ダンジョン後
【6/10 書籍発売】
誤字報告、感想をありがとうございます!
凡ミスとしか言い様の無い誤字が多くてすんません!
ご指摘、大変助かっております!
ダンジョンのある鉱山から繋がるトンネルを抜けると、すぐの所に伯爵家があった。
俺達は冒険者として来ているので、あまり豪華ではない応接間に通され、メイドさんが出してくれたお茶をご馳走になる。
「君達は外国から来ているのに、案内人も不馴れなようだが、素性を聞いても良いかね?」
「ああ、はい。私はラバー商会の行商をしているもので、仲間は以前からの友人です」
ディーグリーが行商札を見せると、ログセラー伯爵は繁々と見て、
「その若さでラバー商会の行商を任されるとは!ラバー商会とは我が家でも取引がある。成る程、それで推薦状か」
と勝手に納得してくれた。
「して、その推薦者には連絡はまだのようだが、どうするね?有料ではあるが、此方から人をやることも出来るが?」
「あ~、それはありがたいのですが、我々はもうこのダンジョンを出て帰る予定なので、冒険者ギルドに寄った後にでも、推薦者の方に報告させて頂こうかと」
「それはいかんな。このダンジョンを出た者は、先ず推薦者に挨拶をしに行かねばならん。そしてその推薦者の望むドロップ品を差し出すのが、推薦状を書いてくれた礼となる。礼もせずに冒険者ギルドにドロップ品を売ることは、推薦者の顔に泥を塗ることになる」
「その場合、鮮度の落ちた素材を推薦者の方にお渡しすることにはなりませんか?直ぐ様加工した方が良い素材も有るでしょう?」
「幸いこのダンジョンに出るのはリザード系ばかりだ、即加工するべき素材はほとんどない」
「あー成る程。ですが八階層以降には、ドラゴンが出ます。目玉や皮の加工は早い方が良いのでは?」
「!!それは本当かね?!ドラゴンが出るのかね?!」
「はい。大きさはまちまちですが、九階層は全ての部屋でドラゴンが出ました」
「!!確かに!ドラゴンの素材ともなれば、即加工に回した方が良いだろう!君達は直ぐにでも王都冒険者ギルドに向かうと良い!」
「ここから一番近い冒険者ギルドでは駄目なのですか?」
「残念ながら、付近の冒険者ギルドではドラゴンの加工が出来る職人が居ないのだよ。それよりも一刻も早く向かいなさい!ドラゴンが新鮮である内に!今回は特別にマグマグを貸し出すから、一刻も早く!」
アマテ国でもお世話になったマグマグさんがこの国でも移動手段として飼われているようです。
凄く焦った様子で急かされて、挨拶もそこそこに屋敷を出された。
マグマグに乗せられ王都へ向けて出発。
雪道もものともせずに走るマグマグ。
それでも五日の道のりでは無理せず途中でテント泊。
そもそもマグマグは鳥目なので夜は走れないし。
その辺の宿よりテントの方が快適だし、言っちゃなんだけどご飯も旨いしね!
マグマグ達のご飯はその辺の小物の魔物肉。
緑のスライムがお気に入り。
自力で取って食べてる。
緑のスライムは森に住んでる事が多いんだけど、道に出てくる魔物を追って森を出てくることも多い。
前世のゲームの定番とは違って、この世界のスライムはなかなかの強敵らしいけど、マグマグはそのぶっとい足でムギュッと踏んで、嘴で核を一突きで仕留め、中身をチューチュー吸っている。
ちょっと美味しそうに見えるんですけど!
あと風の魔法玉を食べさせると早く走る。
聖魔法玉をペット達に食べさせてたら興味津々で覗いてくるので、試しにあげようとしたらプイッと顔を背けられ、道に出てきた邪魔そうな魔物を風の魔法で吹き飛ばそうとしたら、魔法を食われた!
