244話
そこにひとつオードが追加で豆知識。しなやかに曲がるため、他の使い方も。
「サンゴミズキはリース用にも使える。数本輪っかにして紐で縛ればオッケー。余ったぶんでやってみようか」
土台としても万能。非常に重宝する植物といえる。
それも見越してベルは購入した。本当は売っていた店主のおじさんに教えてもらっただけだけど。
「だね。それで花を挿していくんだけど——」
「裏側は? ガーランドの裏側にはスギとか貼らない?」
そのまま進めていこうとしたところに、ひとつ、アイディアを持ったオードが提案を挟む。
しかし全く頭になかったベル。その中身を聞き返す。
「裏? なんで?」
「普通のアレンジメントとは見え方が違うからね。立体感を出すためにも裏側から緑系を入れたほうがいいんじゃないかと。ま、花に関しては素人だから、そこはあくまで参考にね」
手芸としてのオードの意図はこういうこと。テーブルなどの上に乗せて見るアレンジメントとは違い、ガーランドは壁などに飾る。視点が違うとなると、そのままだと若干厚みがなく、インパクトに欠けてしまう。そんな気がした。
フローリストとして。その着眼点をベルは吟味してみる。見る角度。それが例えばもし、もっと大きなガーランドになったら。今作っているサイズなら、そこまで気にならないかもしれない。だが。様々なシチュエーションを探り。そして。
「……たしかに。そうかも」
なにかひとつ、掴んだ気がする。感謝。やはり、誰かに教わるということは有益。
ちょっとしたことではある。だが、それが大事なことであることを、作ってきたカルトナージュからも会得していたオードの助言。
「お役に立てたならそれでいいわ」
ため息をつきながらも、その表情はどこか晴れやか。友人がイキイキとしていると自身も心地いい。
「じゃ、余ったスギをやってみよう。リースワイヤーでまとめて、と」
そしてベルは先ほどと同じように、木が乾燥して縮んでもいいようにキツく巻き付ける。うん、より厚みが増した。本当に、気づく『目』というものは大事。ベアトリスからも習った通り。
下準備はこれで完成。あとは生花を挿し込むのみ。持ち込んだものにオードは興味を移す。
「どんなのを買ってきたの? マルシェでそんなにいいもの、売ってる?」
店などよりも当然種類は少ない。ある程度厳選して売っているのだろうけども。
それらを全てテーブルの上にベルは広げた。全部は使わないかもしれない。
「とりあえず『クリスマスで使いそうなやつ』ってことで、赤とか白とか緑をそれっぽく。バラだとありきたりかなと思って、ポインセチア」
自分の意見を混ぜつつも、お店の人に適当に包んでもらった。フローラルフォームもおまけしてもらって。




