アシュリ鉱山のダンジョン 4
【6/10 書籍発売】
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
相変わらず雪が積もってる。
鉱山夫達はもう既に働くものはおらず、こちらを見ながらワイワイと盛り上がっている。
鉱山部分には入れない、カルデラの底の部分に冒険者達のテントも並んでる。
昨日入った部屋には、最初のドラゴンと同じ風のドラゴンが一匹だけだったので、予想外にサクッと狩れてしまって拍子抜けして、あとは体を休めるために休みにしたので省略。
ハズレを引かなければ今日で鍵が揃うはず。
扉を開いて攻撃をやり過ごし、現れた魔物を見ると、昨日よりも二回り大きなドラゴン。
色は濃い青。
肌もゴツゴツして強そう。
今日もヤル気満々のプラムも混ざって討伐開始。
プラムも自分の体に慣れたのか、空振りも減り、身体強化も所々成功してる。
突然早くなる動きに、ドラゴンも不意を突かれたりして。
それでも強さが増したので、中々傷を負わせられない。
魔法も通りが悪いのか、動きを制限する魔法を連発しているのに、いまいち効かない。
これはまた長引そうな予感。
『ほう?人間にしてはドラゴン相手に、良く怯えもせずに戦っている』
「前にもっとでっかいのたおしてるからね」
『人間も強くなったものだ』
「まだまだ、いちぶーだけだけどね」
『人間は他に影響され、進化も早い。広まるのも早いだろうよ』
「まもの、おおすぎるかりゃいいんじゃない?」
『確かに。元女神のせいで、今の世は魔物が増えすぎている。だからと言って、人間に期待しすぎるのもどうか』
「まものへるのダメ?」
『魔物は減ってほしいが、人間の寿命は短い。代替わりも早いが、強さが引き継がれるとは限らんだろう?』
「そう?せーれーは、たたかわない?」
『我等は物質に影響を及ぼすのが難しい』
「せーれーって、何やってるの?」
『精霊は自然を整える事が役目』
「しぜんをととのえる~?」
『自然は時に歪みを産み、そこに淀んだ魔力は魔物を産み出すこともある。それを魔力を整え歪みを作らぬようにする』
「生まれちゃったら?」
『それもまた自然なこと。我等にはどうすることも出来ない。だからなるべく生まれる前に対処するのが肝心』
「ふ~ん」
『聖獣は、さらに広い世界の魔力を整えるのが役目』
「でもかみしゃま、好きにしていいって」
『小さき聖獣の辿った道は、不思議と歪みが解消し、魔力が滞りなく流れると聞く。そのようにゆるりとした魔力の整え方もあるのだろう』
「へ~?」
聖獣である俺の近くは、自然と漏れ出る魔力が居心地良いらしく、風の元大精霊は常に、俺にピタッと引っ付いている。
食事は聖魔法玉。
ゆるくお喋りしながら編みぐるみを作っている。
ルクスの分と、姿の変わったプラムの分。
ルクスはほぼ丸なので作るのは簡単。
プラムのぽてっと感を出すのが中々難しい。
あと縞々の細い尻尾が面倒だけど、頑張ってそれなりに良い出来に仕上がった。
ルクスに見せたら驚いたのか固まってた。
二匹並べて見比べたりしてたら、頭上をドオオオンと大きな影が飛んできて、振り向いたらユーグラムが倒れてた!
