表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/1785

193 戦闘が終わったら

改訂版です。

ブックマークと評価よろしくお願いします。


 輸送機の固定兵装による光線の軌道は大都会の電車路線図や電子回路の複雑な配線を見ているかのようだ。

 過剰演出かとも思ったが敵をかく乱する効果が見受けられる。

 赤面は高速で飛ぶことも忘れ目で追おうとしていたが翻弄されるだけであった。

 アニメを参考にした甲斐はあったかもな。


「終わりだ」


 仮称ホーミングレーザーは一瞬で距離を詰め、標的に命中すると胴体をいとも簡単に貫いた。

 ただの光属性魔法じゃなくて高熱も発しているのだ。

 故に事故などがないよう突き抜けた所で光線を消すように術式を組んでいる。


 これを応用すれば単なる光剣じゃなくてビームサーベルみたいな武器も作れそうだ。

 輸送機に実装させるのは見た目が微妙なことになりそうだけど、護衛用に可変戦闘機でも用意して近接戦闘用に持たせるとかは面白いんじゃないかな。


 手始めに人間サイズのものを作って試験運用してみるのがいいかもしれない。

 宇宙で戦争する映画でお馴染みのあれっぽくなるかな。

 なんというかロマンがあるよね。


 ちなみに威力は調整可能で発射前におおよその設定をしておいた。

 目算は正しかったようで命中すると致命傷となり赤面どもは次々と墜落していく。

 もちろん撃ち漏らすはずもなく全弾命中である。

 スーパーソニックフェーゼントなんて名前負けしてるよな。


 いや、輸送機の固定兵装の方が強力すぎるのか。

 羽根が綺麗な魔物なのに貫通部のみとはいえ焼いてしまったのは失敗だ。

 相手によって魔法が切り替えられるようにするのが良いかもしれない。

 改良の余地があることがわかったしし実戦データが得られたので収穫ありということにしておこう。


 とにかく戦闘自体は呆気なく終わってしまった。

 結構な高度を飛んでいたので、すぐ地面に落下ということにはならない。

 その間に転送魔法と倉庫のコンボを使って回収しておいた。

 ミズホ組以外の面子に騒がれると面倒なので壁面モニターにはその様子を映したりはしていない。


 そういうリスクを冒すなら回収しなければいいという考え方もあるかもしれない。

 だが、高空から落下した重量物が下方でどんな被害をもたらすかを考えれば、それは浅はかというもの。

 仮に人のいない場所だったとしても周囲に血なまぐさい臭気をまき散らす結果になるのは明白である。


 その場合、こちらに翼竜などの魔物が飛んで来ることも無いとは言えない訳で。

 ジェダイト組はともかくゲールウエザー組がパニックになりかねない。

 無用なリスクは避けるべきだろう。


「ハルトよ、もう良いか」


「いいぞ」


 俺の返事を確認してジェダイト組がエアバッグパッドのロックを解除した。


「無茶苦茶じゃな」


 ガンフォールが回想するように斜め上を見上げている。

 台詞とは裏腹に落ち着いているようにしか見えないんですがね?


