第二十四章 ぼくらが廃村に招かれた話 3.隠物(その2)
~Side 優樹~
混乱する真凛にペットボトルのお茶を飲ませて、どうにか落ち着かせる事ができた。
……いや……ぼくだって混乱してないわけじゃないけどさ……何かのマンガで読んだんだけど、こういうのって先にパニックになった者の勝ち――っていうのは本当だね。隣が混乱してると変にさめるというか……パニックに乗り遅れちゃうんだよね。……こういうのも〝貧乏くじを引いた〟――って言うんだろうか。
「……どうにか落ち着いたわ……」
「じゃあ、落ち着いた真凛ちゃん、何かコメントある?」
「えぇ……まず、ここに刀――と、ミスリルのショートソード――が埋められてる理由だけど……」
「やっぱり、戦国時代の『隠物』?」
「それもあるかもしれないけど……GHQの可能性もあると思うわ」
「GHQ?」
GHQって……進駐軍の総司令部だよね? 何でそんなものが出てくんのさ?
「戦後にGHQの刀狩りから守るために、家伝の刀剣を土に埋めて隠したっていう話が結構あるのよ。後になって掘り出してみたら、こんな感じに錆びだらけになってた――っていうのが」
「へぇ……」
そうすると……ミスリルの剣はともかくとして、他の日本刀はこの後どうするべきなんだろう? 文化財保護法とか?
「こんな錆びの塊、届けられた方だって迷惑するわよ。それに第一、あたしたちがこれを見つけた理由、どう説明するつもりよ?」
「そうだよねぇ……」
「神様のお導きは下界の法律に優先する――そう割り切るしかないんじゃない?」
それしかないかなぁ……面倒そうなのは他にもあるし……
「他に? ……優樹、他にも何かあるの……?」
「あれ? 真凛ちゃん、気付かなかった? その袋」
「袋?」
ミスリルのショートソードと一緒に、小さな袋が入ってたんだよね。これも巾着かな? ……で、問題なのはその袋に入ってるものなんだけど……
「……何? サメの歯……とは違うみたいね?」
「歯には違いないけどね。……『ワームの歯』だって」
「……は? ワーム? ……ワームって、あのワーム!? 異世界物のラノベに登場する!?」
真凛がまた混乱してるけど……無理もないよね。
《対象物の品質は以下の通りです。
【野槌わぁむの歯】 品質:中 貢献度:小 備考:異世界産
マヨヒガに取り込みますか? はい/いいえ》
《対象物の品質は以下の通りです。
【野槌わぁむの魔石】 品質:中 貢献度:中 備考:異世界産
マヨヒガに取り込みますか? はい/いいえ》
・・・・・・・・
「落ち着いた? 真凛ちゃん」
「えぇ……どうにかね……」
さっきより立ち直りが早いな。腹をくくった……と言うより、諦めがついたのかな?
「――で、どうしよう? コレ」
「どうするもこうするもないでしょう。こんな代物、放って置くわけにいかないんだから。さっさと取り込んで証拠インメツしちゃいなさい」
「あ、うん。やっぱり?」
歯はともかく、魔石は真凛が取り込んでランクアップ――とかの可能性も考えたんだけど……
「……できるもんなの? ラノベでもそんな展開は無かった、もしくは少数派だったわよ? うっかり取り込んで魔物化したらどうするのよ?」
「そんな展開はラノベにもなかったような気がするけど……それに魔物化って言うんなら、マヨヒガだってその可能性があるんじゃ……」
「それはマヨヒガに判断させればいいんじゃない? 素材として取り込めとは書いてないんでしょう? だったらとりあえず取り込んで、使いみちは後で考えればいいじゃない」
うん……まぁ、その方が面白そうではあるんだけど。一応は真凛の意見も訊かなきゃだしね。
「魔石はともかく、歯の方は何かに使えるの?」
「さぁ……けど、持ち主はわざわざ回収したんだろうから、何かの役に立つんだじゃない?」
「――持ち主! ……そうよ、この持ち主は何者なのよ!?」
うん、それなんだけどね……




