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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
ヴィーヴォ
320/320

320話

 パリというオシャレな街。オシャレな通り。オシャレなカフェ。その中でもララという人物は、くっきりと空間が削られたかのように。今現在、グラビアの撮影中であるかのように輝きを放つ。ジャケットからマフラーから黒一色でまとめつつも、バレエシューズや眼鏡などに差し色で赤をチョイス。センスも光る。


「気にしないで。当然、お姉さんの奢り。じゃんじゃん頼んで。あ、コーヒーおかわりする?」


 空いたカップをチラッと確認。エスプレッソでもラテでもコルタードでも。なんでもいい。話し相手になってくれるなら。


 なんだか、ベアトリスとは違う意味で、この女性には逆らえない。まわりをキョロキョロと確認。他のお客さん達が、ベルにはチラチラとこちらをみている気がしてならない。


「……じゃあ……いただきます……」


 ギャルソンを呼び、カフェマキアートを選択。声が多少上ずる。言葉がつっかえる。


 待つ間。頬杖をついてララはじっくりと緊張する少女を観察。うん、いい感じ。


「幸運てのはね。ほんの少し、今の自分を変えるだけで。ハメを外してみるだけで舞い降りてきたりするのよ。服を脱ぐだけでも」


 映画でもピアニストはタキシードを脱ぐことで解放され、ピアノを楽しむことができた。たかが服。されど服。物理的だが気持ちの問題解決にも密接。


 映画の内容を知らないベルは、舐め回すような視線にドキっとする。


「ふ、服ですか……?」


 脳内で脱がされている? いやいや、そんなバカな。こんな綺麗な人が自分をどうして。冷静に。服。きっと、家に帰ってコートを脱ぐとか。なんかそういう、あれ。


 だがララからすれば、むしろその慌てる様が関心を引く。


「あなた可愛いわね。可愛い女性はみんな恋をしている。私にはわかる」


 いつの間にかそんな特技を身につけていた。見ただけでその人物の中身が分析できる。気がする。的中率は……だいたい七割くらい。七あれば身につけている、と言っていい? というか、よく考えたらだいたいの人は恋してるんじゃない? 特技じゃないかも。

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