国境付近 新しい仲間
誤字報告、感想をありがとうございます!
荒れ地は続くよ何処までも。
リュグナトフ国境とミルリング国境の間にある荒野は、馬車で二日の距離がある。
不毛の地なので誰も土地の所有権を主張しない。
そんな荒野を半日。
お昼休憩も終わったばかりなのに馬車が止まった。
外がザワザワして、全体を護衛する冒険者チームのリーダー、放浪の風のアンガスさんが馬車を訪ねてきた。
「どうされました?魔物が出たにしては慌てた様子もなく」
「あ~、それが俺達にも判断が付きにくい事が起きてよ、商会の人達にも一応相談しようかと。悪いがちょいと顔を貸してくれ!出来ればそっちの兄さんにもな?」
アンガスさんがアールスハインにも目配せしてくる。
トウガンさんとアールスハインが馬車から出ていくのに付いていく。
一応俺もチームのリーダーだし、暇だし!
デブ猫スタイルで昼寝中のソラではなく、ラニアンに乗って先頭まで。
他の冒険者チームのリーダー達も集まって、何やら話し込んでいる。
「それで判断が付きにくい問題とは?」
「あれよ!」
アンガスさんのチームの女性魔法使いが杖で離れた場所を示す。
「何です?」
「ちょっと距離が有るけど、鳥形の生き物が居るでしょ?」
「ああ、確かに!」
「魔物にしては襲ってこないし、邪悪さも感じないんだけど、たまに羽根を広げて存在をこちらに知らせているようにも見えるし、何より尋常じゃない魔力を感じるのよ。このまま通りすぎて良いものか、分からなくてね?」
何か居るようだが、俺からは見えない。
ので、アールスハインをよじ登ろうとしたら抱っこされて持ち上げられた。
知り合いでした。
「お、ちりあい」
「ああ、ケータの知り合いね」
「行ってくる」
「ああ」
アールスハインに断って、鳥形の生き物の元へ。
後ろの方では、アールスハインが説明してくれてるようで、話し声はするが止められたりはしない。
ラニアンの駆け足ならすぐについて、
「ひしゃしぶり~、どうしたの?」
『久しいのかの?人の時は分からん。ちと頼み事があっての』
「うん?」
『魔力溜まりで魔力を補充しておったら、思いがけず吸い込み過ぎて聖輝石を産み出してしもうての。力が満ちた状態でも無いのに産み出してしもうたせいで、不完全なものになった。一応形は取れるようだが、上手く魔力を吸い込めぬ様子。小さき聖獣よ、そなたの魔力を分けてはやってくれまいか?我では力の加減が解らず、壊してしまうやも知れぬ』
「どこにいんの~?」
『ここにおる』
そう言ってフェニックスは、自分の羽根の内側から小さな塊を、嘴でヒョイッと摘み俺に差し出した。
俺の片掌に乗る大きさの、小さな雛鳥は、真っ白い羽毛に真っ赤な目の真ん丸のフェニックスの赤ちゃんでした。
その首元には、とても小さいが聖獣特有の聖輝石が羽毛に埋もれてチラッと見える。
「お~、かわいい!」
取り敢えず餌付け。
指先から聖魔力を雫の様に垂らしてみる。
雫を嘴でカプッと噛む様に飲み込む赤ちゃんフェニックス。
ふわっと体が輝いて、催促するようにさらに指先をつつく。
満足するまで飲んだのか、最後にプシュッと吹き出し頭を振って、フワッと飛ぶと俺の頭に着地して動かなくなった。
『ふむ、満腹になって寝たの』
「おきるまでまつ~?」
『いや、我では満足に魔力を与えられぬ。自力で魔力を吸える様になるまで、預かってもらえぬか?』
「いいよ~」
『ありがたい!たまに様子を見に来るで、頼むの』
「は~い」
『これは礼じゃ。それとこの先にワームの巣が有るぞ』
フェニックスの羽根を貰いました。
そしてフェニックスは去っていった。
俺も皆の元へ戻ると、アールスハイン以外の皆が微妙な顔でこっちを見てた。
「何だったんだ?」
「まりょく、うまくすえない、あかちゃんあずかった」
