプラムとルクスとハクを置いて、後の全員で他の子供達を探しに行った。
かなり広範囲をボードで飛び回って探したのに、全然見付からなかった。
子供を背負って歩く子供の範囲の予想を超えて捜索したけど、一人も見付からなかった。
誰か親切な人に助けられてると良いけど。
半日かけて捜索したけど見付からなかったので、後は子供達の運が良いことを祈るばかり。
馬車に帰ったら作り置きの料理を弟君が貪り食ってた。
そして吐いた。
そりゃそうだ、水も飲めない状態から、急に固形物なんか食わせたら、体が受け付けなくて吐くに決まってる!助のことは叱っておいたから、弟君は、まだまだドロドロのお粥からね!
涙ながらに兄ちゃんにも食べさせたいと訴える弟君。
ギャン泣きしながら土下座するので、兄ちゃんの方にも少しだけ濃い重湯を飲ませた。
これ以上は寝てる兄ちゃんには毒だから!と言い聞かせて。
兄ちゃんの方は、時々意識が戻っているような時もあるんだけど、まだ覚醒はしてない感じ。
なので少しでも意識が浮上した様子の時には、ちょっとだけ濃い重湯を飲ませる。
口に入れると咀嚼するような仕草も見せるので、ほんのりと粒の残った重湯も口に入れてみた。
うん、ちゃんと咀嚼してるね。
そうして覚醒はしないものの、少しずつ少しずつ粒の多い重湯が食べられるようになって、顔色も良くなって、弟君から遅れること三日後。
兄ちゃんもやっと覚醒した。
目ヤニで目が開かないくらいガビガビだったけど!
そしてまずは風呂に。
弟君が嬉しそうに連れていったので大丈夫だろう。
その間に昼ご飯の用意。
兄ちゃんと弟君にはトロットロに煮た薄味の煮豚とお粥、あと味噌汁。
どれも兄弟用に噛まなくても食えるくらい柔らかく煮た物。
暫く待ってもなかなか出て来ないので、覗きに行ったら服を持って固まってた。
「おおお~、きれ~なったね~!あたりゃしい服置いたから、きがえてね~」
声だけかけてまた料理に戻る。
後は盛り付けだけなので、本日の料理担当のアールスハインとディーグリーにお任せ。
風呂から出てきた兄弟は、綺麗サッパリとしたら美少年に変身してた。
うん、弟君を風呂に入れた時から予想してた!
真っ黒だった髪の毛が、緑がかった金髪だった。
あれだろうか?奴隷に売られる前に真っ黒に染めたとかだろうか?それくらい真っ黒だったし。
兄ちゃんは食ってる途中で泣き出しちゃって、頭を撫でてやったらさらに号泣して、やっと泣き止んだらまた食ってた。
で、寝た。
ちゃんと一旦起きてご飯食べてから寝たので、弟君も安心したのか、隣に潜り込んで寝ちゃった。
再開したことで再度読み返して下さったのか、初期の部分の誤字報告が新たに続々と届きました。
エンドレスな作業はいつ終わるのか………懲りずに頑張ります。ええ、頑張りますとも!




