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126話
「見た目なのか香りなのか、はたまた花言葉のメッセージ性なのか」
それでいて、美しく見えるように。アレンジメントを作る指を、お客は見ている。より無駄がなく、より壮大に、より深く染み渡るように。
「花に答えなんて最初からありません。花器も花の種類も無限にありますから」
花からしても、どの花が良くて、どの花がダメかなど考えない。懸命に大地から芽吹き、音楽を奏でているだけ。
テーブルの上には三種類の花。かなり簡素な出来栄えになることは、すでに見て取れる。だが、これがベアトリスの出した答え。
「使うのはバラ、へデラベリー、ナズナだけです。バラは本来なら棘を取るのですが——」
「『野バラは花を守るために、棘を身につけて武装した』。妻は負けん気が強かったね」
思い出を回想しながら、サミーは得意げになる。自身の伴侶のことはよく知っている。彼女の棘には、猛毒も塗られていたような気がしないでもない。




