世界樹祭り と次の町
誤字報告、感想をありがとうございます!
おはようございます。
本日も実に祭り日和。
朝から忙しく露店の準備に追われております。
族長達の配慮で、露店の場所は中々良い場所を押さえてもらえました。
まずは朝食も兼ねて味見。
ラバー商会で仕入れた、処理済み魔の森産ビッグドードーの肉を焼いてタレを絡め、薄いパンにレタスを敷いて、肉をのせマヨネーズものせてクルッと巻く。
ガブッとね!
肉に絡まったタレと、シャキシャキレタス、マヨネーズでまろやかになってかなり旨い!
お次はデザート枠?
薄いパンに生クリームとチョコレート、果物はリンゴと桃とパイナップルに似た果物を角切りにした物。
これもクルッと巻いてパクッとね!
これはこれでとても旨い!
助とディーグリーなんか、両手に持ってバクバク食ってる。
ペット達にも好評のようです!
ラニアン以外はバクバク食ってる。
露店の前を通り掛かった人達が物凄いガン見してるので、そろそろお店の準備をしますかね!
肉を焼く、レタスを敷いた薄いパンに肉とマヨネーズをのせて巻く。
角切りにした果物と生クリーム、チョコレートをのせて巻く。
単純作業の連続だが、ずっと絶え間無く続くとかなり疲れる。
接客は調理出来ないユーグラムが、肉は助とディーグリーが、アールスハインと俺はひたすら巻く作業の繰り返し。
途切れない行列、なぜ昨日の準備段階で、あんなにパンを焼いてしまったのか激しく後悔している。
パンが有る内は止められないじゃないか!ドードー肉やマヨネーズは補充出来てしまうじゃないか!
ラバー商会の無駄に有能な支店長のせいで、頼んでないのに追加がジャンジャン運ばれてきて、休む間もないじゃないか!
内心愚痴をこぼしまくりながら、子供達の美味しーー!!の声に、止まる訳にもいかず、ひたすらのせて巻いてを繰り返している。
族長達が集団で現れ、捧げ持つ様に大量購入してったもんで、一般のエルフさん達も次々並び、食べたら人がまた並び、行列が大変な事に!
ちょっと水を飲む隙間くらいしかなく、昼をだいぶ過ぎているのにご飯を食べる暇もない。
ペット達は子供達と遊びながらおとなしくしていてくれるので助かってるけど。
目の回る様な忙しさとはよく言ったもので、本当に視界がグルグル回って見える程、疲労困憊してグッタリの俺達。
食欲はもう無い。
他の露店等目じゃない程の売り上げを叩きだし、ディーグリーだけはホクホク顔をしているが、今日一日限定の露店なので、明日はゆっくりとしよう。
肉等の材料を次々運んでた、ラバー商会の支店長もホクホク顔。
後日自分達が食べる用に作っていた薄いパンまで放出して、全て売り切った。
創作料理屋の店主は、自分の露店を放ったらかしで行列に何度も並んでたし。
食べる度に落ち込んでたし。
調理工程を食い入るように見てたし。
その隣でラバー商会の料理長も腕組みして見てたし。
ストーカーも合わせて、とても鬱陶しい三人組でした!
急遽決まった世界樹祭りは三日間の予定で、明日が最終日。
俺達の露店はやらないと言ったら、創作料理人とラバー商会料理長が、二人で同じレシピで露店をやるそうです。
許可を求められたので賛成しときました。
支店長がホクホク顔を通り越してにやけてました!
