表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
レディー・ガガ
229/319

229話

 酒をしまい、語りに入るビセンテ。裸電球はスポットライト。


「サゼラック・コーヒー・ハウスという紳士用のクラブがあってな。そこで飲まれていたからサゼラックという名前がついたわけなんだが、元々はこのウイスキーではなく、コニャックというブランデーがベースだった」


 アメリカ、ニューオーリンズに存在した社交場。そこの看板メニューだったものがこのサゼラック。他にも酒と酒を混ぜる飲み方は多数存在していたが、初めて『カクテル』というふうに認識されたものだと言われている。


 コニャックはフランスのコニャック地方で作られるブランデーであることは、フランス人であれば知っていること。もちろんオードもそのひとり。だが。


「なんで変わったの?」


 そこまで酒について調べたことはないので、詳しいことは不明。アメリカ人の趣向の変化?


「一九世紀後半に害虫被害がすごくてな。原料となるブドウが軒並みやられて、使えなくなってしまったわけだ。そこで代用したのがライウイスキー。そしてこちらが最終的には定着した」


 そのビセンテの説明通り、害虫フィロキセラによってヨーロッパのブドウが海外へ輸出できなくなった。ならばということで苦肉の策として、ペンシルヴァニア州発祥のライ麦を原料としたウイスキーに変更。栽培が盛んだったこともあり、こちらが飲まれるようになった。


 そういえば歴史の授業でオードも聞いたことがあった気がする。一九世紀末の被害。もっとよく聞いておけばよかった。


「なるほど。結局は歴史が『積み重なって』こいつはできてるわけだ」


 偶然。それが幾層にも。結果、今がある。


 とはいえ、常に順風満帆にライウイスキーは推移してきたわけではなく。電球の光が反射する琥珀の液体を眺めながら、ビセンテは生きてはいない時代のことを思い耽る。


「その以前。バーボンが登場して以降、ライウイスキーは衰退の一途を辿っていっていた。しかしこの一件で復権したってわけだ。その後も何度も何度も浮き沈みを繰り返し、今ではどんどん売り上げを伸ばしている」


 クラシックカクテルが見直され、温故知新の心が根付いてきている。サゼラックも、また新しく派生し、今この瞬間も積もっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