第九十九話 マオ、チートになる(いまさら)
前話で出た【魔王】についての詳しい情報を公開です。
え? チート過ぎないか? ですか??
いまさらでしょう!
お母様に祈りを捧げたボクは、称号に対してどんな反応を返せばいいのか悩みました。
悩んでいたところで事態は勝手に進み、ボクの手の中をすり抜けていきます。
「──お姉様、何かありましたか?」
ボクの様子に気付いたのはハルで、その事に気付いたミイたちが駆け寄ってきました。
悩んでも仕方がない事だと頭の何処かで理解していますが、本能と呼ぶ部分でしょうか? 叫んでいます。
プレイヤーから付けられた"2つ名"と、NPCから呼ばれた"名"に同じ単語が入っている事に深い意味がある気がします。
ユウキに聞いても有益な情報が手に入るとは思えませんが、このイベントが終わって時間的余裕ができたら聞いてみましょう。
──でも、その前に"パーティーメンバー"に聞いてもらうのもいいかもしれません。
納得しきれない理由から付けられた【凄惨職マオ】、【魔王様】、【歩く理不尽】──思い出せる限りを上げましたが、伸ばした指の数が両手で足りなくなったので、数える事を諦めました。
「「「「…………」」」」
みんなの方を見ると、真剣な眼でボクを見つめています。
沈黙が重く感じられます!
瞼を閉じ、深呼吸を1つします。
「──理由は不明ですが、先ほどの"悪魔"と思わしき存在との遭遇で、ボクに称号が与えられました」
みんなを見回しますが、驚いた様子がありません!?
理由を聞いてみると"納得"の一言しかない状態です。
ボクだけに聞こえていたと思っていたアナウンスが、この場にいたみんなにも届いていたようで、話の中で『他のプレイヤー』にも届いている可能性が高いとの結論に至りました。
それが事実だと判明するのはイベント終了後で、ユウキたちから質問攻めにあいました。
未来の話はさておき、ボクには早急に取り掛からなくてはいけない作業があります。
「──【ステータスオープン】」
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マオ
称号:【魔王、はじめました】new!
HP:簡単に亡くなりません
MP:限界という言葉が裸足で逃げ出します
STR:山を砕く?
VIT:聖剣? 何それ??
INT:悪魔も逃げ出す?
MIN:ダイアモンド級の引っ掻き硬度
AGL:音速突破までもう少し
【スキル】
【魔王様の工作術】new!
【魔王様の応援術】new!
【魔王様流交渉術】new!
【魔王様の下僕作成】new!
【魔王様の休日】new!
【魔王様の教育方法】new!
【魔王様は型破り】new!
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唖然を通り越してorzの境地です!?
色々と突っ込みたいところが多いですが、問題はステータスの表示が狂っている事です!
元々、ステータスの確認を怠っていたのは事実ですが、このゲームに【能力値】があったとは思えません。
ゲーム開始時からボクが注意していたのは"スキル"だけで、それ以外は気にも止めていませんでした。
能力値は"飾り"だと決めて、7つに減ってしまったスキルの確認をしなくては……
【魔王様の工作術】new!
魔王化御礼スキル昇格 その1
すべての 《生産系スキル》を統合した詰め合わせパック。
何でも作れますが、得て不得手があります。
人工生命体は造らないで?
【魔王様の応援術】new!
魔王化御礼スキル昇格 その2
ステータスに影響を及ばす魔法の詰め合わせパック。
色々と試して下さい!
※自身の強化よりも、仲間の強化に特化しています。
【魔王様流交渉術】new!
魔王化御礼スキル昇格 その3
『魔王である者、魔法の1つは使えるようになりましょう』という意見から産まれた魔法の詰め合わせパック。
選りすぐりの攻撃魔法(広範囲)だけをピックアップした、正に【魔王様】と呼ばれるに相応しい魔法をお試しあれ。
※魔法の使用には、周囲の安全を確認しましょう!
【魔王様の下僕作成】new!
