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322 フラグが乱立していたようで……

修正しました。

「マイカもー」 → 「マリカもー」

マイカは種族的な感覚が → マリカ~

酔ってくる → 寄ってくる


 俺がアニスとレイナの告白に混乱していると、マイカの声が聞こえてきた。


「あー、やっぱりねえ」


 意味ありげにマイカが笑っている。

 何がやっぱりなんだよ。

 どうやらマイカさんには、この状況が予測できていたみたいですよ。

 現場にいた俺が分からなくて混乱しているというのに。

 どうして惑星レーヌに降り立ったばかりのマイカに分かるのだろう。

 不思議でならない。

 だからこその[鈍感王]なんだろうけどさ。


「ハルくんだもんね」


 ミズキまで同調して笑っているし。

 俺のことをよく知っているからこそ、詳細を知らなくても見当がつくってことか。

 それってつまり俺が自分のことを分かっていないということになるよな。

 すべてが分かると自惚れている訳じゃない。

 現に不名誉な称号がついたくらいだ。

 灯台もと暗しとも言うし。

 第三者の方が引いて見ることができる分だけ見える部分があるのだろう。

 何か納得がいかないけどね。

 でも、世の中そんなものだとも思う。


「くくっくうくー」


 さすがは鈍感王って、おい。

 それをバラしてくれるな。

 まったく、油断も隙もあったもんじゃない。


「あらあらまあまあ。

 ハルトくん、モテモテねぇ。

 自慢の息子が立派になってお母さんも嬉しいわ」


 あのぅ……日本だと問題大ありの事案なんですが。

 4股だもんね。

 リア充、爆発しろ! という叫びが聞こえてきそうである。

 それに、ちょっと待ってくれ。

 俺はそんな粉をかけるような行動をしてたか?

 普通に接していただけだぞ。

 混乱して訳が分からん。

 それなんてハーレム?

 俺はそういうものを目指した覚えはないんですが。

 いや、男なんで女の子に興味はあるんですよ。

 故に拒否の選択はないかなとは思うんだけどね。

 戸惑いがあるというか何というか。

 信頼関係はある。

 あるが何故という思いもあるのだ。

 俺を選択する理由がミズキやマイカよりも弱い気がするんだよね。

 知り合ってからの期間が短いから?

 なんとも言い難いところだ。

 理由を求めることで心の何処かで逃げているような気もする。

 それじゃダメだ。

 自分に向き合ってみる。

 アニスとレイナが嫁になるところを想像してみた。

 うまく想像できない。

 妄想大好き人間であるはずの俺が、こんな簡単なことを思い浮かべることができないとは。

 些かではあるがショックだ。

 何が足りないのだろうか。


「……………」


 おそらくだがデレだな。

 デレ要素が足りない。

 ツンツンな2人がツンデレになったところを見たことがないせいだ。

 普段の彼女らは、そんなにツンツンしている訳じゃないがね。

 それでもデレていないからツンだとしておく。

 そう、デレていなかったのだ。

 デレたのはつい先程である。

 しかも、いきなり求婚だからな。

 今までとのギャップが激しすぎて戸惑っているのか。

 もう少し素直に好意を表してくれたらなぁ。

 こういうモヤッとした感じにはならなかったんじゃなかろうか。

 せめて、これからはデレを素直に見せてほしい。

 遠回しな好意を察するのは苦手なのだ。

 贅沢な悩みだとは思うがね。

 選択ぼっちだった弊害なんだろう。

 そういう感覚を鍛えてこなかった訳だから。

 これから地道にやっていくしかない。

 もしかすると身につかないかもしれないが。

 いずれにしても拒否はない。

 腹はくくった。

 責任を取る。

 そんな風に考えていたらリーシャが小さく挙手をした。

 なんだ?


「我々も結婚してほしいです」


 なんですとぉ────────っ!?

 我々ってどういうこと!?

 疑問が言葉として発される前に「「はーい!」」と元気よく手が挙げられた。

 ダブルで。


「「してほしいですー」」


 言うまでもなく双子のメリーとリリーである。

 確かに我々だな。

 それにしても姉妹で既に意思統一されているとは……

 姉妹で俺に対する気持ちとか話し合ってきたということだよな。

 後は告白するだけという状態になっていたのが怖い。

 一体、いつからその状態なのかね。

 まさか最初からなんてことはないと思うけど。


「私もハルトさんの奥さんになりたいですー」


 ダニエラもか。

 ここまで来ると驚きはない。

 元月狼の友のメンバーは幼なじみで姉妹も同然だ。

 むしろ、ここで「私はパス」なんて言われる方が意外である。

 こんな風に考えるとか図々しいよな。

 調子に乗ると痛い目を見るのは世の常だ。

 気を付けよう。

 2人と結婚していたと思ったら嫁が6人増えました。

 それなんてエロゲ?

 もはや笑うしかない。

 ただ、ここで笑うと変態の扱いを受けそうなので我慢我慢。

 【ポーカーフェイス】全力運転である。


「私も……」


 おずおずとした感じでルーリアも立候補してきた。

 いつもの凜々しい感じが影を潜めているあたり、いじらしいというか何というか。

 クーデレってやつだな。

 アニメとかラノベでしか見たことないよ。

 いや、ツンデレも普通のデレもリアルでなんて見たことないけどさ。

 どんだけ寂しい生活を送ってきたのかという話になるね。


「主よ、私もつがいになることを望む」


 弟子であるツバキまでもが、こんなことを言い出す始末だ。

 ツバキが俺に特別な感情があるというのは分かるんだけどさ。

 月影の面々よりは分かり易いからな。

 俺が出かける時は必ず付いて来ようとするし。

 性格は犬っぽいね。

 ハイアラックネなんだけど。

 いずれにしても他の立候補者と違って表現が生々しい。

 つがいって言い方はどうなのよ、ツバキさん。

 色っぽいお姉さんにそんなこと言われると心拍数が跳ね上がるんですがね。

 肉食系?