もうクタクタなので本日は終了。
ペット達には、作る気力が無かったので、聖魔法玉を何時もより多めにあげたら満足してくれました。
おはようございます。
今日の天気は曇り。
お祭り最終日です。
朝食は露店で食べるので、顔を洗ったら宿を出ます。
宿を出た正面にストーカーが仁王立ちしてて、全員が微妙な顔になってたら、ズイっと箱を出されました。
「まだ試作ですが一応見て頂こうかと!」
出前用のおかもちみたいにスライドする箱を開けると、俺だけでなくペット達とアールスハイン達も、木彫りで彫られていた。
試作と言うわりにかなり精巧に彫られた三十センチ程の人形。
しかも微妙に大きさを変えた物が、各数体づつある。
「おおお~!俺達も居る~!染色も無い木の人形なのに精巧に出来てるね~!それぞれの特徴も良く捉えられてるし!」
「ええ、ケータちゃんの愛らしさも上手く表現されていますし、妖獣達の柔らかさまで伝わります!」
「素晴らしい出来だ。これで完成と言われても納得する出来だ」
「この何日かでこの出来とはスゲェな!」
「おー、しょっくりー!(おー、そっくりー!)」
「この方向性で、素材を変えて本彫りに入りますが、よろしいでしょうか?」
「ど~じょ~」
「ありがとうございます!精一杯彫らせて頂きます!あ、それとこの人形は宜しければお納め下さい!」
「い~の~?ありあと~!」
ストーカーがただのストーカーではなくて、一流の彫刻家だった不思議。
そしてずっと付け回していたくせに、本当に何時彫ったのだろう?
自分の木彫り人形を持ち歩くのも微妙な気分になるので、この人形はそれぞれの家に、俺達のは纏めてお城に送る事になりました。
お祭りで食べ歩き。
創作料理人とラバー商会料理長の露店は、朝から長蛇の列。
ラバー商会から何人かの助っ人も入っているようだし、二人共に嬉々として調理してるので問題無さそう。
本職の人達なので俺達よりも手際が良いし。
目新しい物は無いが、雰囲気は祭りそのものなので、ただ切っただけの果物でも美味しく感じる。
ブラブラ歩き、子供達に絡まれ、族長達に絡まれながら世界樹の根本へ。
最初に見た時よりも幹がツルツルになって、葉っぱも瑞々しくなってるように見える。
世界樹の葉っぱは、希少な魔法薬の原料になるんだけど、落ちた葉っぱしか使えないので、中々手に入らないらしい。
のだが、見てる間、ずっとパラパラ落ちてるよね?
ご機嫌だから何時もより多く落としてるの?
ボケ~っと眺めてたら、ヒュッと音がして、ぶつかる寸前の所に太い枝が落ちてきた!
「ぬおっ!っぶね~!」
助が慌てて飛び退いたけど、まだ瑞々しい切り口の枝が落ちるって何なのさ?
枝に触れてみると、
『ホォーホォーホォー』
と聞こえる。
くれるんですか?そうですか。
「ありあと~」
使い道は、その内出てくるだろう、たぶん。
フェニックスの羽も、すっかり忘れさってたけど今回役にたったし。
枝ごとバッグにしまっておきました。
それなりに祭りも堪能したし、そろそろ次へ行きますかね!
午後は出発の準備。
ディーグリーはラバー商会へ。
ユーグラムは教会へ。
アールスハインと俺達は、その辺に居る族長達に挨拶に。
おはようございます。
天気は晴れ。
段々森も紅葉してきて中々にカラフルな景色になってきました。
朝からエルフの集団に涙ながらに見送られ、今は冒険者ギルドの依頼を受けて、カンガルー町まで移動中。
この季節にしか出ない魔物の素材を大量に入手するお仕事です。
カンガルー町は、エルフの街から歩いてなら四日の距離があるけど、空を飛んでしまえば数時間で着く。
街道上空を紅葉を楽しみながら飛んで、カンガルー町が見えてきた所で地上へ。
カンガルー町の入り口に立つ兵士さんに、町の注意事項を聞く。
間違っても尻尾は踏むな!だそうです。
町の中は、季節特有の依頼が出ているので、他種族の冒険者の姿もけっこう見掛ける。
冒険者ギルドに行って、今回の依頼内容の確認。
討伐対象の魔物はトレントと言う木の魔物。
赤く紅葉しているトレントからは、極上の樹蜜が取れるので、出来るだけ傷を付けて倒さずに樹蜜を集める事。
黄色く紅葉しているトレントは、狂暴なので即座に退治する事。
灰色に紅葉?しているトレントは、毒を持っているが、それは薬にもなるので、枝を全部切り落としたら幹にはなるべく傷を付けず倒すこと。
緑のトレントはまだ子供なので放置する事。
緑のトレントを倒すと、罰金を取られる事。
等の注意を聞いて、大体の分布図を貰う。
町からはそれなりに距離があるので、隣のダチョウ町で移動用にダチョウ族を雇うことを勧められた。
取り敢えずお薦めの宿を聞いて昼食を食べたら、様子を見に行く予定。
宿に向かって歩いていたら、ヒョイボスッと捕獲されました。
そして今、俺が入れられているのは、カンガルー族のおっさんの腹の袋。
…………………前世のカンガルーの雄には袋は無かったと思うんだけど、この世界のカンガルーには雌雄関係無く袋が有るのか?
あまりに突然の事だったので、誰もなんの反応も出来ずにいると、プラムとハクも、別のカンガルー獣人にズボッとされた。
そしてですね、カンガルーの袋の中が、物凄く、加齢臭で噎せそうです!
前世は加齢臭の気になるお年頃だったので、より気になります!
くっっっさっ!!臭いよ!思わず消臭浄化しちゃったよ!
俺を袋から出したおっさんが、
「うおっ!なにした?!」
「しょーしゅー、じょーかー」
「しょーしゅー、って消臭、そして浄化?……………臭かったのか?」
助によって助け出された俺は、うんうん頷く。
おっさんが頭を掻いている。
「アッハッハッハ!タムデシはろくに袋を洗わねーから、嫌われちまったなー?」
「ちっとサボっただけだろう!俺が嫌われた訳じゃねー!」
「いやいや、臭いおっさんは嫌われるだろー!」
「うっせーな!アビシニやムソンガの袋にいる奴も嫌がってんじゃねーか!」
言葉の通り、プラムとハクも嫌がって、抜け出そうとするのを、袋を絞めて?抜けられないようにしている様子のおっさんズ。
「こら~!またお前達は!何度言ったら分かるんだ!余所の種族の子供を袋に入れたら、誘拐だと言っただろう!」
「だけどよ~、拐わずにその場にいりゃ~誘拐にはなんね~だろ~?」
「そう言う問題ではない!他種族からしてみれば、いきなり知らないおっさんの袋に入れられる等、嫌悪の対象でしかない!幼子ならば恐怖の対象だぞ!それで何度泣き喚かれた?!」
「しかたね~だろ~、俺らはカンガルー族なんだから。町に来る奴等には、最初っから説明しとけよ!」
「「そーだそーだ!」」
「それを種族内だけで収めろと言っている!なぜ他種族にまで手を出す?」
「最近の町の子供は、おとなしく袋に入ってくれねーからだ!」
「「そーだそーだ!」」
「それはお前達の袋が臭いからだ!!」
黙り込むおっさんズ。
自覚はある様子。
「すまない君達。さぞ驚いた事だろう、こいつらに悪気は無く、カンガルー族の習性から思わず手が出てしまったようでな。厳しく罰を与えるので、許してやってくれるとありがたい」
「習性ってどんなものですか?」
助が聞くのに、
「カンガルー族は、子供を育てる時に腹の袋に入れて育てるんだが、腹の袋に子供を入れると言うのは、カンガルー族にとってはとても落ち着く行為で、それは子供側にも言える。なので同意があれば他人の子供でも袋に入れる事はあるんだが、こいつらは、袋の中が臭くてな、誰も袋に入りたがらず、普段は動物や道具なんかを入れているんだが、たまにカンガルー族の習性を知らない他種族の子供を、無意識の内に袋に入れてしまう事があって、トラブルになっていてな」
凄く微妙な顔で言う兵士さん。
おっさん三人組はそっぽを向いて下手な口笛で誤魔化そうとしている。
「トラブルにはなるんだが、拐おうとか、何か他の目的があるわけでもなく、逃げる素振りも無いことから、本人達は本当に無意識の内にやらかしているらしい。まあ、だからと言って、今回こそは見逃す訳にはいかんからな!貴様らは兵舎に連行する!」
「そう言う事であれば、後はお任せします」
「ああ、すまなかったね!僕もごめんよ!」
「悪かったよボーズ」
「くしゃかった!(臭かった!)」
「あ~、洗っちゃいるんだがなぁ?」
「ただ水で洗うだけでは、匂いは取れないと言っただろう!」
兵士さんに説教されながら、おっさん三人組は去っていった。
まだ鼻がムズムズする!
全員で顔を見合せ、微妙な顔になりながら宿へ向かう。




