表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C × C 【セ・ドゥー】  作者: じゅん
オードリー・ヘプバーン
165/319

165話

 胸をすいて安堵するオード。有意義な時間だった。


「なんか申し訳ないですけど……助かります。あんまりお金持ってなくて」


 誰かにグラスを奢らされたりしたせいで。結構値段の張るものだった。美味しかったけど。


 その他、花の道具なども片付け再度イスに座るリオネルは、持ち帰り用に花をラッピング。下半分が赤い、ノエル仕様の袋。紙コップ部分は隠れた。ふんわりとピンクのリボンも添える。


「オードリー・ヘプバーンをイメージしたもの。久しぶりだけど、まぁまぁだな」


 受け取ったオードはイスから立ち上がり、帰宅の準備。猫も起き上がる。


「ご丁寧にすみません。正確には、ホリーの歌う『ムーン・リバー』。それをイメージしたカルトナージュなんですけどね」


 人物ではなく曲。はっきりとした輪郭がないため難しいが、それでも自分の閃きを信じるだけ。あいつなら、きっとそれに合うショコラを仕上げて来るはず。


 その中の『曲』という単語を噛み締め、リオネルはボソッと呟く。


「『なにもない空間に花瓶が形を与えるように、音楽は静寂に形を与える』」


 ……うん、やっぱりこれだ、と自分の中で解答が出た。ムーン・リバーがテーマだとしても、アレンジメントは作れる。


「なんですか、それ?」


 いきなり呪文のようなものを唱えたかと思えば、なにやら自己解決。なんだったんだ一体、とオードは首を傾げた。


 スッキリとした表情のリオネルは、その内容を明かす。


「映画『マイ・バッハ』の名言。音と花は同意義だからね。で、どんな風にするの?」


 自身の胸に常にある言葉。迷った時に戻る原点。〈Sonora〉の意味。音。


 どこか違う時間軸を生きているようなM.O.F様は置いておいて、オードの考えるムーン・リバー。その正体。


「……よくわかりませんけど、ティファニーの前でコーヒーとデニッシュの朝食をとるホリー。でもここにひとつ隠された秘密があるのを知っていますか?」


「? どんな?」


 なんかあったっけ? と思い返すリオネルだが、なにも出てこない。自身も知らない情報。楽しみ。


 カバンを背負い、オードはマリリンを拾い上げた。


「オードリー・ヘプバーン。彼女は実は——」


「彼女は?」


 マリリンの気持ちがダイレクトに移ってきたようで、少し口角の上がるリオネル。


 花も抱き抱え、オードは答えを打ち明けた。


「彼女は、デニッシュが嫌いだった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