第三幕 国家を滅ぼす者達。 1
1
「全員、ゾンビの軍団に変えてみせるわ」
数日後の事だった。
グリーシャの得体の知れない力による封印は解き放たれていた。
メアリーは嬉々としていた。
グリーシャはそのうち殺す事だろう。
だが、その前に、ルクレツィアを我々のものにする事は変わらない。
「楽しそうね? メアリー」
「ええっ、とっても」
ルブルは無邪気そうな顔だった。
メアリーの両眼は、残酷さに満ち満ちていた。
「生きている者達は醜いわ。さっさと私達の配下にしましょうっ!」
彼女の声から高らかな頌歌が奏でられる。
それに応えるように、魔女の使役する死の軍団が、雄叫びを上げていた。
†
兵士選抜試験の後、何名もの軍人達が出来上がっていた。
彼らは巨大な怪物、クレデンダを倒す為に出来上がった部隊だ。
上官が彼らに指揮を取り、不死身の兵隊であるように告げる。厳しい訓練の末、彼らは怪物に挑むのだ。彼らは独自の剣と魔法によって、怪物を倒そうと決心していた。
中には、戦士ギルドや魔法使い達のギルドのメンバーもいた。
彼らは、ルクレツィアを守る為に戦うのだ。
みな、命を掛けて、我が愛する国を守ると誓った。
……そして、彼らは死ぬ為に戦うのだ。…………。
†
「兵士にはならないでください」
ミントは、ジェドを優しく抱き締める。
「私はこの国の王を信用していません。貴方は使い捨てられるだけ。なら、私と共に戦いませんか? みな、力のあるものに縋りたがる。この国の王様は力を持っている。でも、私はそれを信じない。この国の王様はギルドの対立を収めた事さえも無いのに……」
ジェドにとっては意外だった。
誰にも優しいミント、彼女といると、色々な人間を信じられるような気分になってくる。けれども、彼女はこの国を、この国の王様を信じるなと告げる。
「私達は、私達の戦いをしましょうっ!」
ミントは叫ぶ。
ジェドは、自らに対して怒り続けていた……。
メアリー




