1-65 技能階梯
技能階梯は、10。
必要な技能点は……45。
手持ちの技能点は4だから、足りないのは、41。
レベルの上昇に伴う技能点の獲得量は、1。
つまり、私はレベルが42になったら、魔物をこの世界から消せる。
「……いや」
違う。消すんじゃなくて、いなかったことにする、か。
それは……いいのか?
魔物との戦いの歴史が前提になって、この世界が発展してきているように思える以上、魔物をいなかったことにしてしまったら、なんか、こう、世界が矛盾だらけになるような気がする。
「あー、分からん!」
こういう時は、頭の中身を箇条書きで取り出すに限る。
・〈異世界消却〉は、技能階梯の上昇によって獲得する技能要素の効果により、消却対象を選択することができるようになる
技能階梯が上がると、世界の部分に対して干渉できるようになる。
うん。多分、そういうことだ。
技能結晶化のことは、今は忘れよう。
・消却とは、その対象を最初から無かったことにする、という意味である
これだ。問題は。
元々あったものを、無かったことにした場合、何が起きるのか。
それが、全く分からない。
この世界の人たちが、困ることになるかも知れない。
・〈異世界消却〉は、その効果に多くの不確定要素を含む
・従って、〈異世界消却〉について、その全ての技能要素を使うべきではない
「うん。私の胸の中だけに留めておこう。これは、人に知られたら駄目なやつだ」
表示制御プラグインを呼び出して、改めて、完全非表示に指定した上で、パスワードを設定した。
「こうしたところで」
使えなくなるわけではないけど。
「なんか、まぁ」
今日のところは、これでいい。これ以上のことは、今の私にはできない。
「ともかく」
この世界を私は消したくないし、この世界の部分を消却した結果、トーチライトさんとか、コールズさんとか、今日、出会った全ての人たちが困る姿を見たいとも思わない。
だから、できることをしよう。
「はー。……そうか」
私は、この世界の人たちが困るのが、嫌なんだな。
「なるほど」
そっか。
「よし」
〈異世界消却〉のことは、置いておこう。今日一日で結論を出すのは、早過ぎる。
「ほいでは、〈ステータス画面〉の方を確認しますかね」
まぁ、こっちは自分のステータス情報を見るだけだし。
「しっかり、理解しておかなければ」
自分の力なんだから、無責任なのは駄目だ。
「むー。む? そういえば」
技能階梯1に対して、技能要素の数が二つ以上というのは、他の技能でもそうなのかな。
なんか、当たり前に受け入れてしまってたけど。
「〈ステータス画面〉も、技能階梯によっては、プラグインの追加以外の技能要素があるかも?」
ぐぬーん。こっちもまだ、ちゃんと把握し切れていない。
「時間をかけて、見ていくしかないな」
おおぅ、数が……むーん、むーん、むーーん……。
「駄目だ、眠い」
ほへーー……へ?
「装備鑑定プラグイン?」




