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助の実家

誤字報告、感想をありがとうございます!

 助の兄に案内されて通されたのは、客間ではなくリビング。

 入る前から猫なで声が聞こえる部屋。


「ミミちゃ~ん、ジジはこっちでちゅよ~、ジジの所までこられるかな~?いっちに、いっちに、上手でちゅね~!」


「………………………」


 あちゃーって顔で頭を掻く助兄。

 顔を引きつらせながら助が、


「な、なあ兄貴、あの声って親父だよな?」


「あ~、タイミングが合わなくて、お前には伝えそびれてたんだが、兄貴に子供が生まれてよ、それが女の子だってんで、家中大騒ぎになって、親父がぶっ壊れた」


「あー。何十年振りだ?スパーク家に女の子が生まれんの?」


「四、五十年振りらしいぞ。隠居してるじじぃまで出てきやがって、大騒ぎだよ!」


「あー」


「親父、お客さんとティーが来たぞ!」


 乱暴にドアを開け、ズカズカと部屋に入っていく助兄に続く。


「こらっレナン!ミミちゃんが驚くだろう!もっと静かに穏やかに入ってこい!」


 可愛らしい幼女を抱っこした、厳ついおっさんが怒っている。

 幼女はそのやり取りにふえっと泣きそうになっていて、慌てておっさんが宥めている。


「ミミちゃん大丈夫でちゅよ~!怖かったでちゅね~、あんなおじちゃんは、ジジがポイちまちゅからね~」


 こちらへ向ける顔と、幼女に向ける顔の落差が激しい!


 同じ部屋に居たたぶん助母が、慌てておっさんから幼女を受け取り、深くお辞儀をした。

 その事で俺達の存在に気付いたおっさんが、アールスハインの顔を見て、慌てて礼の姿勢になった。


「これはこれはアールスハイン王子殿下!このような場所へようこそお出で下さいました!私は……」


「いやいや親父、今更取り繕っても、ジジ馬鹿全開の場面見せられてるから!」


「何だとこの放蕩馬鹿息子!何の連絡も寄越さずに冒険者になどなりおって!学園を飛び級したなどと後から知らされた親の身にもなれ!いらぬ恥をかいたわ!折角鬼属へと覚醒したと言うのに、お前は…………」


「はいはい、お客さんの前で説教始めんなよ!逆にそっちの方が恥ずかしいわ!」


 助兄の執り成しで落ち着いた助父。

 今更客間に移動するのも何なので、そのままリビングでお茶を出され、用件を話し、通信用魔道具を渡す。

 助への説教は、軽い愚痴程度ですんだ。

 が、今俺は、辺境伯な助父に物凄い形相で睨まれている。

 なぜならミミちゃんが、俺にべったりとくっついて離れないから。

 一同がソファに座った途端、トテトテと歩いてきてソファをよじ登り、俺の隣に座って抱き付いてきた。

 ニコニコしながらたまに頬っぺたにチューっとする。

 幼児同士のやり取りに、助母は、あらあらまあまあと微笑ましそうに見てくるだけ、その隣から殺人光線並みの眼光で睨んでくるおっさんにはお構い無し。

 他のメンバーは、お前ら声を出さずに笑ってるな?!


 見た目は幼児でも中身はおっさんの俺は、鬱陶しい視線に怯える事は無いけど、面倒臭さが顔に出てると思う。

 そんな中、新たな野太いのに猫なで声が!


「ミミちゅわ~ん!パパ速攻でおちごと終らせて来たよ~!さみちかったでちゅか~?パパが来たから、もう大丈夫でちゅよ~!」


 スキップしながらリビングに入ってきたその人物は、ミミちゃんにチューされてる俺を見て、無言で攻撃を仕掛けてきた!

 俺だって見た目は幼児なのに、容赦ないな!

 まあ、バリアで跳ね返るんだけど!