ビックリしてたら、道の魔物はマグマグが踏んづけて退治。
そして俺の手を催促するようにつついてきた。
試しに風の魔法玉を作ってみたら食った!
そして他の皆より速く走り出した!
それが面白かったのか、皆も各々のマグマグに風の魔法玉を食わせて、競うように走らせた。
雪道なのに、来る時の倍の速さで進むマグマグ。
テントのタープの部分に入れておけば、複数で身を寄せ合っておとなしく寝てくれるので楽。
トイレはちゃんと外でしてくれるし!あまり知能は高くないはずだけど、賢いマグマグでした!
そうそう!テント泊の二日目。
朝起きたらプラムが元の大きさのレッサーパンダに戻っていた!
は?と思ったら、大きさを自由に変えられるようになったそうなのだが、何故か小さい時はレッサーパンダ、大きくなるとハムスターと言う謎の現象が起きた。
精霊君の説明によると、変化の時のイメージが関わってくるとか何とかで、プラムの強い生き物のイメージがハムスターで、力を抜いてリラックスする時はレッサーパンダの方が楽だと思ってるからその姿になったそうな?
まあ、どっちの姿でも可愛いから良いけど!
森の中で精霊君とは別れた。
精霊君以外の精霊は無事のようで、大精霊達に今回の事を報告しに行くらしい。
いつかまた会ったら、お礼をくれるそうな。
馬で五日の距離を三日で走破したマグマグを、ログセラー伯爵家の王都屋敷に返して、宿を取って王太子妃様宛に手紙を書き、それをページュリーに預けてここでお別れ。
「案内人のはずなのに、色々世話になった」
「俺らは何もしてないけどね~」
「飯もすげぇ旨かった!」
「だろ~!」
何故か助が自慢気。
「教えて貰った訓練は続ける。絶対あんた等くらい強くなるから!」
「その頃には私達はもっと強くなってますけどね?」
「次会った時は手合わせ出来るように頑張るよ!」
「ああ、楽しみにしてる!」
一人一人握手して言葉を交わし、
「ありがとな!すげぇ強くて腰抜かすかと思ったけど!」
「ケータちゅよいよ!」
「ああ!度肝抜かれたよ!」
俺の頭を撫でて、最後にプラムと固い握手を交わし、ハクをモニモニしてお城へ帰っていった。
返事が来るのは早くとも明日以降なので、冒険者ギルドへ。
受付でダンジョン産の魔物の買取をお願いすると、なぜか後ろの方でザワッとしたけど、奥の倉庫に案内された。
倉庫には巨大筋肉と髭もじゃのちんまい爺さんが居て、ちんまい爺さんの方が、
「Aランク冒険者のダンジョン産魔物素材とは珍しい。ようこそミルリング王都冒険者ギルドへ。ワシはこのギルドの長でミスティックじゃ。こっちは解体担当のタイブ。ところで、この辺では見ない顔だがダンジョンとは他国のダンジョンかね?」
「あ~、アシュリ鉱山のダンジョンですけど、まずはこれを」
ディーグリーが取り出したのは、ログセラー伯爵が殴り書きした手紙。
追い出される前に急いで書いてくれたもの。
ギルド長へ渡せ!と言われたやつ。
手紙を読んだギルド長は、
「ド、ド、ド、ドラゴンじゃと?!タイブ!ジョーシュとギムズを叩き起こして連れてこい今すぐじゃ!」
「どうしたんです?ギルド長?」
「ドラゴン素材の加工じゃ!急げ!ドワーフ共を連れてこい!」
すごい剣幕で怒鳴り、ちんまい爺さんが巨大筋肉を蹴り出した。
「それで!どんなドラゴンじゃ?」
凄く興奮しながら近寄ってくる。
鼻息も荒い。
ディーグリーは落ち着かせるように両手を前に出して、
「あー、六匹ほどいますが、解体はお願いしたいのですが、その後の買取は少し後になりますが良いですか?」
