27/65
27
「大丈夫じゃないよ」
「それじゃあ、こんなところに居ないで、早く助けに行かないと」
「行ってどうするの? どうなるの?」
「そ……それは」
「行ったところで何も出来ない。出来ることはない。ただおろおろするばかりだよ。時間の無駄だ。木本を助けたかったら、洞窟に封じ込められていたやつを、何とかするんだ。それ以外、木本を助ける方法はないんだよ」
「……そうだな」
桜井がスマホを触りだした。
「これ見て。前よりも見やすくなったよ」
それは例のお札だった。
確かに見やすくなっている。
「とりあえずこのお札を手に入れること。そして封印されていたものが、今何処に居るのかを見つけること。そっちが最優先だね」
「でもどうやって」
「実は、ある程度の目星はもうつけてあるよ。それで充分だとは言えないけど。それにしても」
桜井がスマホをしまった。
「ネットって、本当に便利だよね」
車を走らせている。
かれこれもう四時間は走っているだろうか。
隣町を抜け、山間部と郊外の中間のようなところを通り抜けて、今度は小さな町に入っていた。
「まだなのか」
上条が言った。




