表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
モレンド
255/320

255話

 はぁ、とため息をつきながら姉の言葉にシャルルは同調する。


「そうですよ。今日の方は姉さんを指名されている方ですから。さすがにそうなったらサキナさんといえど——」


「いや、それもありだな。今日のお前はベアトリス・ブーケだ。誰がなんと言おうとベアトリス・ブーケとして生きろ。私はサキナ・ラクラルとして振る舞う」


 うん、それだな。珍しく、満足げにベアトリスは頷いた。数秒前と意見が真逆。


 ちょうどケーキを食べ終わったところ。口元を拭ってサキナは了承する。


「よっしゃ、そうこなくっちゃ」


「はい?」


 えーと? どういうこと? 今日の姉さんはサキナさんで、サキナさんが姉さん? えーと、やっぱりどういうこと? 混乱するシャルル。


 そんな弟の疑問を解決してやるべく、理由をベアトリスは説明する。


「今日のお客はな。そもそもアイツのものだったからな、それを押し付けられた形だ。ならば、そこの従業員であるサキナがなんとかするべきだろう。なんらおかしくはない」


 アイツ、とはもちろんリオネル。彼がわざわざ〈ソノラ〉にお客をたらい回しにして、こちらに来た過去。別にいいのだが、そのぶんの貸しをまだ返してもらっていない。なので、ここは連帯責任として〈クレ・ドゥ・パラディ〉で解決してもらおう、ということ。


 すでに今日の予約表をサキナは見ていた。なので大まかな話の流れは以前聞いたことがある。


「らしいねぇ。ま、なんでもいいけど。最近てアシスタントばっかりだからさ。たまにはこういうのもやりたくて」


 もっと花に触れて、というのを働く前は予想していたが、フローリストというものはそれ以外の仕事が非常に多い。特に、個人ではなく企業などが多い店の関係上、たまに花と戯れてみたくなるわけで。


 というわけで、悪いことを企んでいる二人の間に挟まれたシャルルは、この場では唯一の常識を重んじるポジションにいる。


「でも——」


「じゃあ私は出かけてくるから。あとは頼んだぞ、ベアトリス・ブーケ」


 基本的に弟が誰かと、特に女性と二人きりになることをよしとしないベアトリスだが、もしひとりだけ許せる、という状況になれば迷わず選ぶのは彼女。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