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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
89/125

第二十四章 ぼくらが廃村に招かれた話 3.隠物(その2)

 ~Side 優樹~


 混乱する()(りん)にペットボトルのお茶を飲ませて、どうにか落ち着かせる事ができた。

 ……いや……ぼくだって混乱してないわけじゃないけどさ……何かのマンガで読んだんだけど、こういうのって先にパニックになった者の勝ち――っていうのは本当だね。隣が混乱してると変にさめるというか……パニックに乗り遅れちゃうんだよね。……こういうのも〝貧乏くじを引いた〟――って言うんだろうか。


「……どうにか落ち着いたわ……」

「じゃあ、落ち着いた()(りん)ちゃん、何かコメントある?」

「えぇ……まず、ここに刀――と、ミスリルのショートソード――が埋められてる理由だけど……」

「やっぱり、戦国時代の『(かくし)(もの)』?」

「それもあるかもしれないけど……GHQの可能性もあると思うわ」

「GHQ?」


 GHQって……進駐軍の総司令部だよね? 何でそんなものが出てくんのさ?


「戦後にGHQの刀狩りから守るために、家伝の刀剣を土に埋めて隠したっていう話が結構あるのよ。後になって掘り出してみたら、こんな感じに()びだらけになってた――っていうのが」

「へぇ……」


 そうすると……ミスリルの剣はともかくとして、他の日本刀はこの後どうするべきなんだろう? 文化財保護法とか?


「こんな()びの塊、届けられた方だって迷惑するわよ。それに第一、あたしたちがこれを見つけた理由、どう説明するつもりよ?」

「そうだよねぇ……」

「神様のお導きは下界の法律に優先する――そう割り切るしかないんじゃない?」


 それしかないかなぁ……面倒そうなのは他にもあるし……


「他に? ……(ゆう)()、他にも何かあるの……?」

「あれ? ()(りん)ちゃん、気付かなかった? その袋」

「袋?」


 ミスリルのショートソードと一緒に、小さな袋が入ってたんだよね。これも(きん)(ちゃく)かな? ……で、問題なのはその袋に入ってるものなんだけど……


「……何? サメの歯……とは違うみたいね?」

「歯には違いないけどね。……『ワームの歯』だって」

「……は? ワーム? ……ワームって、あのワーム!? 異世界物のラノベに登場する!?」


 ()(りん)がまた混乱してるけど……無理もないよね。



《対象物の品質は以下の通りです。

 【()(づち)わぁむの歯】 品質:中 貢献度:小 備考:異世界産

 マヨヒガに取り込みますか? はい/いいえ》


《対象物の品質は以下の通りです。

 【()(づち)わぁむの魔石】 品質:中 貢献度:中 備考:異世界産

 マヨヒガに取り込みますか? はい/いいえ》



・・・・・・・・



「落ち着いた? ()(りん)ちゃん」

「えぇ……どうにかね……」


 さっきより立ち直りが早いな。腹をくくった……と言うより、諦めがついたのかな?


「――で、どうしよう? コレ」

「どうするもこうするもないでしょう。こんな代物、放って置くわけにいかないんだから。さっさと取り込んで証拠インメツしちゃいなさい」

「あ、うん。やっぱり?」


 歯はともかく、魔石は()(りん)が取り込んでランクアップ――とかの可能性も考えたんだけど……


「……できるもんなの? ラノベでもそんな展開は無かった、もしくは少数派だったわよ? うっかり取り込んで魔物化したらどうするのよ?」

「そんな展開はラノベにもなかったような気がするけど……それに魔物化って言うんなら、マヨヒガだってその可能性があるんじゃ……」

「それはマヨヒガに判断させればいいんじゃない? 素材として取り込めとは書いてないんでしょう? だったらとりあえず取り込んで、使いみちは後で考えればいいじゃない」


 うん……まぁ、その方が面白そうではあるんだけど。一応は()(りん)の意見も訊かなきゃだしね。


「魔石はともかく、歯の方は何かに使えるの?」

「さぁ……けど、持ち主はわざわざ回収したんだろうから、何かの役に立つんだじゃない?」

「――持ち主! ……そうよ、この持ち主は何者なのよ!?」


 うん、それなんだけどね……

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