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上条はアクセルをふかした。
ルームミラーを見れば、連続して爆発が起こっているようで、閃光が見え、建物が揺れているのがわかった。
振動が空気を伝わって、走る車にも伝わってくる。
桜井と雅美の車は止まらなかった。
上条も止まることはなかった。
ずいぶん走ったと思えるころ、前の二台がようやく停まった。
ファミレスの駐車場だ。
上条もそこに車を停めた。
ファミレスの入口で上条が桜井に言った。
「あれはいったいどういうことだ?」
「ああ、中に入ってから話すよ。あまり大きな声では言えないけどね。まじで。上条もなるべき小さな声で話してくれ」
「判った」
店内は空いていた。その中でも周りに人がいなそうな場所を選んで、そこに座った。
適当に注文すると、上条が言った。
「説明プリーズ」
「判った。隣町でお盆に花火大会があるのは、知っているだろう」
「ああ、知っている。今年大学に入ったので、まだ見たことはないが」
「あそこはその花火大会で使う花火の、貯蔵庫だ」
「なんだって」




