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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
81/1011

2-13 ありが

 ありがとうございましたです、ともう一度頭を下げてから、私は部屋を出た。

 グリーンリーフさんは、エリス美容室のお二人に、このあとのことについてのお話があるらしく、部屋に残った。スプリングフィールドさんは、私の真横にいる。


「お昼にしましょう。食堂に行きましょうか」

「了解です」


 食券は余分に持ってきているから大丈夫。銅貨も、コールズさんからもらったのが三枚ある。


「お食事のあと、申し訳ないのですが、職員部屋の小会議室で身だしなみのお話をさせて頂いても、よろしいですか?」

「や、もう、それは全然、大丈夫です」

「恐れ入ります」

「いえいえ」


 二人でそのまま、特に話すこともなく、横並びに並んで道なりに歩いていくうちに、食堂に続く通路に出た。


「混んでますかねー?」

「職員は時間をずらして昼食に出るようにしているので、席が空いていない、ということはないと思います」


 なるほろ……あ、ほんとだ。先客は、むーん、十人ぐらいかな。はじめましての種族の人はいなさそう。というか、みんな、人間……じゃなかった、人族(ひとぞく)か。

 人間は、他の種族も合わせた意味になるんだった。トーチライトさんに教わったばかりの新知識。こういうことも、頭の中にしっかり入れておかなければ。


「お先にどうぞ」


 あ、すいません。

 おばさんの前には、待ち人はいない。トレイを手にしたところで、おばさんと目が合った。


「どもです」

「いらっしゃい」


 さて。昨日のお昼はカレーのセット。今日の朝は朝定食のAセット。転生二日目のお昼ご飯は。


「ラーメンのセットをお願いします」

「はいはい。ちょっと待っててね」


 あ、お水。

 と思ってコップにお水を入れている間に、おばさんがラーメンを持ってきてくれた。

 早い。


「はい、ラーメンね。チャーハンはもう少し待っててね」


 はいっす。

 と言ったそばから。


「できたぞ。ほら」


 おじさんがチャーハンを持ってきて、トレイに載せてくれた。


「髪、切ったのか」


 へ?


「はい、さっき、美容師さんに切って頂きまして」


 テールの位置を少し、低いところにしてもらった。結んでいるリボンは、クリムゾンカラー。


「似合ってるよ。良かったね」


 おばさんがにこにこしながらそう言った。

 ほっ!?


「えーと、あのー、いやー、はっはっは、ほっへっへ」

「私も、お似合いだと思います」


 真後ろからスプリングフィールドさんの声が。おじさんも、なんとなくだけど頷いているように見える。

 おー……、なんか、急に恥ずかしくなってきた。


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