第二十二章 ぼくらが化石を掘りに行った話 4.翌日の報告会~アサガオの中間報告~
~Side 優樹~
化石採集から帰った翌日の月曜の敬老の日、ぼくと真凛は万十山で話し込んでいた。
こうして真凛と打ち合わせるのは、実は久しぶりだ。ナマケモノ騒ぎの後は、目を付けられたりしないように、学校でも下校時にもあまり話さないようにしてたからね。……〝熱りが冷めるまで〟――って言うんだっけ。ナマケモノを見つけた翌日の日曜日にも、棗さんから〝下手に動かず自宅で息を潜めていろ〟――って言い渡されてたせいで会えなかったし。
結局、家に帰ってからメールや電話で相談するしかなかったんだけど、電話代の事とかもあるし、あまり長電話できなかったんだよね。スマホを取り上げられたら困るから。それに第一、親の耳を気にしながら内密の相談なんてしにくいしね。
そういう意味で採集会は好い機会だったんだけど、行き帰りは叔父さんの車だから秘密の相談はできないし、採集の時には何だかんだで話す機会なんかなかったしね。
「あ、じゃあ、あの叔父さんっていう人、まだ優樹の家にいるんだ」
「うん。さすがにお母さんも門前で追い返すような不人情なまねはできなかったみたい。今日一日は家でゴロゴロするんだって」
朝からビール飲みながら、お父さんとイキトウゴウしてたからね。お母さんの機嫌が少し悪かった。明日、お父さんを職場まで送って行って、そのまま帰るって言ってたけど。
「……叔父さんが化石の件をチクっちゃって、何か居心地が悪くなったから逃げてきた」
お母さんはお母さんで、ナマケモノの件をバラしてたし……何か変な才能があるんじゃないか――なんて話になってたからね。
……大体、〝大変ねぇ〟なんて他人事みたいに言ってるけど、真凛も元凶の一人じゃないかって、怪しまれてるんだからね?
「……まぁ、それはいいわ。本題に入りましょう」
「うん、アサガオの実験結果だよね?」
「その中間報告ってとこね。まだ花が咲き終わっていないから」
あぁ、花が全部咲き終わらないと開花率や結実率はわからないし、更にそれを育ててからじゃないと、次世代に影響するかどうかが判断できないよね。……発芽させるだけなら年内にも可能だけど、それでも十月以降かなぁ……
「――それで、結果は?」
「今のところ、成長とか花の数には差はないみたい」
バフもデバフもなしって事かぁ……
「ケガや病気に対してしか働かないようになってるのかもね。安全装置ってやつかな?」
本来はケガや病気が治るようにって意識して使うんだろうけど……〝成長しろ〟――って念じても効果は出ないのかぁ……まぁ、安心と言えば安心だけど、これはあくまでアサガオでの実験結果だからね。動物で実験したいところなんだけど……
「……そう言えば……川に流されてた子犬を拾った時にも、治癒魔法を使ったんだっけ?」
「えぇ、ちゃんと元気になったわよね、あの時は」
「うっかりしてたけど、あの小犬も子犬だったよね? ……いや、だからつまり、小さくても大人の犬ってわけじゃなくて……」
「あぁ……そういう意味ね。多分そうだったと思うけど……優樹は【鑑定】しなかったの?」
「忘れてた」
うん、考えてみればツウコンの極みだよね。せめて鑑札に書いてあった住所をおぼえていれば、こっそり経過観察に行く手もあったんだけど……
「無理じゃない? 正確にはおぼえてないけど、隣の市だったと思うわよ?」
……あの子犬、頑張ったんだなぁ……
本章はこれにて終幕です。




