2-7 ……ふへ
「……ふへーー」
机に身体をくっつけると、胸が乗って楽だ。
こう、魔法的な何かで胸を楽にするような力のあるジャブラジャーラとか、ないのかな。
少し、浮かせるとか。
「コールズだ」
ドアをノックする音に続いて、コールズさんの声が聞こえてきた。
「ブロッサム、入るぞ」
「あ、はいはいはい」
ドアを開いたコールズさんの後ろに、スプリングフィールドさんの姿が見えた。
立ち上がっておこうかな。
「申し訳ないんだが、支部長に急用ができた。俺もこれから、外に出る」
おぅ。
「スプリングフィールドをお前につけるから、このあとも予定通りに動いてくれ」
待たせてすまなかった、とコールズさんが頭を下げ、そしてスプリングフィールドさんも同じように頭を下げてきた。
「いやいやいやいや。急なご用事なら仕方がないです」
「それから、支部長からの伝言だ。この埋め合わせは必ずします、だそうだ」
いや、もう、そんな、いいのに。そこまで気を遣って頂かなくても。
「すまんが、あとはスプリングフィールドに任せる。じゃあな」
「あ、はい、お気をつけて」
あぁ、と頷いて、コールズさんは去って行った。
「それでは、ここからは私が引き継ぎます」
「よろしくお願い致しますです」
「こちらこそ」
で、えーと。どうしましょう。
「お荷物を片付けて頂けますか。このまま、美容師の方が待機しているお部屋に、ご案内します」
あ、はいはい。お、メモパネル出したままだった。
「ポチっとな」
メモパネルを閉じて、時計はエプロンのポケットに。スプリングフィールドさんが不思議そうな顔をしている。
「あ、これは、私の固有技能の産物でして」
「色々なことができるんですね」
「まだ、研究中でありますですよ」
忘れ物はない……かな。『転生者のための世界知識』は紙袋に入れたし、あとは、予定が書いてある紙と。
うむ。問題なし。
「準備できましたです」
「では、こちらです」
ドアを開けて待ってくれていたスプリングフィールドさんの前を、おじさんチョップで空間を連打しながら通った。