「なぜじゃ?!ドラゴンの素材などオークションに出しても即日完売するぞ?」
「推薦者の方にまずは報告と加工した素材の希望部位を献上しませんと」
「はうっ!そうじゃった!それがあったか~~」
しおしおーーと萎れる爺さん。
そこへバタバタとした足音。
さっき蹴り出された巨大筋肉がガッチリした小人筋肉を両脇に抱えて来た。
「ギルド長、ジョーシュとギムズを連れてきたぞ!」
「何じゃ~ミス、ワシ等はまだまだ寝てる時間じゃぞ!」
「そうじゃそうじゃふぁぁぁ~」
両脇に抱えられながら文句を言うドワーフ。
「ドラゴンじゃ!ドラゴン素材の加工じゃ!さっさと起きて用意をせんか!」
「「なに?!ドラゴン?!」」
ドラゴンと聞いた途端バチッと目を覚まし巨大筋肉の脇から抜け出して、急にテキパキと動き出すドワーフ二人組。
何もなかった倉庫中央に大きな机が置かれ、刃物や道具が脇の机に並べられていく。
あっという間に解体準備が調って、
「「ほれ、ここへ出せぃ!」」
声を揃えて、机を両手でバンバン叩いてる。
その姿が、前世の腹減りの甥っ子達を思い出す。
ディーグリーが皆を見回し、一つ頷いてから俺に目配せしてくるので、一番小さいドラゴンを出す。
風属性の緑色のドラゴンの皮と目と爪と牙。
肉は自分達で食べる為に俺のマジックバッグ内にあります!これは売りませぬ!
「「「ふおおおおおーーー!」」」
ギルド長とドワーフ二人が同時に叫び、涎を垂らさんばかりにドラゴンの素材にかぶり付いてガン見してる。
「牙と爪は剣と短剣か?!」
「皮は防具で、鱗で鎧も作りたいがちと小さいの?」
「目玉じゃ!こんな完璧な状態の目玉は見たこともない!」
大興奮のご様子。
「おーい、興奮するのは分かるが、まずは加工しようぜ?何を作るかはまだ決まっちゃいないんだからよ!」
巨大筋肉が凄くまともな事を言って、おっさんドワーフと爺さんギルド長を促した。
「「「はっ!そうじゃこうしちゃおれん!鮮度が命!!」」」
うん。急にテキパキ動き出したけど、あと五匹いるから急いでね!
見てても暇なので、他のドラゴン素材出してお任せしようとしたら、一人は確認の為に残ってないと駄目だと怒られた。
最高級ダンジョン素材は目の前で直ぐに加工するので、不備が無いように見張りを置くんだとか。
ギルド側に不備があれば、その素材の適正価格を全額弁償になるので、冒険者側も真剣に見張るんだとか。
今までのダンジョンでそんなことしたこと無かったよね?そう言ったら、ミルリング国ではその様な制度を取っている!とか言われた。
国によって違いがあるのがとても不思議。
「冒険者ギルドや商業ギルドって、その組織自体が運営してるんじゃなかった?」
「あ~、ミルリング国の冒険者ギルドは、一度失態を犯してギルド組織から撤退されそうになったことがあってよ。それ以来お互いに見張る意味でこう言う制度になったんだよ」
聞いてみたら、もう何十年も前だけど、Sランク冒険者が納品した最高級素材を、ギルド側が傷物と評価し買い叩こうとしたらしく、Sランク冒険者大暴れ。
その素材を持って他国のギルドに行き、再評価をして貰ったら、間違いなく最高級素材で傷も無し、との事でそのミルリングのギルドは冒険者ギルド組織から監査が入り、それまでの不正が明らかになったんだとか。
そしてミルリング国から冒険者ギルド撤退の危機にまで陥ったとかなんとか。
そして今はこの制度が取られ、不正のしようがなくなったそうな。
取り敢えず一人居れば良いらしいので、交代で立ち会う事にして他の皆は宿に戻りました。




