表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
マリー・アントワネット
38/319

38話

 ジェイドは丁寧に解説する。ショコラは一日にして成らず、ということを知ってもらいたいところ。


「表面のワックスを落とすことと、苦味成分が抜けるからね。これをサボるともう美味しくない」


「なるほどねぇ」


 リュドミラも相槌を打つ。そんな手間がかかってたのか、と目を丸くした。今後、オランジェットを食べる際は、心の中で感謝してからにしよう。


 そのままジェイドは最後まで説明しきる。


「そしてスライスし、あとは五日間ほどシロップを継ぎ足しながら煮詰めて、冷やしてを繰り返す。そして一日かけて乾燥させた後、ショコラをかけて、一八度から二〇度くらいの常温で冷やしたものがこれ」


 と、持ってきたオランジェットを手で示した。自分で説明してみて、最初にオレンジを煮てみようと思った人は、一体何を考えていたんだろう、という考えを抱いた。こういう型破りな発想が、自分にもできるようになれれば。


「とまぁ、ショコラティエールといっても、一切ショコラに触らずにオレンジを煮ることも仕事なのよ」


 むしろ、オランジェットは最後にオレンジにディップするだけ。ほとんどの仕事は、オレンジを加工することといってもいい。


 どうぞ、とジェイドは袋を開けて試食を勧める。結構評判はいいので、オランジェットは自信作だ。


 最初にステファンが一枚、輪切りのオランジェットをつまんで食べる。すぐに、うんうん、と頷いた。


「これは美味い。たしかに、スーパーなんかで売っているものより、薄く、パリッとしている。口溶けもいい」


 続いて食べたリュドミラも同意見。あまりショコラの違いを気にしていなかったが、ショコラトリーのものは一味違う。


「クーベルチュールショコラと、大量生産したショコラの流動性の違いです。クーベルチュールはサラサラとしていて、塗布した時に食感が楽しめる」


 一般的に市販のものよりも高値のクーベルチュールは規格が決まっており、カカオの含有量などで分けられている。特にカカオバターが多く含まれており、サラサラとしたショコラになる。


 ジェイドは離れたところにいるオードにも一枚手渡す。食してみてから、依頼を考えてほしいということ。


 無言でオードは受け取り、そのまま半分噛み、残り半分も放り込んだ。


「ふーん」


「お気に召した?」


 全部食べたことを加味すると、不味くはない模様。不遜な態度のジェイドは、笑顔で腕を組む。


「あたしにどうしろと?」


 目線を外し、オードは再度雑誌に目をやりながら、ヴァンショーを飲む。感想は言わない。興味ない、と態度で示している。ペラっとページをめくる音が聞こえる。


「カルトナージュ、引き受けてほしい」


「断る」

続きが気になった方は、もしよければ、ブックマークとコメントをしていただけると、作者は喜んで小躍りします(しない時もあります)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