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「そうね」
その後食事をとり、コーヒーやお茶を飲んだりもしたが、解散するまで誰も一言もじゃべらなかった。
夏休みが明け、マクロ経済学の授業も再開された。
集まったのは上条、桜井、雅美、真亜矢の四人だけだった。
真亜矢は「私、やめるやめる!」と騒いでいたそうだが、雅美が大丈夫だからと説得し、連れてきたのだそうだ。
上条としては、真亜矢がやめてくれた方が数段良かったのだが。
講義が終わり、いつものように学食に集まった。
上条は気になっていることを桜井に聞いた。
「あいつは確実にやっつけたんだな」
「ああ、やっつけたさ。それは雅美が保障してくれているよ」
「そう、あいつの気配が消えたとき、死んだ、と思ったわ。だからそれは大丈夫よ」
「そうか。それであいつが死んだら呪いの糸も断ち切れるのかい?」
「そうだと思うよ。だって命や魂を吸い取るやつが、もういないんだから」
すると雅美が急に立ち上がった。
「どうした?」
雅美は上条と桜井をすがるような目で見て言った。
「なんだか首が痛いの」
と。
終




