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妖精族の町 2

グハッ!

予約投稿ミスりました!ご免なさい!

 モガモガしても一向に緩まないハクの拘束に、妖精がちょっとぐったりしてきた頃、白い狸の背中に乗って、木々の間からズボッと出てきた族長。

 前に見た白髪白髭のお爺ちゃん大妖精。

 ハクに拘束されてる妖精を見て、部屋の隅で青い顔してるケレントさんを見て、俺達を見て、


「こりゃーー!お前はまた!ろくでもない事をしおったのかーー!馬鹿もんがーー!あれ程言い聞かせたと言うに、全く話を聞いておらんかったのか!お前の様な奴は、罰として妖獣の便所掃除じゃ!連れていけ!」


 白い狸に連れ出される妖精。

 ゼイゼイ肩で息をしているお爺ちゃん大妖精。

 妖精族って、こんなのばっかりですか?お爺ちゃん大変ね?


「ケレントよ、悪かったの、長年のお前さんの献身的な妖精族への貢献は、重々承知しておる。薬草は何時もより少し多目に出すで、これからも良き商売相手として付き合っておくれ」


「ええ、ええ!勿論でございます!大妖精様に言われずとも、通わせて頂きます!」


 いつの間に指示したのか、緑の狐が追加の薬草を机に並べており、ケレントさんはそれを大事そうに抱えて、俺達に深々と頭を下げてから帰っていった。


 ケレントさんの姿が消えた途端、お爺ちゃん大妖精は土下座しだしました。


「も、も、も、申し訳ございませなんだーーーー!一度ならず二度までも、ご迷惑をお掛けした上に、聖獣様に傲慢な態度で物を言うなど!なんとお詫び申し上げればよいか!この上はわしの皺腹かっ捌いてお詫びせねば!」


 物騒な事を言って、腹を捲り魔力で作ったナイフを突き立てようとするお爺ちゃん。


「やめりょ!」


 チョップして止めましたよ!お爺ちゃんの切腹とか見たくありません!


「わしの教育がなっておらんかったばかりに、何度もご迷惑をお掛けしてしもうて!どう責任を取れば良かろうか」


「きょーいくちなおしぇば?(教育し直せば?)」


「……………実は、ウトマリとか言う精霊崩れが来てからと言うもの、若い妖精達が影響を受け、傲慢な振る舞いをするようになり、わしの話を聞かなくなりましての。世界樹のために生きるのは時代遅れだ、等と申して、薬草の栽培もサボりがちになり、今回のような問題行動を起こしては、他種族と険悪になる始末。これはもうわし一人の力ではどうにもならん所まで来ております。図々しい頼みとは分かっておりますが、どうか、お力をお貸し願えんじゃろうか?」


「う~ん、ま~い~よ」


「本当ですかの?!ありがとうございますじゃ!では早速こちらへ!お連れ様達もどうぞ!」


 お爺ちゃん大妖精の案内で、木々を越えるとそこは幻想的な場所でした。


 木々に葉は無く、代わりにシャボン玉のような泡が無数にくっついていて、たまにそのシャボン玉が落ちて、下に生えている薄墨色の草に触れて弾ける。

 シャボン玉に触れた草は一瞬だけ光り、淡く発光してまた元の薄墨色の草に戻る。

 そんな木が町中にあり、その合間に葉っぱや藁や草で出来た家が無数に木にぶら下がっている。

 空中を漂うシャボン玉もあり、幻想的な雰囲気を醸し出している。


「あの泡は、妖精族が木に魔力を込める事で出る泡ですじゃ。その泡に触れた薬草が、世界樹の良い肥料になりましての。妖精族は世界樹を育てる事を使命とした種族ですじゃ。それを忘れたら、妖精族の意味等無かろうに」