バリアのお陰で無傷なんだけど、尻尾でバリアごと飛ばされたらしい。
すぐに立ち上がってまた向かっていったけど。
プラムも含め、皆も結構傷が出来てて、同じくらいドラゴンも傷ついてる。
それでもまだまだ時間は掛かりそう。
「そーいえば、りっちーどこ行ったの?」
『水中に閉じ込められた後の事はわからん。が、このダンジョン内には居ないようだ』
「ほかのせーれーはだいじょぶー?」
『わからん。ここからでは確めようもない』
「だんじょんから、出ればわかりゅ?」
『ああ、外へ出ればわかる』
「りっちーのばしょも?」
『あれは少々他の魔物とは違うので、出て見ないことにはわからん』
「まもにょにも、とくしゅこたいいる?」
『魔物だけでなく、動物でも人族でも稀に通常とは異なる個体が現れる事はある』
魔物にも特殊個体が居るそうです。
皆はなかなか苦戦しているようで、お互いに致命傷を負わせる事も出来ず、傷だらけになりながら戦っている。
昨夜言われたので、今回は治癒魔法玉を投げていない。
ユーグラムがたまに直接触って治癒を試みているが、基本、治癒魔法はとても高度な魔法で、個人個人の魔力に合わせて魔法を使う者が魔力を調節し、慎重に施す魔法なので、動きながらや攻撃の片手間で出来る事ではない。
ほんの僅かでも治癒していることは、ユーグラムの魔法の制御が素晴らしい事の証明でもある。
俺の場合は、聖獣特性で魔力反発が起きないので、ポンポン投げても問題ないようだが。
聖獣の魔力って、空気中にある魔力と似たようなものらしく、人にも動植物にも害が無いんだって。
魔物にも害は無いそうだけど、魔物相手には意識して聖魔法を使うので、簡単に倒せてしまうそうです。
そんな説明を精霊から聞きながら、何時もの昼飯時。
未だドラゴンとの戦いは続いている。
ドラゴンも皆も傷だらけで、ゼイゼイと言うよりヒューヒュー呼吸してる。
ページュリーは皆に触発されたのか、ハクとの訓練に気合いが入りすぎて、魔力切れを起こし倒れてる。
ラニアンとソラは暇すぎて身を寄せあって寝てるし。
夕飯時になっても戦いは続いている。
ページュリーは一旦起きたけど、戦いが続いているのを見て、また訓練を始め今は気絶してる。
ハクに埋もれてスイートポテト片手に観戦。
ソラとラニアンは甘いものに興味無し。
ハクはプリンの感触がお気に入りなのか、触手でつついて遊びながら食べている。
半透明なハクがカボチャプリンを取り込むと、数分間薄黄色になるのが面白い。
ユサユサされ起きてみれば、傷だらけの皆が達成感で満面の笑みを浮かべていた。
立っているのもやっとなのか、お互いの肩を支え合っているのに満面の笑み。
プラムも薄灰の毛皮のそこらじゅうに血が滲んだり毛が固まったりしてるのに、
「ヤヤーーヤーーヤーー!!」
と雄叫びをあげながら両手を突き上げている。
急いで治癒魔法を掛けて、ドロップ品であるドラゴンの皮と牙と目玉と爪と肉と鍵を回収。
興奮状態のプラムが頭に担ぐようにページュリーを運んで、休憩所に移動。
部屋を出ると夜中だった。
うっすらと光るダンジョン内。
外は暗くて人の姿も見えないが、篝火が揺れている。
夕飯?は作り置きのご飯に角煮をのせて丼にして出したら、物凄い食い付きだった。
匂いにつられたのかページュリーも目を覚まして一緒に食べ出した。
デザートのスイートポテトも完食して、そのまま全員がバタンと倒れて即寝落ちした。
ソラとプラム以外のペット達と風呂に入って、俺はちゃんとベッドで寝ました。
おはようございます。
何時もより遅い起床。
皆が風呂に入っている間にご飯を炊いて、朝御飯は卵かけご飯。
ゾゾゾーーーっとすするように卵かけご飯を流し込む皆。
ページュリーが驚いているが、恐る恐る食べてその後は皆と同じようにゾゾゾーーーっと流し込み始めた。
炊いたご飯がなくなった。
昨日のドラゴンで無事鍵も手に入ったので、今日は更に上の階へ。
ダンジョンの外がザワザワとしてるのが見てるだけで分かる。
昨日のドラゴンで皆の実力的にもギリギリだったので、無理はしないけど一応覗いてみるだけ。
鍵を開けて十階層に入ると、見るからに扉の数が少なくなっている。
中の部屋が広くなってドラゴンが大きくなってるって事かな?
