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100話
第三者的位置にいるシャルルからしてみれば、それは認めているのかいないのか。それは前者だと想定している。褒める比較対象が自分以外にいないのが難ではあるが、なるほど、苦いと甘いの中間でコロコロと変化する情動。それはベアトリアスの内部で「褒めたくない」という反発心との葛藤があるからだ。
「言ってしまえば『まあまあ』だ。いいか、『まあまあ』というのは八対二で『否が勝っている』、という意味だ。勘違いするな」
「でも、二は『賛がある』っていう意味ですよね。ありがとうございます。次は七対三を目指します!」
ハキハキと、バラのような棘のあるベアトリスの戒めをベルはいなす。九・五で否、くらいの厳しい結果を予想に入れていたため、それを聞いてベルは手放しで喜んだ。たとえその評価がシャルルの言うように意味を成さないとしても、それでも心に残る記念となる。ただの参加賞で終わらないなにかが。




