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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
96/1011

2-28 HYO

 HYO(ヒョ)!?


「両手上げて驚くようなこと?」


 いやー、あー。

 思わず、アメリカンなオーバーリアクションが出てしまいました。


「人族以外に転生者(リレイター)はいないと、思い込んでいたので、つい」

「へー」


 眼鏡を鼻眼鏡ポジションにして、レインツリーさんが私をじっと見た。


「ヨリちゃんさー」


 馴れ馴れしい系の人か、この人。


「えー、まだ出会ったばかりなのに、下の名前混じりのあだ名呼びとか、あたし、恥ずかしいずら」


 とりあえずの小ボケ小芝居ジャブを。


「ヨリちゃんさー」


 駄目だ、聞いてねぇし、効いてねぇ。


「どうして、王立図書院の設立が人族によるものなのか、という質問をしたの?」

NYOoooo(ニョォォォォ)……」


 ……まぁ、いいか。


「魔法は、人族以外の命ある者が使えるんですよね」

「うん。動物とか植物も使える」


 あ、命ある()じゃなくて、命あるもの(・・)なのか。

 ならばなおさら。


「こう、種族ごとの力、という理解の仕方もできますよね?」

「あー、うん。エルフの魔法、猫の魔法、樫の木の魔法、みたいな分け方ね」

「そうですそうです」

「それで?」

固有技能(ギフト・スキル)を、転生者(リレイター)という種族の魔法だと見なせるのだとしたら、魔導学は魔法の再現を目的にしている以上、固有技能(ギフト・スキル)を研究の対象にしてるのかなぁ、と思ったわけです」


 この人には正直に、思っていたことを言おう。なんか、そうした方がいい気がする。


転生者(リレイター)は、人族以外にいないのだと、そのー、思っていたので、だとしたら、設立した人族が優先的に固有技能(ギフト・スキル)の研究をするための組織が、王立図書院なのかなー、と」


 転生者(リレイター)尽力(・・)は、私、転生三日目ですけど、既に色々と見てきたので。その成果がこの世界のそこいらにあるということは、みんなで研究して、こう、共有してたりとか。


「つまり、それを確認するための入口の質問だったわけか」


 ぐ。


「まぁ、はい、そうっす」


 ということは、とレインツリーさんが眼鏡を鼻眼鏡ポジションからニュートルポジションに戻した。


「ヨリちゃん、王立図書院に関わりを持ちたくないの?」


 ……鋭いな、この人。


「私、エレノアからあなたの固有技能(ギフト・スキル)のことは聞いてないのね。あの子、そういうことをぺらぺらしゃべるような子じゃないし。シバもだけど」


 コールズさんも下の名前で呼び捨てか。


「だから、推測だけどさ。ヨリちゃんの固有技能(ギフト・スキル)、なんか、やばいの?」


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