「上手く魔力の吸えない赤ちゃん?」
頭の上を指差すと、全員が俺の頭を覗き込む。
「うん。確かに赤ちゃんだけども」
「間違いなく赤ちゃんだな」
「魔力を吸えない妖獣って居るの?妖精や妖獣って息を吸う様に魔力を吸収するんでしょ?」
「赤ちゃんだから下手なんじゃね?」
「そう言うもん?」
「いや知らねーし!」
「まあまあ、危ない事は無かったのですから」
頭上で勝手に話が進んでいくので放っといたら、危険じゃ無いなら問題無しって感じで纏まった。
あ、危険と言えば、
「このしゃき、ワームのす、あるって」
「ワームの巣だと!それを早く言え!どうする?!先に行って殲滅するか?」
「巣の大きさによるでしょ!」
「兎に角場所の確認が先だろ!」
「迂回出来ないのですか?」
「ここらの荒れ地に巣を作るワームは、見つかると追ってくるぞ!だから先に魔法なりで弱らせて殲滅する方が安全だ!」
「兎に角、巣の位置の確認。それと魔法の撃てる魔法使いの確認!すぐによ!」
「おう!」
「分かった!」
「商隊はどうすれば良いですか?」
「それは巣の位置の確認が終わってから!暫くはここで待機!」
アンガスさんチームの女性魔法使いの指示で皆が一斉に動き出す。
偵察には、アンガスさんのチームと、その他三人程が向かうようで、俺達は今は、いつ戦闘になっても良いように警戒しておけば良いそうです。
普段ならお茶飲み休憩の時間。
偵察に行っていた冒険者達が帰ってきて、チームリーダーと各商会の代表者が呼ばれた。
「偵察の結果、かなりデカイ巣を発見した。殲滅には四日は掛かるデカイ巣だ。これから作戦を考えなきゃならねぇが、各チームの魔法使いには助力を頼みたい。一応他の魔物も警戒して、チームで二人はこの場で商隊の警護。他のやつはワーム殲滅に協力してくれ。今夜中に作戦を考え、明日の朝から殲滅に入る」
この場で夜を明かすので、各々に夜営の準備。
明日は朝から戦闘になるので、早目に夕飯を食べて寝ることになった。
おはようございます。
フェニックスの赤ちゃんに額を歩かれる感触で目覚めました。
目を開けたら逆さまに俺を覗くフェニックス赤ちゃん。
円らな赤い目が、腹が減ったと訴えているようで、朝から聖魔力を食べさせた。
食べ終わったら、まだ寝ているラニアンの頭に登りそこで寝た。
フェニックスって、火の鳥だと思うんだけど、親フェニックスも赤ちゃんフェニックスも普通に白い。
攻撃するときは赤く火を吹いたり、全身に火を纏ったりするのだろうか?
天気は晴れ、風が強い。
今日はワームの殲滅の日。
助とディーグリーとプラムを見張りに置いて、俺達は殲滅班に参加。
アンガスさんチームの先導でワームの巣に向かうと、一見何もない荒野に見えるが、アンガスさんの説明でよ~く見ると、落とし穴を作った跡のように微妙に草が散らばっていたり、土が盛り上がる場合があったり。
そしてワームは土の上を歩く振動を感じてズドンと出てくる。
これをどうやって魔法で攻撃するかと言うと、とにかく撃ちまくって土に衝撃を与え、出てきた所を突撃して倒すそうな。
巣の大きさを正確に見分けるのがとても難しく重要なんだとか。
取り敢えず水の玉を大量に転がして、巣の範囲を調べてみようか?
ユーグラムと相談してアンガスさんに提案してみる。
「魔法の事はよく知らねーが、それで巣の範囲が分かるなら楽だな?」
「そんな広範囲に魔法が届くの?」
アンガスさんチームの女性魔法使いが疑わしそうな目で見てくる。
説明するのも面倒なので、実際にやってみる。
ユーグラムと大体の範囲を決めて、大量に水の玉を出し、一斉に転がす。
縦横無尽に転がる水玉に反応して、ワームがズドンズドン出てくる。
ダンジョンで見たワームよりも細く小さいが、二メートルのミミズってキモいね!
