表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
294/1785

288 クイズの答えと脳内メール

修正ではなく更新予告です。

次話は日付が変わってから手動で更新します。

 マジでシャレにならん。

 6個も称号が増えた上に、最後のは得体が知れない謎の称号だし。

 説明文はおろか取得条件も不明だもんな。

 そもそも称号自体が伏せ字で[○○王]って何だそりゃ。

 気になるどころの話じゃない。

 ○○王と聞いて連想するものと言ったら某アニメの主人公とか。

 自動2輪を買い取る店は……伏せ字の部分が足りないな。

 昔の逆転するアニメに出てくるメカの名前がそんな感じだったか。

 ついつい色々と考えてしまうが、結論には至らない。

 だって心当たりがないんだ。

 どうしようもねえだろ。


「……………」


 とはいえ、ここでヒートアップしても始まらん。

 ベリルママが帰ってきたら相談してみるか。

 もしかしたら伏せ字の部分が分かるかもしれないし。

 知ってしまうと引き返せなくなるような嫌な予感もするけどね。

 放置すると、それはそれでヤバそうなんだ。

 なんとなくだがトラブルの予感がする。

 全力で回避したいが、何がどうなるかが読めない以上はどうすることもできない。

 一刻も早くベリルママには帰ってきてもらわないとな。

 俺じゃ神様のシステムにアクセスなんてできないんだし。

 そんなこんなで俺は己の称号のことで密かに苦悶していたのだが……

 その間にもゲールウエザー組は侃々諤々と議論していた。

 喧々囂々とした感じにはなっていない。

 これは全員が高等な教育を受けているからだな。

 さすがは王族と王城勤めってことか。

 まあ、緊急事態じゃないからというのもあるだろう。

 色々と意見を出し合っては、あーでもないこーでもないと話し合っている。

 それでも備蓄分から再利用する小麦をどこで使うかは見当がつけられずにいた。

 案はそれなりにあったのだけれど。

 国境警備部隊のレーションとして用いるとか。

 クジ引きで卸す相手を決めるとか。

 家畜の餌に混ぜるとか。

 燃料にするなんて意見もあった。

 言うまでもなく、どれも不正解である。

 俺が不正解と言うまでもなく自分たちで不正解だろうという結論に達していたけどね。

 レーションは士気に関わる問題だから意見が出た次の瞬間に却下されていた。

 ただでさえ不味い前線の飯が更に不味くなるのは考えるまでもなくダメだってさ。

 一方でクジ引き案は意外と支持されていた。

 公平だからなんだろう。

 だが、ナターシャが市場を混乱させる恐れがあると意見すると流れが変わった。

 やはり品質が劣るとはいえ原価が無料の小麦では問題があるようだ。

 超格安の小麦がそれなりの量で市場に出回るのは経済にダメージを与えるのだろう。

 家畜の餌にするのだとしても同じ理由で問題となる。

 あえなく撃沈。

 ちなみに燃料案は論外だとして即座に却下された。

 食べ物を粗末に扱うことに他ならないのだから。

 今までに廃棄していたものは食用に適さない状態になってからそうしていたまで。

 充分に食べられるものを食べずに処分するなどあり得ない訳だ。

 それなら肥料にする方がまだマシというもの。

 現にそういう意見もあったけどね。

 マシというだけで忌避感は強いようだ。

 食糧に関しては不自由している国じゃないんだけどな。

 そのあたりは元現代日本人である俺の感覚がおかしいのかもしれない。

 日本は食糧自給率が低いのに飽食の国だったからな。

 お金さえあれば何だって食べられるなんて本当は異常なことなんだろうし。

 それはともかく議論は停滞しつつあるようだ。

 明確な答えを見つけ出せぬまま沈黙の時間が増えていく。

 売らずに再利用するということが理解しがたいのか議論が停滞する要因になっているようだ。

 俺からすると、そんなに発想を妨げるものなんだろうかと思うのだが。

 ちょっと予想外である。

 備蓄から回ってきた古い小麦の再利用法はかなりの難問になってしまったようだ。

 まあ、個人の考えたことをピンポイントで答えろって方が無理があるのか。

 俺の予測としてはちょっと考えれば誰か思いつくだろうと思っていたのだけれど。