「同感です」


 ハマーがその言葉に同意しているし。

 それでも慣れてくれた方なんだとは思う。


 そしてボルトは慣れたと言うより諦めている感じで語りもしないと。

 何気に苦労人気質だよな。

 昔は家族に振り回され、今は俺か。

 とりあえず頑張れと心の中で応援しておこう。


 心配なのは王女たち一行である。

 彼女らは放心状態で固まっていた。


「まだエアバッグパッドを外してないのか?」


 モニターに視線を向けたままのクリスお嬢さんに声をかけたが反応がない。

 彼女だけは瞳をキラッキラさせてて夢見心地って感じなんだけど、無反応では放心状態と差がない。

 あの様子だと赤面を知っているようだし、それを一撃で仕留めたとあっては無理からぬことか。


 到着後にどんな報告をされるやらと思えば自然と溜め息が漏れた。

 向こうでの対応が軟化してくれることを期待しよう。

 ダメな時は予定通りガンフォールに頑張ってもらうってことで。


「あー、外してやってくれるか」


 ノエルたちの方へ目を向けて頼む。


「ん、わかった」


「まかせとき」


「しょうがないわねぇ」


 銘々から了承の返事があって、ホッと一安心。

 男の俺だと誤解を招きかねないからなぁ。

 何もしないという選択肢も無いではないが、到着してもこのままだとシャレにならんし。

 それなら締め付けから解放されるという刺激を与えることで気付けがわりになればって訳だ。


 エアバッグパッドが外れると「ほぅ」と息をつく声が聞こえてきた。

 割と平然としてそうだと思ったエリスさえも。

 さすがに他の面子のように呆然とした表情はのぞかせなかったけれど。


 改めてやりすぎたんだと思いはしたものの、それで結果も事実も覆る訳ではないのだから今更だ。

 記憶を封印しなきゃならないほどのことでもないし。

 着陸脚を切り離してオールレンジ攻撃を披露しなかっただけでも良しとしよう。


 なにはともあれ戦闘は無事終了したのだ。

 こういうのが続くのは勘弁願いたいので認識阻害と光学迷彩を使っておこう。

 というか倉庫から引っ張り出す時に両方とも切ったままにしてて使うの忘れてた。

 俺、アホすぎ。

 せっかくの機能を使わずしてどうするのか。

 もちろん内緒で使いますとも。


 2種類の魔法は魔導師組に感知されることなく発動した。

 芝居で気付いていない振りをしているというなら話は別だけどね。

 フェンリルの召喚は相当なトラウマになっているようで、俺が大がかりなことをすれば両名とも過敏に反応するので大丈夫だと思う。


 本当は思うじゃダメなんだが窮屈すぎるのも疲れるし自由が制限されるなんて真っ平だ。

 ギブソンみたいな悪党がいない世の中だったら我慢しなくてすむんだけどさ。

 だからといって俺がそういう連中を片っ端から消して回るのは違う気がするし。

 ただ、自動人形を使って情報収集ぐらいはしてもいいかもな。

 シノビマスターを頂点とする諜報部隊なんて面白いかもしれない。


 まあ、その辺の妄想は後にしておこう。

 コントローラーは召喚魔法の演出が面倒なのでポーチに放り込んでおく。

 最近使ってなかったけど、誤魔化すのには便利な道具である。


「さて、邪魔者は掃除したし昼飯にしようか」


「賢者様にとっては掃除レベルなんですね」


「我々だけではどうなっていたことか」


 護衛のダイアンやリンダがそんなことを言いながら諦観を感じさせる表情を見せていた。


「気にしたら負けじゃよ」


「「はい」」


 ガンフォールのフォローにも力なく答えるのが精一杯とは重症である。

 とはいえ護衛のトップにつく2人だけあって、他の面子よりは喋ることができるだけマシなようだ。


 そんなやり取りをしている間も月影の面々がササッと動いて誰も座っていない椅子を端に寄せていく。

 そして部屋の中央へと長机を集めてきて連結しクロスを掛けるとテーブルに早変わり。


「何処からテーブルクロスが……」


「まるで手品ですね」


「実際、手品なんだろう」


「賢者様が我々のことを気遣ってくださっていると?」


「そうに違いない」


 なんて声が聞こえてくるがスルーだ。

 勝手に誤解してくれるなら好都合ってものだからね。

 さすがに料理まで同じようにすることはできないけれど。


「はい、集合」


 うちの子たちを集める。


「用意していた料理を運ぶよ」


 さすがに料理まで召喚魔法の演出で引っ張り出す訳にはいかないのでね。

 かといってテーブルクロスのように手品っぽく見せるのも外連味がすぎる。

 ならばバックヤードから運んできましたという体にするのが無難だ。


「賢者様、何かお手伝いすることはございませんか」


 マリア女史が立ち上がって聞いてくる。

 座ったままでいるのは落ち着かない様子だ。


「そうだな、食事を持ってくるから配膳を頼もうか」


 うちの子たちを奥の部屋へと送り込むとマリアも付いて来ようとする。


「あー、奥には入れないぞ」


「そうなのですか?」


 足を止めて聞いてきた。


「関係者以外立ち入り禁止ってやつだ。魔法で弾かれるようにしてある」


「わかりました」


 入室許可がほしいと言われたら、どうしようかと思ったよ。


読んでくれてありがとう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記リンクをクリック(投票)していただけると嬉しいです。

(投票は1人1日1回まで有効)

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