「ちょっ、ちょっと兄貴!相手は幼児!ミミとそんなに変わらない幼児だから!本気で攻撃してんじゃねーよ!」


 慌てて助兄がミミちゃんパパを羽交い締めにして止める。

 ミミちゃんパパは無表情で歯軋りしてる。

 そしてさらに遅れて今度は女性が登場。

 リビング内の状況を見て、木剣を持ってるミミちゃんパパを見て、躊躇すること無く、ミミちゃんパパの頭を拳骨で殴った!

 拳骨で殴った!

 見た目はフワフワと柔らかそうな可愛らしい女性なのに、縦も横も大きな強面のミミちゃんパパに、容赦も躊躇いも一切無く、拳骨で、殴ったよ!

 ええ~?と驚くばかりの俺達に、


「あなた、頭を冷やしてきて下さいませ。他所のお子様に木剣とは言え剣を向けるなど、騎士以前に大人のすることではありませんよ!」


 コテンと首を傾げて言う奥さんの言葉に、ミミちゃんパパはビクッとしてから無言で部屋を出ていった。

と思ったらドアの所から俺を睨んでた。


 ええ!奥さん最強?!こんなに可愛らしい見た目なのに?

 リィトリア王妃様といい、女性は計り知れない存在よね!と知りました。


 用件は済んだので、帰ろうとしたら、ミミちゃんが離れてくれません!

 仕方ないので、以前ダンジョンで謎肉を手に入れるために周回した時に出て売りそびれた、巨大熊のぬいぐるみを出してみた。

 さわり心地も中々の逸品に、ミミちゃんもご満悦で俺から離れてくれたので、そそくさと退散しました。

 その際に、助がディーグリーから買ったカルタとソロバンを兄嫁に献上してた。

 兄嫁が大層喜んでいたので、助兄のミミちゃんパパはグヌグヌしてた。


 本当は、助の実家に泊まる予定をしてたけど、そんな雰囲気ではなかったので、街に宿を取りました。


 ミミちゃんが生まれた事で、助を当主に!って話は流れたみたい。

 助の家族の紹介もないまま出てきちゃったけど、まあいいか、ってそれも流された。


 助の家族の印象が、ミミちゃんに全部持ってかれたけど、それはそれで、ミミちゃんの安全の為にも、家族一丸となって辺境伯領を守ってくれるだろうしね!


 街の宿は寝心地の良い宿を取ったので、夕飯は街のレストランへ。

 行く途中に、


「ねぇ、今日こそデートの誘いを受けてくれるだろう?俺は本気だよ!家なんか捨てても良い!君と結ばれる為なら、俺は何だってするよ!」


 妙にハキハキとした歯切れの良い大声での口説き文句が聞こえて、そちらを見れば、どこか助に似た男の人が、花屋の店員に迫っていた。


「あ~、ユー兄」


「あ?邪魔すんな!…………ん?ティーじゃねーの?お前何時戻ってきた?いや、だが今は邪魔すんな!俺はとても忙しい!」


「こっちだって仕事中で忙しいんです!帰って下さい!」


「そんな冷たい事言うなよ~、俺はこんなにもリティちゃんを愛しているのに!」


「そこら中で愛を叫ぶ人は信用なりません!」


「あー、兄の肩を持つ訳じゃないが、一応言っておくと、兄貴は一途だぞ、すぐ振られるから相手が多いように思えるだけで」


「そうなんですか?でもスパーク家の兄弟は恋多き兄弟って有名ですよ?」


「うん。確かに惚れっぽい所は否定出来ないが、付き合い出せば一途だしマメだし、悪い相手ではないと思う。ただ何故かすぐ振られるけど」


「おまっ、一言余計だわ!確かに何故かすぐ振られるけども!」


「その原因が分からないから振られるのでは?別れる時に言われるセリフとか無いんですか?」


「「本当に私だけ?って言われる」」


 兄弟の声が被ってるし!


