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Sonora 【ソノラ】  作者: じゅん
トランクイロ
185/320

185話

 占い師、などを予想していたベアトリスは少しザワつく。


「お前、なにか罪を重ねてるのか?」


「例えです、例え! なにもしていません!」


 言ってから他にもあっただろう、と気づいたベルも内心穏やかではない。やはりこの人の前だと発言を気をつけなければ。あとでどうせ掘り返されるのだ。


「まぁいい。神父もフローリストもやることは一緒だ。なにも変わらない。そうだろ?」


 懺悔室だろうが、花に囲まれた店内だろうが、まずやらなければいけないこと。医者だろうとなんだろうと。ベアトリスが今もやっていること。


 悩み解決。その始まり。ベルは当たり前のことにハッとする。


「話を……聞くこと?」


 そして、神父であれば諭して救い、フローリストは花を用いて救い、医者は医学を用いて救う。最終的な方法は違えど、それぞれの役割で。


 これは私の考えだが、とベアトリスは前置きをして持論を展開。


「それで充分だ。心理学者のアルフレッド・アドラーはこう言っている。『悩みをゼロにしたいのならば、宇宙でたったひとりになるしかない』とな。私達は、悩みを打ち明けてくれた人の『鏡』であること。答えはもうすでに持っているのだから」


 新たな花を咲かせるのではなく、その人が元々持っていた花の種を咲かせる。そんなイメージ。だからこそ話を聞くことは重要。正解かどうかはわからない、が、自身と見つめ合えるようなアレンジメントを。


 頭の中のモヤモヤが、まるでハンマーで叩かれて出ていったように少し軽くなったベル。キーワードを拾い上げる。


「宇宙……ひとり……鏡……」


 右も左も、上下も前後も。なにもなくなったかのような空間。行ったことはないけど。音のない世界で自分の中だけで鳴り響く音楽。ピアノ。かつて作ったアレンジメント。そこに込めた意思を再度確認。


 弟子がなにか引っかかりを手にした様子を確認し、師であるベアトリスは決断する。


「そして今。お前が悩んでいるというのであれば、私は出す花は決めている。決めているのだが——」


「?」


 もったいぶった言い方に不自然さを感じとったベルは、その細い首を傾げた。


 イスの背もたれに寄りかかったベアトリスは、足を組んで予定変更を打ち出す。


「……つまらんな。もし、ベルが私の立場だったら。どんなアレンジメントを作るのか。よし、これにしよう」


 間違いない、と自身を絶賛。そっちのほうが面白いし。


 突然、矛先を向けられたベルはそのまま硬直。数秒俯いてから顔を上げる。


「……え?」


 ここには悩み解決に来たはずでは? ミイラ取りがミイラになった?

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