2-10 どもども
どもども。
「中にお入りください」
にっこり笑って、ドアを開けてくれたグリーンリーフさんが会釈をしてくれた。
「ほいでは、失礼しますです」
部屋の中にあった机の類は窓のある方に寄せてあって、上には、多分、美容師さんが持ち込んだ道具が置いてある。真ん中の空いたスペースには、背もたれのある椅子と姿見。椅子の近くには、二人の女の人が立っていた。小柄な人の方は、見るからに緊張している。
私から何か、言った方が良さそうだ。
「今日は、よろしくお願いしますです。ヨリコ・ブロッサムと申します」
ぺこり。
「ぺ、ぺこ……?」
小柄な人は混乱している。
「こちらにおかけになってください。シアン、お願い」
「あ、はい、こ、こちらにどうぞ」
グリーンリーフさんとスプリングフィールドさんを振り返ってみたら、スプリングフィールドさんが、頷きながら、どうぞ、と言った。
そんでは、よっいこしょ。
「はじめまして。エリス美容室のエリス・リードウィンドと申します。この子は私の助手で」
そっと、リードウィンドさんがシアンと呼ばれた小柄な人を促した。
「し、シアン・ファイアストーンと言います、はじめまして」
「はじめましてー」
むーん?
リードウィンドさんもファイアストーンさんも、なんとなく、なんだけど。
もしかして?
鏡を見たら、いかにも考え込んでいるというふうな顔をしている私がいた。
リードウィンドさんが、穏やかに笑った。
「私はエルフで、この子はドワーフです」
やっぱり。
「あ、そうなんですか」
私が転生者だっていうのは、この人たちは知ってる……よな。だからここにいるんだろうし。
でも、自分からも言っておこう。
「私、昨日から転生者をしておりますです」
ぐふ、とファイアストーンさんが笑った。笑いの沸点、低めか、この人。