「浮気してるんですか?」


「「そんな事実は無い!」」


「なら何故疑われるんでしょう?」


「「それが分からん!」」


 兄弟揃って同じ理由で振られるらしい。


「あ~、それはな、俺達兄弟は彼女や奥さんにマメ過ぎて、こんなに手慣れてるなら、他にも居るのでは?と思われるらしいぞ」


 話しにシレッと入ってきた助兄。

 さっき助の実家に居た、助父にレナンと呼ばれてた人。


「それって俺達が悪いのか?」


「奥さんや彼女にマメなのは良いことだろ?」


「あー、でもわかる気がします。凄くマメな人って、女性の扱いに慣れてるように見えて、不安になるかも」


「それを改善すると、今度はモテなくならないか?」


「だよな~?彼女にだけマメな所を見せるのが、決め手になるらしいぞ?兄貴の話では」


「「それってどうやんの?」」


「知らん!だから俺もまだ独身なんだろ」


「結局わかんねーままかよ!」


「そんで数打って変な噂になるんだろ?伯父貴達と同じ道だな!」


 ガッハッハッと笑うレナン兄。

 家系だそうですよ!


「まあ、そう心配すんな!伯父貴達も無事結婚してる。その内女神のような人に出会う事も有るだろうよ!」


 またガッハッハッと笑ってどこかに行ってしまうレナン兄。


「今、レー兄は誰口説いてんの?」


「警備隊のハルハラちゃん」


「あー。レー兄は戦う女が好きだからな」


「俺は明るい子が好きだ!」


「はいはい、それじゃあ頑張れー」


「おー!」


 スパーク兄弟のやり取りはそれで終わり、またレストランへ向けて歩き出した。

 助の話では、こんな兄弟がもう一人居るらしいよ!

 流石、王都にまで知られる恋多きスパーク兄弟。

 めげない懲りない諦めないと有名だそうです。

 助の前世の姉ちゃん達と同じだね!


 そして出発までの三日間の間に、助の兄弟が、街中で、兵舎で、レストランで、宿の食堂で女の人を口説く場面を目撃した。

 やり取りが全員同じで笑った。

 ちなみに、助兄の名前は、上からサーシティス、レナンティス、ユーティティス、エルモティスだった。

 全員がティスって付くのだけ覚えた。


 補給と休養の三日間が終わり、いよいよ国境を越える日。

 スパーク家の守る国境の門には、スパーク家の皆さんが見送りに来てくれていた。

 ミミちゃんが頻りに俺に手を伸ばしていたが、ミミちゃんパパがガッチリ抱っこしてて離そうとはしなかった。

 ミミちゃんがギャン泣きしても離さなかった。

 ミミちゃんママに後頭部を叩かれても離さなかった!


 一緒に馬車に乗ろうとしてたトウガンさんが、辺境伯一家総出の見送りにとても不思議がっていた。


 国境の門を出ると暫くは荒野。

 枯れかけの草花が地面に張り付くように生えるだけの何もない土地。

 まだリュグナトフ国が、リュグナートと呼ばれる小国だった頃は、この場所が戦場になることが多かったそうだ。


 そんな荒野の一本道を馬車がパッカパッカ進む。

 整備されていない荒れ地なので揺れが酷い。

 なので最初からハクに座ってますよ。

 全員は座れないので、他の商会員の人達は交代で座ってる。

 ハククッション大人気。

 そしてまたリバーシとトランプに夢中になる皆さん。

 娯楽の少ない世界なので、こう言うゲームには中毒性でも出てくるのだろうか?

 ずっとやっててよく飽きないね?

 見渡す限りの荒野なので、魔物が出ればすぐ分かるし、そもそも食べる物の少ない荒野には、魔物も少ないそうなので、のんびり楽しんだら良いよ!

 その内別の遊び方も教えるからさ!


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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[気になる点] トランプの遊び方は助も知っているはず。
[一言] 236話にしてヒロイン候補がががが
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