魔王化御礼スキル昇格 その4
特殊系の魔法スキルと、専門職スキル【テイム】を加えた詰め合わせパック。
色々な召喚獣を喚び出したり、妖精・精霊をはじめた"動物"やモンスターを使役できます。
あと、四天王とかも作れます。
【魔王様の休日】new!
魔王化御礼スキル昇格 その5
拠点作成スキルの詰め合わせパック。
ダンジョンを作成したり、お城を作ったりしてください。
ただ、ダンジョンは『攻略できる可能性がある』状態でしか作成できませんので注意してください。
【魔王様の教育方法】new!
魔王化御礼スキル昇格 その6
上記の【魔王様の休日】で使う【魔王様ポイント】を唯一獲得できるスキル。
倒したモンスターの"ランク"に応じて、MOPを獲得できます。
※エリアボス系は破格のMOPを獲得できますが、2回3回と回数を増す毎に獲得量は半減します。
【魔王様は型破り】new!
魔王化御礼スキル昇格 その7
行動制限解除系スキルの詰め合わせパック。
色々な動きができるようになります。
これは『チート乙』というヤツでしょうか?
唯一の利点が『多すぎたスキルが簡素化された』事で、欠点と言い難いですが『スキルの効果』がそれに当たるかもしれません。
──いえ、『人に教えられない』事の方が問題かもしれませんね……
ユウキに話そうモノなら、キレそうなスキルたち……
まあ、ボクの感想としては『便利』というだけですけど、使い方次第では『本物の魔王』になりそうな気がします。
それを【称号】が証明しています。
【魔王、はじめました】
今までは無関係に近かったNPCが、あなたを『魔王の1人として』扱うようになります。
NPCの経営する店での『販売価格に割引』が、『買い取り価格に割り高』になります。
また、冒険者ギルドに登録している場合は冒険者ランク【S】以上と同じ意味の【魔王様級ランク】が与えられ、より高難易度で高額報酬が得られる上位のモンスターと戦えるようになります。
これらは【特殊依頼】となり、登録された"メインパーティー"以外では承ける事ができないので注意してください。
※あなたが"人類の敵"となるか、"人類の護り手"になるかは行動次第で決まります。
最後の※印で小さく書かれている通り、今のボクは『どっち付かず』の状態なのかも知れませんね……
──今までの行動で、NPCたちに迷惑をかけた事は少ない……いえ、なかったかもしれません。
どちらかというと、プレイヤーを巻き込んだ記憶しか残ってない状態です……
前者は問題というほどでもないので、これからもNPCに迷惑をかけないように注意した方が良いでしょう。
え? プレイヤーに関してですか??
装備実験などを(主にコカ君に)していただくので、試作品の不具合で手数をかけそうなので……一概に『かけない』とは言えませんね……
それにプレイヤーは大小の差はあれど、他人に迷惑をかけていると個人的に考えています。
まあ、ボクの考えは置いて、全プレイヤー中で1番の被害者がコカ君なのは譲れないでしょう。
ユウキたちには"被害"より"迷惑"を多くかけていると思います。
迷惑云々は置いて、ボクの関心を引いた文字がありました。
『あと、四天王とかも作れます』
四天王──どこか目を離せない言葉です。
顔を向ければそこには"優雅にティータイム"を楽しむ彼女たちの姿が……
ミイ、シア、ハル、キキ……
ピッタリと合う人数とポストに考えてしまいます。
『あっ、ちょうど合います』と。
いい加減な決めたように思えますが、彼女たちの活躍を考えるとそのくらいの役職を与えても問題ないと考える訳です。
ボクが【魔王】とNPCからも呼ばれる以上、みんなの立場を明確にした方がいい気がします。
内定……というか"確定"しているであろう事ですが、みなさんに説明して、納得した上で引き受けて貰わなくてはいけません!
次から、マオは魔王軍設立に動き出す!?
誤字・脱字がありましたら、ご報告お願い致します。




