表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
258/320

258話

「……いや、いやいやいやいや」


 動画を観ながら思わず笑ってしまったベル・グランヴァルは、ベンチに座ったそのまま背もたれに体を預け、空を眺めた。諦め。そう、それに近い感情。太陽が眩しい。雲の切れ間からようやく顔を出してくれた。かと思いきや、やっぱり隠れる。


 モンフェルナ学園の中庭。中央には人工大理石を使った噴水が立ち上り、その周りには等間隔で八つの長い木製ベンチが取り囲む。そのひとつに座りながら、切れ間の青空の先にあるであろう星々を探してみた。見えるわけないけど。


 携帯に映し出された映像には、相当に昔に録画・録音されたものだが、女性のピアニストが恐ろしい練度でベートーヴェンを弾く姿が。彼女の名はヴァレンティーナ・リシッツァ。遥か彼方の高みにいるピアニスト。


 現在、ベルはモンフェルナ学園の音楽科に在籍しており、そこでピアノを学びつつ、パリ八区の花屋〈ソノラ〉にてアルバイトをしている。その店主、ベアトリス・ブーケにもピアノについて師事しているわけだが、彼女から教わったこと。それは。


「……いやいやいやいや」


 イメージトレーニング。実際に自分が弾いているように。憑依して。脳を、指を、音を構築すること。聴きながらも、自分だったらどう弾くか、どう表現するか、どういう意味を込めるのか。休むことなく頭を働かせる。そしてたまに実際に弾く。


「リストとか……そんな名前出されちゃうと……やるしかないんだけど……なぁ……」


 歴史に名を残すような人物がやっていたんだから間違いない、そう教えられた。弟子にもそう教えていたと。それで腕が上がって、最終的には自分の名前を冠したコンクールとか。それはそれで憧れるけど。審査員とかやっちゃって。そこからその後すごいスターが生まれたりして。憧れるけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