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上条と桜井は雅美の目を見た。
その目はコンタクトと同じく灰色をしていた。
灰色の目に灰色のコンタクトを重ねて、黒く見せていたのだ。
――なんてこった。
見つからないんじゃないかと思っていた巫女が、今目の前にいる。
それも上条が恋焦がれている雅美だなんて。
神社の家系でしかもオッドアイ。
おまけにご先祖様があの化け物を封印している。
これ以上ないくらいに、条件にぴったりだ。
しかし上条の心は、巫女が見つかる前よりも曇っていた。
吸鬼を封印するには、巫女も一緒に封じ込めなければならない。
そんなことは考えるのも嫌だ。
しかしそのままでも、雅美はやがて吸鬼に命と魂を吸い尽くされることになるだろう。
――いったい、どうすればいいんだ?
自分でもわけがわからなくなるほど悩む上条を無視するかのように、桜井が雅美に聞いた。
「雅美ちゃん、聞きたいことがあるんだけど」
「えっ、なに?」
「雅美ちゃんって、処女なの?」
「!」




