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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
スケルツァンド
317/320

317話

 数秒間、静まり返る室内。出題した側のアニーは調子に乗る。


「もっとヒント欲しいっスか? 欲しいっスか? 仕方ないっスねぇ、今日は機嫌がいいので特別に——」


「アニエルカのことだから、紅茶に混ぜると美味しいものでももらったのだろう。そしてインドで『幸せ』といえばガンジーの言葉だね。となると、なにか『調和』を表現するものかな。紅茶に合う、といえば花とかかもね。『調和』を意味する花の……ジャム。コスモス、ってところかな」


 ただただ。適当にリディアの脳が推理した。当たってるかどうかなんて知らない。遊びなのだから。違ったら違ったで次。


 プルプルと小刻みに震えながらアニーは呼吸を止める。全身に力を入れ、やり場のないモヤモヤとしたものを溜め込み、そして一気に吐き出す。


「……当たりっス……」


 頬を膨らませ、不満を表示。せっかくチクチクと攻撃したかったのに。きっとユリアーネさんなら、戯れ甲斐もあっただろう。たぶん。


 当たるとは思っていなかったリディア。可能性が一番高そうなものを挙げてみただけ。


「そう? よかった。今日は勘が冴えてる」


 もうその今日は終わるけど。今更だけど、星占いでも確認しておこうかな。きっと最高のものだったのだろう。


 そっぽを向いて、しばらくは機嫌が直らなそうなアニーは、つらつらと愚痴を吐き出す。


「……全然つまんないっス。まるでシシーさんみたいっスね。なんていうかこう、鋭いというか、見透かされているというか」


 自身の勘の鋭さとは違う、確信を持った推理。難しいことをやられているようで。置いてけぼりにされている感じで。


 しかしリディアからすれば、これくらいではシシーには並べないと悟っている。


「彼女だったら、インドというヒントだけでここまでたどり着くだろうね。あー怖」


 いや、確実に導き出すだろう。まるで蝶のような見た目で、蜂の毒針を持つ彼女なら。だって。彼女は——。

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