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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
99/1011

2-31 これは……

 これは……ニジマス。のように見えるもの。


「いただきます」


 あ、おいしい。お塩の加減がちょうどいい。


「ヨリちゃん、こっち来てから何食べた?」


 きちんと手を合わせていただきますをしたレインツリーさんが、丁寧なお箸使いでお魚の身をほぐしながら、私に尋ねてきた。


「えーと、初日のお昼がカレーとプリンで、お夕飯がお寿司、昨日の朝は焼き鮭の定食、お昼はラーメンと小チャーハンのセット、お夕飯はお好み焼き定食。今朝はハムエッグ定食ですね」


 どれもおいしかった。


「お寿司?」

「あ、トーチライトさんに、お寿司屋さんに連れて行ってもらったんです」


 お店の名前、なんだったかな。


「もしかして、ささのは?」

「そうですそうです、寿司割烹ささのは、です」


 確か、そんな名前だったような気がする。


「へー、あそこ行ったんだ」


 レインツリーさんがお味噌汁を一口飲んでから、ふむふむ、と頷いた。


「じゃあ、次は洋食だね」


 よし、とレインツリーさんが言った。


「今日の夜は、エレノアを誘って私が洋食屋さんにヨリちゃんを連れて行く」


 おぅ。


「でも、トーチライトさん、お忙しそうですよ?」

「あの子、ほっとくとずっと仕事するからね。無理矢理にでも休ませないと、身体壊す」


 あー。確かに、手を抜かない人、というイメージは、知り合って三日目にして既にあるなぁ。


「というわけだから、今日の晩御飯は、おばちゃんに任せておきなさい」


 おばちゃんって。


「ヨリちゃん、幾つ?」

「年齢ですよね」

「そーそー」

「十九歳です」

「わかーい」


 んーむ、なんか、会話のペースを握られ始めているような。


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