とにかく今は、巣の範囲を知るためにただただ転がす。
そしてワームの巣の範囲が分かったら、その範囲を水の柱を立てて区切っていく。
「お、おおお、凄いなお前達!こんなに簡単に巣の範囲を見分けるなんて!大体の数も分かったし、助かったよ!んじゃぁ次は俺達の番だな!ヤローども!行くぜ!」
うおおおおお!と雄叫びをあげて走っていくアンガスさん達。
その後ろから、アンガスさんチームの魔法使いが魔法を撃って、ワームを誘きだしている。
ズドンと出た所をザクッと切る。
俺達も魔法を撃って、ワームを誘き出す。
アールスハインも次々ワームを切っている。
ワームは切られてもすぐには動きを止めずにのたうっているので、死体が多くなると大変そう。
なので土に魔法を掛けて土人形を作り、ワームの死体を移動させる。
アマテ国のダンジョンで見たような、精巧なゴーレムは無理だけど、埴輪のような、ただ物を運ぶだけの人形ならそれ程難しくない。
たまに魔物と思われて攻撃されるけど、土の塊なので再生は簡単。
ワームを運んでるだけなので、冒険者達も咄嗟に攻撃しただけで、襲ってこないと分かると無視してくれる。
理解が早くて良いね!
魔法を撃つ人は足りているので、土人形を操作するだけでは暇になり、ワームの死体を見物する。
山と積まれたワームの死体は未だウネウネ動いてるけど、ダンジョンのワームとは質感が違う感じ。
突撃隊が触っても害は無さそうだったので、ツンツンしてみる。
特にネチャッとしたりは無く、表面は乾燥して弾力があるのに硬い。
うん。これは使えそうだね!
ワームの死体の使い道を考えながら、ワームの巣の範囲を回る。
ワームが逃げ出さないように、水柱の外の辺りを土魔法で固めていく。
ちゃんと地中まで。
一周した所でお昼休憩。
ワームは振動を感じない限り出てこないので、休憩してても大丈夫。
商会の人達がお昼ご飯を用意してくれて、それをありがたく頂く。
ご飯を食べ終わってからの休憩時間に、ディーグリーとトウガンさんを捕まえ、ワームの死体を見せる。
「ワームの死体がどうかしたの?」
「こりぇ、だんりょくあるから、タイヤになるよ!」
「「タイヤ?」」
「しゃりんにまくといいよ!」
「車輪にまく?」
「車輪にまく、ああ!成る程!」
トウガンさんには通じなかったけど、ディーグリーには通じたようで、ワームの死体を解体して皮だけにすると、車輪に縛り付け出した。
それを見て理解したトウガンさんも、商会員に声を掛け、ワームを解体、車輪に縛り付け出した。
そしてテスト。
特に支障無く動き、多少揺れが軽減された馬車。
「おおお!揺れが少なくなった!ワームの皮にこんな使い道が有ったとは!」
「お~、ケータちゃんやる~!早速ワームの皮を確保しないと!」
「ええ、そうですね!大量に欲しいところです!」
ラバー商会が騒ぎ出した。
そしてワームの死体を買取りする話になった。
まだ耐久性等は確かじゃないので、走りながら検証するそうです。
ただの邪魔なワーム退治が、お金になるってことで、冒険者達も張り切り、発見当初四日掛かるって言ってたワーム殲滅は、半分の二日で終了しました!
先日予告させて頂いた通り、4月からは更新が滞ります。
ストックが無くなってしまったのと、オミクロンさんのせいで仕事がアホみたいなシフトになり、まとまって書く時間が取れないせいです。
なるべく早く戻れるように頑張りますが、次は何時になるかはまだ分かりません。すみません!
でも必ず続きは書く気でいますので、その時はまたお付き合い頂けると嬉しいです!




