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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
ヴォランテ
236/320

236話

 一階は店舗となっており、約五〇平米ほどの大きさの店内。壁の棚には「ないものはない」と言い張るほど、様々な色や形のボタン。「ないものはない」というのは「全てある」ということと「ないものはないから諦めろ」という両方の意味を含んでいる。


 その他、リボンや布。紐や糸やらフレームやら、ところ狭しと、それでいてわかりやすく区画分けされており、欲しいものが見つかりやすい。雑多になっている手芸店も多いが、店の娘が几帳面なため、常に目を光らせている。


「んじゃ、早速やっていくわけだけど、まぁ色々あるやり方のうちのひとつだと思ってもらって」


 その二階。オードはイスに荷物を下ろした。六人がけの大きなテーブルとイス。ここでは実際に手芸やカルトナージュの教室も行っている。カルトナージュの専門店ではあるが、結局のところ様々な技術を応用して使うため、総合的に教えることができるのだ。


 こちらも壁の棚にはカルトナージュの作品。写真立てやパスケース、箱や皿などが整列されている。もうすでに日は暮れかけているため、太陽の光は入ってこないが、開放的な大きな窓もあり、広々した室内は塞ぎ込む心配がない。


「うん、わかった。よろしく」


 あまり気負わないように。作品をキョロキョロと見回しながら、ベルは返事。友人の家というのは最初、異世界みたいで不思議。


 そんなことを考えているとは露知らず、オードはテキパキと準備をする。最近はガーランドやリースを教える機会も増えてきていたので、道具はある程度まとめてある。それらをテーブルの上に置いた。


「用意するものはワイヤーが二種。一八番のリースワイヤーと二四番のアーティスティックワイヤー。あとは使いたい花材なんかを。今回はサツマスギ、ブルーアイス、ヒバ、スターアニスやカラマツってところかしらね。好みでフローラルテープ。定番中の定番」


 ノエルの時期によく見るヤツ。スターアニスに至ってはスーパーで買ってきた。調味料コーナーで見かけたので。


 ズイっと顔を道具に近づけたベルが、馴染みあるものに顔を綻ばす。


「結構フラワーアレンジメントでも使うものが」


 ワイヤー。ブルーアイス。あとスギやヒバも〈ソノラ〉で見かけた。テープも。ランジス市場で購入してきたのだろうか。雑貨も多い場所。フランスの心臓だ……と、再度確認。


「まぁ共通するところはそれなりにあるでしょうね。フローリストが買いに来ることもあるし。花屋と手芸屋のガーランドやリースはちょっと違うところもあるんだけどね」


 とはいえ、やることに大差はない。それに作り方も無数に存在する。手芸屋の娘オードも何種類かはわかっているが、それでも学習が追いつかないほどに。

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