表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
スケルツァンド
303/320

303話

 見送りながらシャルルは複雑そうに断言する。


「……絶対に姉さんが許可しないと思います……」


 というか、ベアトリスと波長の合う人物などいるのだろうか。特にレティシアとは水と油。こっちにまで被害が及ぶ懸念。


「まー、なにかあったら私に言ってもらって。この店のものはだいたい使っちゃっていいから」


 そう残してサキナがその場を去る。ひと通りの店番はできるので、それなりにはリオネルに信頼されている。たまに店に戻ると勝手に閉店になっていることがある。


「了解っス。ありがとうございます」


 拝謝しつつ、アニーの思考はすでにティータイム。芳しい香りが鼻腔をくすぐっている気さえする。花と。紅茶。優雅なひと時はもう始まっている。


 スタッフルームへと引っ込んでいくサキナを、訝しむレティシア。


「誰がオーナーなのかわからないわね……」


 たぶん、勝手に使っていいなんていう許可は出ていないのだろう。この店の従業員との関係性。なんとなく把握した。


 両の手を広げ、ゆっくりとその場で横に一回転するアニーは、自然と口元が綻ぶ。


「しかし、いい店っスね。吸い込んだ香りが全身の細胞に隅々まで行き渡るっス」


 この『森』のような雰囲気。非常に参考になる。ドイツに持って帰ろう。袋に詰められるなら詰めたい。


 そのイメージ、どことなくレティシアにも言わんとしていることがわかる。自分の体にもしっとりと染み込んでいく。


「独特な表現ね。で、果たしてどんな紅茶を淹れてくれるのかしら」


 立って待つのも飲むのも落ち着かないので、傍にあった背もたれのない木製のイスに座る。軽く深呼吸。平常心平常心。まさか紅茶を飲むことになるとは。好きだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