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「なんでもだ」
「くそっ」
「それにしても、あいつに刀や槍が効かないわけがようやく判った。闇を刀で切っても明るくはならないし、槍でさしても死んだりはしない。拳銃も同様だ。物理攻撃は全て無意味だね」
「そうか。そりゃあ有り難い話だな。有り難過ぎて、涙が出てくるぜ」
桜井が苦笑いをしながら言った。
「とにかく何が何でも巫女を見つけないとね」
「見つかるかなあ」
「見つけるんだよ」
「うーん」
「あら、二人とも何をしているの?」
意外な声が聞こえてきた。
見れば雅美がすぐ横に立っている。
「えっ、雅美ちゃん、どうしてここへ?」
「上条君、どうしてって言われても、時々使っているとしか言いようがないわ。家から近いし。とにかく安いし」
「下宿から近いってこと?」
「そうじゃないわ。実家から近いのよ」
「雅美ちゃん、実家から通ってんの?」
「そうよ。知らなかったの?」