 間違いなくそうだよね。

 でもさ、立候補者全員が肉食系だと思うよ。

 実質的に肉食獣な顔をしたお姉さんもいるけどさ。


「陛下、私もです」


 妖精組のカーラさん。

 君もやっぱり立候補してきますか。

 付き合いの長さで言えばツバキと同じなんだし、分からなくはない。

 ハイケットシーなんだから、もっと猫っぽい性格してるのかと思ったんだが。

 犬っぽい部分が多々見受けられる。

 そのお陰で懐かれた気がしなくはない。

 俺が出かける時には行ってらっしゃいな感じなんで、完全に犬って訳でもないが。

 なんにせよフラグ立てすぎだ。

 そして、いつの間にとも思う訳で。

 まるでゲーム内のデータを改ざんしたかのような不自然さを感じる。

 恋愛系のゲームで適当にプレイしても全攻略イベント回収みたいな……

 まあ、さすがにラソル様は関わっていないようだけど。

 これで関わっているなら問答無用でぶちのめす。

 それはともかく、これが偶然だというのなら恐ろしいと言わざるを得ない。

 いくら何でも打ち止めだよなと思ったのだが。

 へばって座り込んでいた3姉妹までもが手を挙げてきた。

 マジかよ……

 でも、この3人なら分からなくもない。

 具体的にどこでフラグが立ったか説明しろと言われると難しいがね。

 それでも今までの流れの中でフラグが立ったというのは何となく分かる。

 そしてアンネとベリーのABコンビまでもが何かを言いたそうに俺の方を見ていた。

 言いたそうというか物欲しそうと言うべきかもね。

 肉食獣的なギラついた目ではないけれど。

 お預けをくらっている犬のような物悲しさがあるというか。

 表現としては適切ではないが、そんな感じだ。


「君らもか」


 思わず聞いてしまっていた。

 2人して顔を見合わせ戸惑いを見せながらも頷きが返される。

 もう、何が何だかわからない。

 けれども不安そうな顔で俺を見てくるのは拒否されることを恐れてのことなんだろう。

 こういうときに何も言わないとネガティブな思考を延々と続けて良くないんだよな。

 何か言わないといけない。


「あー、来る者は拒まずとは言わない」


 ABコンビのテンションが下がった。

 話は最後まで聞こうぜ。


「だが、いま俺との婚姻を希望する者に打算を感じなかった」


 これが重要である。

 金とか権力に釣られて寄ってくる連中に用はない。


「好きという気持ちがある相手なら俺は拒まない」


 見た目が好みというだけで言い寄ってくるような輩も鬱陶しいだけだ。

 そういうのは、いま言った「好き」には含まれない。

 一目惚れがないとは言わないよ。

 けれども、それは切っ掛けに過ぎない。

 そこから気持ちと信頼を発展させていけるかで結果は変わる。

 中身が伴うからこその恋愛感情だと俺は思っている。

 今回のケースだと気持ちを伏せたまま信頼関係を構築したというところか。


「ただ、知ってのように妻が既にいる」


 ベリルママによるとミズキもマイカも正妻なんだそうだ。

 第1夫人と第2夫人という扱いになるんだって。

 先に知り合ったミズキの方が第1夫人である。

 2人との付き合いの長さからすると誤差程度の差でしかないけどね。

 マイカに不満はないそうだ。

 正妻というポジションで満足しているみたいでニヤニヤしてるよ。

 ミズキの方がオロオロしてたけどね。

 マイカを差し置いて云々と考えているのは明白だ。

 アンタの方が先に出会ったんでしょうがとマイカに背中を叩かれて、とりあえず納得したけど。

 なんにせよ、この両名が正妻の扱いになる。

 同着でゴールインした感じかな。

 対外的には序列化しないといけないので、こういうことになったがね。

 それでも正妻というポジションは変わらないので俺も妥当な線だと思う。


「対外的には正妻とはならないが、それでもいいのか」


「「「「「えっ!?」」」」」


 何か驚かれてしまいましたが、どゆこと?


「主よ、対外的にということは国内では正妻扱いになると?」


 ツバキが困惑しながら聞いてくる。


「俺の妻になるということは全員同じってことだ。

 他所の国みたいに側室で序列がどうのとかいうのはない」


 立候補した者たちが唖然としていた。

 その隙にシヅカが話し掛けてくる。


「主よ、婚姻や妻という概念が今ひとつ理解できんのじゃが」


「マリカもー」


 一言での説明が難しそうなので魔法を使わせていただきましたよ。

 クイックメモライズの改良型、タフメモライズ。

 痛みと吐き気対策をしたものだ。

 完璧ではないがね。

 まあ、この両名には無用の心配になるだろうけど。


「ふむふむ、なるほどの」


「にんげんはたいへん」


「そうかの、妾も主の妻になりたいぞ」


 ああ、ここにもいましたよ。

 マリカは種族的な感覚が違うせいか、そういうことは言わないようだ。

 見た目、幼女を妻にするとか俺には無理だ。

 紳士な人達から抗議が殺到しそうだしな。


「私もハル兄と結婚したい」


 今まで考え込んでいると思ったら、ノエルさんもそれを考えていたんですか。

 あなた、11才になったばかりでしょう。

 俺はロリコンじゃないんですが。


「今は婚約でいい」


 まあ、それならいいか。


読んでくれてありがとう。

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