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296 つくってみた『訓練専用弾&拳銃』

「しょうがない」


 スリングショットの専用弾に訓練用の非殺傷タイプを追加するか。

 けど、ゴム弾みたいなのはダメだな。

 わずかだが殺傷力は残ってしまう。

 弾頭部分をもっと柔らかい感じにすべきだろう。

 水風船みたいなのがいいか。

 着弾するとグニュっと潰れて衝撃を殺すようにすれば……

 いや、それだけじゃ不充分だ。

 死ななくても怪我は免れない。

 サプレッサーを装着してようやく大丈夫と言えるレベルかな。

 できればオプションを装着せずに対応したいよね。

 さて、どうしたものか。


「……………」


 俺のガンセイバーのように弾を回収する前提だと無理っぽいな。

 まあ、弾は魔力のみで作るから別に気にしなくてもいいんだけど。

 ならば破裂させて衝撃を殺すか。

 悪くないかもな。

 まず、目標に命中するだろ。

 当たった瞬間に先端部分がひしゃげて衝撃を吸収。

 ひしゃげきって衝撃を吸収しきれなくなったら破裂。

 破裂することで衝撃を拡散。

 うん、行けそうだ。


「……………」


 でも、待てよ。

 破裂するだけじゃ、何となくもったいない気がする。

 防犯用カラーボールみたいに破裂して着色するようにするか。

 色がつけば命中が確認できる。

 でも、それだと命中箇所があやふやになるなぁ。

 できれば何処に当たったかハッキリと分かった方がいいよな。

 着弾位置を確認できるようにするにはどうすりゃいい?

 着色料の量を減らすか。

 それでも散るだろうしな。

 あんまり減らすと何がなんだか分からない状態になりそうだし。

 こう、なんというかポンと判子を押したような明確さが欲しいのだよ。

 ん? 判子か。

 弾頭部分をスタンプに見立てればいけそうだ。

 着弾してひしゃげた瞬間に着色料が噴出されるようにしよう。

 これなら飛び散りを防止できそうだ。

 それと撃つ前に弾に触れても汚れたりしない。

 軽くシミュレートしてみる。

 着色料の量を変えながら試してみるが望んだ結果が得られない。

 破裂による飛散よりは抑えられるけどな。

 それでも全くない訳じゃない。

 粘度を濃くしてみるか。

 あ、ダメだ。

 噴出が上手くいかない。

 破裂に戻してみたけど当然のように飛散する。

 むしろ散り方が酷くて命中箇所が余計に分かりづらくなる。

 何より垂れてしまう。

 粘度は低い方がいいのか。

 なら、他のアプローチだな。

 弾頭のひしゃげ方を工夫すればどうだ?


「……………」


 お、今までの中ではマシかも。

 なるほどな。

 弾の強度を部分的に変更するのがいいようだな。

 ふむ、複雑に強度を変えることで対処できるのか。

 なかなか面白い。

 後は半日で色落ちするようにしておこう。

 いくら訓練用とはいえども洗うの面倒だし。

 念のために水洗いすれば落ちるようにしておくか。

 仕様的には、これくらいでいいかな。

 ちゃんとしたシミュレーションで確認してみよう。

 とはいえ【多重思考】を駆使するから瞬時に完了するんだけど。


「……………」


 ちょっと威力が強めかな。

 強度を変えたのがマズかったか。

 全体的に強度を落とすと空気抵抗の影響を受けるようになるし。

 いや、ぶっ放した瞬間に破裂してしまう。

 それはシャレにならんな。

 シミュレーション上のこととはいえスリングショットがビシャビシャだ。

 ペイントは諦めるか?