何時ものようにすぐ側の扉から中に入ると、定番の攻撃が来る。
今回のは氷柱のような先の尖った氷が矢のように飛んで来た。
まあ、漏れ無くバリアで反撃されるんだけど。
昨日のドラゴンの更に倍程に大きなドラゴンは、青い体表に白い縞模様のあるアイスドラゴンだそうです。
一応アールスハイン達が肉体強化と魔法剣全開で向かっていって、何度か攻撃もしてみたけど、傷一つ付けられず、尻尾の一振で全員がふっ飛ばされてしまったので、この階層は自分達にはまだ早いと判断した。
それでは久々の俺の出番です!
ソラとラニアンとハクも参戦。
ルクスは相変わらず俺の頭の上に居るけど、バリア内なので大丈夫だろう。
「GURAAAAAAAーーーー!!」
威嚇のように吠えるドラゴンに、
「ニャ~」
「キャン!」
「ムムーーー!!」
と吠え返す我がペット達。
迫力は全く無いが、何故かドラゴンが怯んだように見える。
一番手は風の魔法を纏ったラニアン。巨大化して鋭い爪でドラゴンの両足を切り付ける。
それに続くはソラ。やはり巨大化してドラゴンの両手の付け根を切り付ける。
そしてハク。ハクは巨大化はせずに、ボールのように弾んでドラゴンの背に乗り、触手で持ってその翼を拘束。
憐れドラゴンは両手足を深く傷付けられ、翼も拘束され地に落とされた。
尻尾と首の動きだけで三匹に抗っているが、我がペット達は楽しそうに避けているだけ。
そこへ近付いてプスッと頭に剣を差すだけの簡単なお仕事です。
相変わらず性能の可笑しいカッター型剣。
うん、これは神様がくれた能力なので、俺のせいじゃない!
ドラゴンがキラキラと粒子になって消えた後には、一回り小さくなったドラゴンがそのままドロップ品として置いてあった。あと鍵もあった。
この鍵はダンジョンから出ると消えてしまうので、普通にポケットに入れて、ドラゴンはマジックバッグに。
皆の元に戻ると、苦笑する皆の隣で唖然と固まるページュリー。
口も目もパカーンと開けて、イケメンが台無し。
そんなページュリーを引っ張って部屋から出て、ダンジョンから出る準備。と言っても特に何もないので、ただ来た道を戻るだけ。
帰りは普通に扉を開けて出ていけるので、とても簡単。
ダンジョン外が凄くザワザワしてる。
そして人の居る階層まで下りてくると、直接声は掛けられないものの、道を開けられ、通り過ぎた途端ウオオオオオとか雄叫びをあげられる。
ビクッとするので止めて欲しい。
一階層のダンジョン入り口を出ると、大勢の人集りが出来ていて、口々に何かを叫び、跳びはね、踊ってる奴まで居る。
そして正面にはなんか偉そうなおっさんが居る。
「ダンジョンの階層更新おめでとう!素晴らしい活躍だった!それで?君達は推薦者に報告は済んでいるのかね?」
「ええと、階層更新をすると推薦者の方に報告する決まりがあるのですか?」
ディーグリーが案内役でもあるページュリーをチラ見しながら聞けば、未だ呆然としていたページュリーも首を傾げる。
「なんだ知らんのかね?階層更新と言う偉業を成した冒険者には、推薦者である貴族から勲章と褒賞が贈られるのが慣例なのだよ。まあ勲章と言っても、貴族家の領地内でしか通用しない物だがな!」
「ああ、そうなんですね。私共はこの国に来て間もないもので知りませんでした」
「それで良く推薦状を貰えたな?」
「まあ、その辺は詳しいことは控えさせて頂きますが。ところで貴方は?」
「ああ、ワシはこの鉱山とダンジョンを治めるログセラー伯爵家当主じゃ。君達は何も知らないようだから、色々と説明をしよう、一先ず我が屋敷に来たまえ!」
と言うことで伯爵家にお呼ばれしました。




