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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
271/320

271話

 やっぱり、この人も少し変わっているのかもしれない。心の中でシャルルは悩み、


「……はぁ」


 と返すので精一杯。よく言えば自信家、悪く言えば変わり者。そんな感じなのだろうか。


「まぁ半分冗談として、優秀な映画監督というのはね。自分じゃ決められないんだよ。演者や脚本家、衣装など全てのスタッフ、そして映画を観てくれた観客。それらが決めると思っているから」


 そう、会話を繋げていくサミー。第三者からの評価でこそ、その人物の価値が決まる。そして自分の家であるかのように、少年を対面のイスに促す。


 結局どっちなのだろう。指事されるがまま、シャルルもイスに座る。なんだか肩身が狭い。自宅なのに。


「自分以外、ですか?」


 その言葉の意味。サミーなりの美学を持った考え方によるもの。


「今言った演者もスタッフも、その人自身が今、この現場でどれだけ充実して働くことができているか、というのは監督を通して感じることだと思うから。他人のフィルターを通過しないと価値はわからないものなんだよね」


 もちろん、それは自分の考えによるもので、人それぞれ違うことはわかってはいるが。以前読んだ、世界的な指揮者の著書で、指揮者はそうあるべきというものに感化され、それを取り入れた。一番納得のいく方向性。


 なるほど、とシャルルにも勉強になる。


「なんだか花と似ていますね。アレンジメントは結局、フローリストを介して届けられるわけですから。そういった意味では似ています」


 最も、彼にとっては花はすでに完成されたものであって、自分達はそれをいわゆる通訳する、という立場にあるというのが根底にある。少なくともリオネルにはそう教わってきた。


 だからこそベアトリスもかつて『花のことは三パーセント程度しかわかっていない』と発言した。理解など烏滸がましい、メッセンジャーであるべきと。まだ見ぬ種も数多くあるのだから。

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