 いやいや、簡単に諦めてはもったいない。

 ギリギリの強度を持たせてサプレッサーで減速させれば……

 これなら行ける。

 それなら弾そのものに減速の効果を持たせるか。

 どんどん製造コストが上がっていくな。

 消費魔力量は一般人だとたった1発を作るだけでMPが無くなるだろうね。

 うちの基準ではそこまで高い訳じゃないけど。

 あー、新国民には辛いかー。

 なるたけ早い段階でレベル100を超えてもらわんとなぁ。

 まあ、コストはお高めだけど満足のいく訓練専用弾になった。

 おっと、まだ完成した訳じゃない。

 シミュレーション上の結果が出ただけだ。

 という訳でレッツ作成。

 作るのは倉庫の中でだけど。

 1発くらいならすぐ完了。

 鑑定してシミュレーションと差がないかを確認。

 オッケー、想定通りの仕上がりだ。

 試しに倉の方へ移して適当に用意した的に向けて試射してみる。

 バチッという痛そうな音が的から聞こえてきた。

 嫌な音だが破裂音だからしょうがない。

 音ほどは衝撃がないし痛みもないであろうことは確認できた。

 怪我はしないだろう。


「……………」


 やっぱ、音の方も小さくなるように処理しておくか。

 痛そうな音なんて誰も聞きたくないもんな。

 では術式を書き換えて、と。

 最終調整完了。

 試射してみたらバチッという痛そうな音は軽いパチンぐらいになった。

 威力も怪我をしないレベルに抑えられたと言って良いだろう。

 絶対安全ではないけどね。

 当たり所によっては怪我もするだろうし。

 それでも死なないというのが重要である。

 殺傷力なんてあったら訓練専用弾の意味がなくなるからな。


「こんなものだろう」


 ほぅと一息ついた。


「なんですか?」


 ハリーが首を傾げている。

 いかん、独り言が漏れてしまったようだ。


「訓練用の弾を作った」


 瞬時にコピーして弾倉にセット。

 更にそれをコピーしていく。

 千人分の訓練用に余裕を持たせてとなると魔力も湯水のように使うことになる。

 ゲージで表示させると全然減らんけどな。

 回復速度も並みじゃないからだ。


「バルーン弾だ」


 倉庫から弾倉をひとつ引っ張り出してハリーに放り投げた。

 何気ない動作で受け取るとハリーは色々な角度から弾倉を見ている。

 気になるのは、やはりオレンジ色の弾のようだ。


「当たると破裂して判別できるように色がつく。

 こいつなら痛みはあるが怪我もしにくいし命中箇所も判別しやすい」


「おおー」


 箱詰めした弾倉を引っ張り出して置いていく。


「当面はこれを使え。

 残りが少なくなったら連絡しろ」


「了解です」


 ハリーは姿勢を正して敬礼した。

 忍者じゃないのかよ。

 まあ、いいや。

 これでヤクモでやっておくべきことは終わった。

 明日以降になれば何かしら追加されることも出てくるだろうが、とりあえず終了。

 とはいえ、何か物足りない気がするんだよなぁ。

 訓練専用弾を掌の上で1発作ってみる。

 見ていて思うのは拳銃弾みたいだなってこと。

 実際は薬莢に相当する部分までが弾なんだけど。

 スリングショット用専用弾と互換性を持たせるため大きさは同じだが。

 先端の形状は違う。

 普通の専用弾の先端はライフル弾のそれに近い。

 あ、色も違うよ。

 専用弾は新品の10円硬貨の色。

 銅の色だな。

 訓練専用弾はオレンジだ。

 防犯用カラーボールをイメージしたからな。

 アレよりも赤みを混ぜてはいるけど。

 おっと、先端の形状だったな。

 訓練専用弾の形は拳銃弾に近い。

 拳銃弾ねえ……

 ふむ、拳銃を作ってみるのも悪くないかもな。

 アサルトライフル風スリングショットみたいな構造にはできないけれど。

 引き金を引いたら魔法が発動するようにするか。

 風と理力の混合で魔力効率を優先させて……

 あー、スリングショットと性能を同等にしようとすると魔力を食いそうだ。

 自前の魔力をつぎ込む必要があるぞ、これは。

 推進力は風魔法だけにするか。

 反動は大きそうだけど、しょうがない。

 理力魔法は疑似ライフリングだけにして……

 いや、加速にも必要だな。


「……………」


 いかん、いけませんなー。

 これは新参の国民には使えないレベルの魔力消費量ですよ。

 増幅術式なしだと2発と撃てないね。

 魔力が少ないと1発で失神もあり得る。

 ハリーなら余裕があるだろうけど、それだと拳銃を作る意味が激減する。

 ……そうでもないか。

 これを使って魔力を強制的に増やすトレーニングにはなる。

 回復手段も用意しとかないと時間を大幅にロスすることになりそうだけど。

 1、2発撃ったら半日も寝込むことになりました。

 それ何の冗談って思うよね。

 消費をもう少し何とかするには増幅術式を複数ぶち込むしかないか。


「……………」


 おや、上手くいかないな。

 単純に術式を組み込んだ分だけの効果しかない。

 むしろ細切れにしてる分だけロスがある。

 俺がイメージしたのは接続された術式同士が互いに増幅効果を生み出す感じ?

 共振現象みたいなもんかな。

 上手くいかんけど。

 並列に並べるだけじゃダメなのか。

 いや、違う。

 接続したからダメなんだ。

 効率の悪い一つの術式として認識されてしまっている。

 そりゃあ劣化するよね。

 接続を切り離して適度な距離を持たせると……

 おおっ、思った通りの効果になったな。

 それでも自動拳銃の弾倉ひとつ分を打ち切ったら新国民は魔力切れになりそうだ。

 術式同士をより合わせるようにしてみたらどうだろう。

 ネジネジネジネジネジ……

 更に数倍の効果が見込めるのか。

 そこまでできれば上出来だ。

 これなら1発分の魔力を吸い上げても大きな影響はない。

 いや、吸い上げるのはもっと少なくて良い。

 1発分に増幅しても余剰分ができるからな。

 撃って消費しても余剰分を増幅させればいい。

 撃たない時は魔石に蓄積させる。

 余剰分が出たら本人に還元。

 本人の負担が限りなく低くなる訳だ。

 これは他でも応用ができそうだね。

 さて本体にどう組み込むかだけど。

 よく考えたら基本デザインしてなかった。


「……………」


 まあ、その辺は融通が利くけどさ。

 てな訳でリボルバーにするか自動拳銃にするかを決めなくてはいけない。

 ここはリボルバーで決まりと言いたい所だけど悩ましい。

 デザイン的には自動拳銃の方が作ってみたいのが色々あるからなぁ。

 例えば砂漠のワシとか分裂した国の75なやつとか専用弾を使う57のやつとか。

 もちろん、これだけじゃない。

 リボルバーにするなら一択なんだけど。

 3世な泥棒の相方が使ってるやつ。

 スリングショットでは回転弾倉を採用しなかったから、拳銃はリボルバーとも思うんだけどねー。

 装填弾数は圧倒的に自動拳銃なんだが。

 めんどいから両方作りますか。

 【多重思考】で分担すればすぐですよ。


読んでくれてありがとう。

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