 なんだか切ない顔で語るお爺ちゃん大妖精。

 向かっているのは、何時もサボっている若者達が集まる場所らしい。

 前にウトマリに唆されて町を出た妖精達も居るそうだ。

 町に帰った時に、ラニアンに吸われた魔力は戻したそうだが、一向に仕事もせずにサボって居るらしい。


 町にある木々は幹が黒っぽいのだが、サボりの若者達が集まる木は、白い幹に黄緑色の葉が繁った木で、その枝に鈴なりと言っていい程の妖精が屯している。

 何をするでもなくダラダラと過ごし、不平不満を口にしてはヘラヘラと笑っている。

 族長のお爺ちゃんが近寄っていくと、一斉に不満全開の顔をして、俺達が続くとあからさまに嫌悪の表情になる。


「族長!人間を町に入れるとは、どういうつもりですか?!普段から掟掟と五月蝿いあなたが、自ら掟を破るとは!とうとう耄碌して善悪の区別も付かなくなったようですね!」


 ギャンギャン言ってくる。

 前回会った事がある妖精も居るだろうに、ラニアンとソラをお留守番にしたら、容赦なく責め立ててくる。

 お爺ちゃん大妖精ガッカリ。


「お前達は、妖精としての目も、誇りも失ってしもうたのじゃな。残念じゃ、ここまで育ったお前達の今後の成長を、楽しみにしとったのじゃがの~」


 遠い目で呟くお爺ちゃん大妖精の声は、不思議と全員に聞こえたようで、更に不満そうな顔になる。


「長様!私は大妖精として、聖獣様を怒らせると言う失態を犯しました!ですが!聖獣様にお会いするのは初めてだったんです!そんなに失望される程の事ですか?私だって、聖獣様が町に来られると知っていれば、立派に勤めを果たせます!」


 ボロボロ泣きながら訴えるのは、前にも見た大妖精。


「…………………アンガルミネよ、目の前に聖獣様が居られるにも関わらず、その気配にさえ気付けぬ大妖精よ、それでよくも大妖精を名乗れたものじゃ、今のお前の行動に、わしは心底失望しておる」


「な、な、な、何を仰るのですか?どこに聖獣様が居られるのですか?本当に長様は耄碌されたのですか?」


「はぁーーーーーー。お願いいたします」


 最後の言葉は俺に向けて。

 お願いされたので、妖精達の集ってる木を丸ごとバリアで包み、それを木を除外して、キューーーーーっと縮める。

 バリア内が妖精でミチミチになるくらい縮めたら、バリアに触れて、中の魔力をチューーーっと吸い出す。

 みるみる縮む妖精達の体。


 妖精とは、核となる植物や鉱石等の自然物に魔力が宿り意思を持つ事で、妖精の元になり、更に年月や鍛練、妖精に課せられた役目を果たすことで魔力を強め、妖精として成り立っているらしい。

 なので、魔力を吸出し過ぎると、核である自然物に戻ってしまうのだとか。

 体の大きさに応じて力の強さも決まるとか。


 元々二十センチ程あった体が、五センチ程に縮んだ所でお爺ちゃん大妖精を見る。

 頷かれたのでバリアを解除。

 ボタボタと草の上に落ちる縮んだ妖精達。


「こちらに居られる聖獣様にお頼み申して、お前達の力を削いで頂いた。務めを果たさぬ者に力はいらぬだろう。これ以上、町の幼いもの達に悪影響を及ぼし兼ねないお前達を放置する訳にはいかぬ!最下層の妖精として、一からやり直せ!」


 お爺ちゃん大妖精の言葉に、号泣するもの、呆然とするもの、怒り睨み付けるものそれぞれ。


「ひどいですーーーー!あんまりですーーー!ここまでくるのに凄く凄く頑張ったのに、こんな一瞬で力を奪われるなんてーーーー!!」


 大妖精と名乗ってた女の子型の妖精は、大号泣で文句タラタラ。

 なので、睨み付ける奴と元大妖精からは余分に力を吸い取ってやりました!

