2-30 そうです
そうです、と頷いたら、ご飯行かない、奢るから、と切り返されて、そのまま連れ出された先は、湖の畔にある、川魚料理おしちだった。
「そのツインテール、自分でやったの?」
「美容室の方にお願いしたのを、前日の夜に構造を覚えておいて、今朝、時間をかけてどうにかこうにか」
塩焼きの川魚から刺さっている串を抜きつつ、二人でしている会話の内容は、私の懸念とは先ほどから遠い内容ばかりだった。
転生者組合第三支部から出て、それなりの距離を歩いたけれど、当たり障りがない、としか言いようがないことばかり、レインツリーさんは話しかけてくる。話すうちにすっかり打ち解けた気分になったのは、レインツリーさんの話術の力なのかも知れないし、あと、目線の高さが同じだから話しやすいというのもあるかも知れない。レインツリーさんは、エルフの中でも小柄な方なのだそうだ。
「美容室って、エリス?」
「そうですそうです」
そうか。リードウィンドさんとお知り合いなのか。
「お知り合いですか?」
「うん。あの子が産まれた時から知ってる」
……この人、何歳なんだろうな。
「あたしの年齢のことを考えたね?」
「いやっ……」
「ヨリちゃん、分かりやすかったり分かりにくかったりだね」
はは、とレインツリーさんが笑った。
「こっち来た時の年齢は十二歳」
小学生じゃないですか。
「そうなのよね。小六ぐらいなんだけど。今よりももっとちっちゃかった」
「エルフさんって、ある程度まで、人族と同じように成長するんですか?」
「そーそー。だいたい、二十歳ぐらいまでは普通に。そのあとは、すごくゆっくり。だから、エルフ目線で見るとあたし、わりとおばちゃんなのよね」
へー。
「ま、こういうことはそのうち、いくらでも話す機会があるだろうし。熱いうちに食べよう食べよう」
ですね。




