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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
78/1011

2-10 どもども

 どもども。


「中にお入りください」


 にっこり笑って、ドアを開けてくれたグリーンリーフさんが会釈をしてくれた。


「ほいでは、失礼しますです」


 部屋の中にあった机の類は窓のある方に寄せてあって、上には、多分、美容師さんが持ち込んだ道具が置いてある。真ん中の空いたスペースには、背もたれのある椅子と姿見。椅子の近くには、二人の女の人が立っていた。小柄な人の方は、見るからに緊張している。

 私から何か、言った方が良さそうだ。


「今日は、よろしくお願いしますです。ヨリコ・ブロッサムと申します」


 ぺこり。


「ぺ、ぺこ……?」


 小柄な人は混乱している。


「こちらにおかけになってください。シアン、お願い」

「あ、はい、こ、こちらにどうぞ」


 グリーンリーフさんとスプリングフィールドさんを振り返ってみたら、スプリングフィールドさんが、頷きながら、どうぞ、と言った。

 そんでは、よっいこしょ。


「はじめまして。エリス美容室のエリス・リードウィンドと申します。この子は私の助手で」


 そっと、リードウィンドさんがシアンと呼ばれた小柄な人を促した。


「し、シアン・ファイアストーンと言います、はじめまして」

「はじめましてー」


 むーん?

 リードウィンドさんもファイアストーンさんも、なんとなく、なんだけど。

 もしかして?

 鏡を見たら、いかにも考え込んでいるというふうな顔をしている私がいた。

 リードウィンドさんが、穏やかに笑った。


「私はエルフで、この子はドワーフです」


 やっぱり。


「あ、そうなんですか」


 私が転生者(リレイター)だっていうのは、この人たちは知ってる……よな。だからここにいるんだろうし。

 でも、自分からも言っておこう。


「私、昨日から転生者(リレイター)をしておりますです」


 ぐふ、とファイアストーンさんが笑った。笑いの沸点、低めか、この人。


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