 元大妖精は、皆と同じ五センチサイズに、睨み付けてた奴は、サイズは変わらないけど、手足が木の枝みたいな質感になりました。


「己の行いも省みず、聖獣様を責めるとは、自業自得じゃ!これでもまだ反省出来ぬのなら、さっさと町を出るが良い!」


 お爺ちゃん大妖精が宣言すると、縮んだ妖精達が一様に頭を下げた。

 そもそも俺が聖獣だって事を、気付かない時点で妖精失格になるそうですよ!

 妖精の町は、土地柄魔力が自然と集まりやすく、この土地に居るだけで力を蓄えられるらしい。

 この土地を離れると言うことは、魔物の危険だけでなく、魔力的な意味でも危険になるらしい。

 誰も反論出来なくなり、泣き伏すものが続出。

 お爺ちゃん大妖精は、複雑な表情をしていたが、それ以上声を掛けることなくその場を去った。

 俺達も無言で続く。


 サボり広場から町に戻ると、ワラワラと妖精達が寄ってきて、次々に挨拶してくる。

 中には元大妖精ではない、本物の大妖精も居て、とても丁寧に挨拶された。

 良かった!普通に話の通じる大妖精も居て!

 俺達が会った妖精達が少数派であった事が判明。

 俺達って運が悪いのかね?


 サボり妖精達から集めた魔力は玉にして、一番大きな薄墨色の木の根本に埋めました。

 これで徐々に木に栄養として吸収されるそうです。

 そして、衝撃の事実!

 薄墨色の木は、世界樹でした!

 根っこを介して世界中に生えてるそうですよ!

 どんな規模の木か!

 世界樹の生えない土地は、魔力がどんどん枯れていくそうです。

 妖精町以外の世界樹で、魔力の安定して多い場所の木は、普通に葉っぱや実がなるとか。

 実は気付かれて無いけど、人間族の土地にも何本も有るとか。

 世界樹って、土地に合わせて擬態するらしいよ!


 そんな話を聞きながら、お詫びとお礼に、ってまた大量の妖精草を貰いました。

 妖精の町で一番希少な草だそうです。

 使い道無いので、特に欲しくもないんだけど、くれるって言うから貰っときました。


 この町には当然俺達が泊まれる宿は無いので、最初に通された商談スペースでテント泊しました。

 何故かチビ妖精が引っ付いて離れないので、そのまま一晩過ごしました。

 寝返りうった時に潰されても知らないぞ!って言ったのに、妖精、意外と頑丈でした!

 俺くらいなら持ち上げられるチビ妖精も居て、落ち込んだのは内緒。


 夕飯のオムライスには見向きもしなかったチビ妖精達は、毎晩寝る前にあげるペット達への魔力玉には涎をダラダラ垂らすほどガン見してきて、ジワジワと近寄って来たのは怖かった。

 仕方無いので、小さい魔力玉をあげてみたら、体がビカビカ光り出して、慌ててお爺ちゃん大妖精の所に行ったら、単なる食い過ぎだった。

 お爺ちゃん大妖精も羨ましそうに見てきたので、あげてみたら、やっぱり光ってたけど、すぐに治まった。

 魔力への耐性の違いだそうです。

 安心して、テントに戻り風呂に入って、チビ妖精達とワチャっと寝ました。

 本日は終了。



誤字報告、感想をありがとうございます!

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4巻の発売日は6月9日で、公式ページは以下になります。 https://books.tugikuru.jp/202306-21551/ よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[一言] 駄女神と駄精霊と駄妖精関係はこれで一旦落ち着いたんでしょうか 駄精霊が逃走中だからまだですかね
[一言] ちびっこ妖精さんたちの方が、聖獣を見分けられてるっぽいなぁ ということは、変な思想にハマった少数の妖精達がダメダメで、他は本当にまともな種族なんだろうな 後半はほのぼので可愛かった٩( 'ω…
[良い点] 毎回、楽しませて頂いています。 この勢いでどんどんいきましょー!! [気になる点] 一部の言い回し?が繰り返しになっていまして、 少し気になったので、ご提案させて頂きたく。 長年の…
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