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吸鬼  作者: ツヨシ
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「犬田と親しい人間はいなかったが、しいて言えば吉木だ。二人ともみんなから浮いていたからね。浮いている者同士だから、何か感じるものがあったんだろう。そして吉木と親しい人間といえば、親友と呼ぶには程遠いが、犬田と僕たちの中間にいた、山谷だろうね」


「あのコウモリか」


犬田や吉木と絡んでいたと思えば、こちら側にも擦り寄ってくる。


どっちつかずの山谷は、みんなから影でコウモリと呼ばれていた。


「で、桜井よ、コウモリで間違いないんだな」


「なんとなくだけれどもね。確信があるわけじゃないよ」


「ふーん、そうか」


次の授業の時、犬田と吉木はいなかった。


そしてもう一人、山谷も。



山谷は二週間休み、死人そのものの姿で現れた。


この頃にはマクロ系経済学講座は、少ない人数にもかかわらず、大学内で一番有名な講義に昇格していた。


「呪われている」


「気持ち悪い」


「近づくな」


「あそこには、何かある」


呪いを筆頭に、未知の伝染病、はては宇宙人の陰謀説まで飛び出し、憶測が憶測を呼んで、話が何の遠慮もなくどんどんと盛られている最中である。


学食でも死人の顔と死んだ目の山谷は、当然のことながら思いっきり注目を浴びていた。

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