 実際はそうはいかなかった訳で……

 こんなはずではと思う結果になっている。

 日常生活に関わることが皆無だからなのかねぇ。

 この中で直接的に関わっている者はいないと思われる。

 総長はもしかしたら関わったことがあるのかもな。

 クラウドやダニエルは間接的には関わったことがあると思うんだが。

 それでも他の重要な案件に重きを置いているだろうし。

 こちらの方には意識が向いていないようだ。

 クラウドやダニエルは頭の片隅にあってもおかしくないと思ったんだが。

 現に総長は分かっているっぽい。

 ただし、彼女以外に答えを導き出せそうな者はいないんだよな。

 答えがピンポイント過ぎたのかな。

 俺が出したヒントも不親切だったか。

 答えに直接結びつくようなものはなかったし。

 今のままでは、わからないのも仕方がないのか。

 言われれば「ああ、そうか」となる程度の答えだけれど。

 正解を俺が言えばコロンブスの卵のような状態になってもおかしくはない。

 ただ、そういう状態にはならない気がする。

 史実でない話を引っぱりだしたから言うのではないけどね。

 今回のゲールウエザー組の面子を見てそう思っただけだ。

 答えはこうですと言った直後の反応がどうなるかは不明である。


「さて、そろそろいいかな」


 議論も下火になってきたようだし答え合わせといこうか。

 こういうのは白けきってしまうと最後まで盛り上がらなくなる。

 答えが分かった後も興醒めした空気が残ってしまうんだよな。

 なら、タイミングは今だ。

 答えられない人間を指名しても意味はない。

 ならば分かっている人間に答えさせるべきだろう。


「ジョイス総長」


「はい」


 俺は総長に呼びかける。

 唯一、答えが分かっているであろう人物だからな。

 ここで間違えたのだとしても仕方がない。

 他の者はこれという答えを導き出せなかったのだ。

 不正解だったことをとやかく言われる筋合いはないはずである。

 まあ、正解しているだろうから無用の心配だと思うがね。


「答えを聞こうか」


「あら、お気づきでしたか?」


 楽しそうに聞いてくれるよな。

 白々しい芝居をしてくれる。

 議論の間中、ずっとニコニコして聞くだけに徹していたじゃないかよ。

 天然を装った策士ってのがピッタリだな。

 まるっきり策士という訳でもなさそうなのが厄介だ。

 どこまでが装った状態なのかが非常に分かりづらいのでね。


「ヒントを出す前から答えに辿り着いていただろうに」


 俺がそう言うと、クラウドとダニエルがそろってゲンナリしていた。

 どうやら似たようなことはよくあるらしい。

 イタズラ好きな婆さんなのかもしれんな。


「そこまでお見通しとは恐れ入ります」


 本当に食えない婆さんだ。


「で、答えは?」


 そういう部分に腹を立てても手玉に取られるだけだ。

 ポーカーフェイスでスルーする。


「孤児院で用いるのではないかと」


「「「「「あっ」」」」」


 回答に対して俺が何かを言うまでもなくゲールウエザー組が反応していた。

 特にクラウドとダニエルは痛恨の一撃をもらったかのような顔になっている。


「根拠は?」


 俺は正解か否かをあえて言わずに問いかけた。


「現状では市場で小麦が不足するという話は出ておりません。

 誰かが言っていたように質は低くとも安いものを流せば混乱するでしょう」


 まずは市場に出回らない根拠からか。


「それならば不足している場所で用いれば良いと考えました」


「孤児院に結びつけて考えるには飛躍しすぎじゃないか?」


 ツッコミを入れてみる。


「確かにそうですね」


 あっさり認めるよな。

 こういう婆さんだったっけ。


「ただ、孤児院に回される予算は少ないです。

 我が国では他国よりもマシとはいえ決して恵まれているとは言えません」


 ああ、俺が思っていた通りなんだ。

 この国でも孤児院は限られた予算と寄付で運営されているか。

 これを答えにして良かったな。


「孤児院の食事で用いれば、それだけ多くの孤児を養えます。

 さすがに運営費を食費以外のことに使えるとまでは言えませんが。

 衛生面や健康面、施設面なども充実させるのが今後の課題だと考えております」

 やれやれ、答えの先のことまで考えていたか。

 俺の言いたいことが奪われてしまった。


「そこまで分かっているなら上等だ。

 俺から補足することは何もない」


 ワッと歓声が上がった。

 声を発していなかったのは総長の他は王族コンビくらいか。

 総長はただニコニコと笑みを浮かべているだけ。

 しかしながら、正解したことが嬉しいという感じは薄い。

 それまでのニコニコの延長にしか見えない。

 まあ、自分の功績をことさら誇るような人間ではないってことだ。

 クラウドやダニエルが無言だったのは考え込んでしまったからだろう。

 俺がクイズにしたことを実行するべきか否か。

 あるいは、その考えが思い浮かばなかったことを恥じているのか。

 彼らの表情からすると、どうやら後者のようである。

 読みづらい乏しい変化ではあったが悩んでいるよりは怒っているように見えたのでね。

 こういう時に表情を隠せるなら、普段から隠せよ。

 この2人もトンチンカンなことをするよな。

 もしかして、この国の人間にはそういう傾向があるのか?

 疲れる連中だ……

 それはさておき、そろそろ着陸地点だ。

 まだ予定していた街に到着した訳ではないがね。

 輸送機であまり接近しすぎると、亜竜とかの襲撃と勘違いされかねないのでね。

 馬車で小一時間くらいかかる距離の地点に着陸するのは出発前から決めていたことだ。


『メールだよ、メールだよ、メールだったらメールだよ』


 脳内に響くメール着信音声。

 言うまでもなく脳内スマホのメールだ。

 そして、このふざけた着信音声はラソル様の声である。

 強制的に音声を割り当てるとか無駄に仕事してるよな。

 このタイミングでメールを入れてくるということは、すぐに見た方がいいよな。

 場合によってはルディア様に連絡を入れないといけない。

 いや、メールがあったことを報告するためにも一報は入れておくべきだろう。

 それで何を送信してきたんだ?


[タイトル:そのまま街まで飛んじゃいなYO!]


「……………」


 タイトルを見た瞬間にガックリと崩れ落ちそうになったわ。

 なんとか耐えたけど。

 あと、憤怒の表情になるところを【ポーカーフェイス】をフル活用してバレないようにした。

 どこのアイドルタレント事務所の社長だっつの。

 この調子で本文も読めというのか。

 嫌すぎだ。

 読むだけで疲れる内容と文面が待ち受けているに決まっているからな。

 人の神経を逆なでするのが本当に上手いんだから。

 でも、タイトルがふざけているせいで心構えはできるか。

 真面目な感じのタイトルで内容がアレ系だったらブチ切れていたかもしれん。

 という訳で、現在の俺の心境は「殴りてえ」である。

 強烈な一撃をあのすちゃらか亜神にぶちかましてやりたい。

 というか、この場にいたらマジで殴りかかってるね。

 銀河の果てまでぶっ飛ばすようなアッパーカットを放ったことだろう。

 当たるかどうかは知らん。

 向こうも魔神と戦えるような存在だしな。

 俺じゃあ適当にあしらわれて終わりの可能性だってある。

 だが、悠長に報復措置について考えている場合ではないな。

 このタイトルだと本文を読む必要があるだろうし。

 おまけに激しく嫌な予感がする。

 スルーしてはいけないと俺の勘が告げているのだ。

 実に腹立たしいことだが、脳内スマホの着信メールを開いた。


[HEY YOU! 飛行機で街まで乗り付けちゃいなYO!]


 1行目からこれである。


[街や近隣の人たちにはお告げを出しておいたからノープロブレム]


 どこがだよっ!

 騒ぎになるに決まってんじゃねえか。


[僕って親切だね。HAHAHAHAHA!]


 自分で言うな、馬鹿野郎。

 そしてメールの文面中で笑うとか、どういう神経してやがんだ。


[逆にお告げと異なることをすると街の人達が混乱しちゃうYO?]


 しかも締め括りがそれかよ。

 まあ、ある程度は予測できていたがな。


読んでくれてありがとう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記リンクをクリック(投票)していただけると嬉しいです。

(投票は1人1日1回まで有効)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