1-9 固有技能の名称
「固有技能の名称と、どんなことができるのか、あなたが現状で理解できているところまででいいですから」
ものすごく私を見たままのトーチライトさんから、補足が。
ふむ。
「あのー、お話しするのはやぶさかではないのですが、どういう理由で、なんでしょか」
「言葉足らずだったな。悪い。固有技能の危険性みたいなものを、事前に把握しておきたいからだ」
危険性。
「過去に何か、転生者が悪ふざけに過ぎることをしたりとか?」
「いや。それはない。犯罪とか、そういう意味だよな?」
うぃ。
「転生者の方々が、この世界に対して危害を加えた、といった事例はありません」
今度はトーチライトさんが答えてくれた。まぁ、コールズさん、転生者だし、当事者が答えても、ということなのかなーと、勝手に思っておく。
「保険みたいなものですか」
「そう理解して頂いて、問題ありません」
ふむ。
「了解しましたです。えーと、固有技能の名称と、できること、ですよね?」
「そうです」
名称。むーん。
「名称、というのは、転生中、とでも言えばいいんですかね。あの時のやり取りで出てきたやつですか」
そうだ、とコールズさんが頷いた。
「えーと、お見せした方が早いと思うので……こうかな」
一点を見つめて、そこに、ぐっと気持ちを入れて触りますと。
おー、出てきた。
「〈ステータス画面〉という名前で、このように」
私が触れた先に浮かび上がった半透明の板状のものを手に取って、お二人に見えるように、くるっとした。
「私の秘密の情報がびっちりばっちり丸見えですよ……ですよね」
無言のままのお二人をそのままに、自分でも改めて見てみた。うん、大丈夫。名前、年齢、性別などなど。その下の方にスクロールさせると、能力値、技能、装備という項目があったりとか。
「あー、私、十九歳らしいです」
お二人さんは、まだ無言。
「えい」
呼び出した半透明の板状のものを、両手で折るようにすると、消せた。
「あのー。消しちゃいましたけど、これが私の固有技能です」
まだ無言。
「あのー」
「いや、すまない。立派な固有技能だと俺は思うよ」
「ええ。好きな時に自分のステータス情報を見られるのは、私も素敵なことだと思います」
なんか、微妙な反応? トーチライトさん、声、裏返ってるし。
どういうこと?




