1-58 お邪魔
「お邪魔するわね」
トーチライトさんも、お荷物、すいませんです。
「これぐらい、いいわよ別に。台所でいいのよね?」
「はい、お願いします」
トーチライトさん、あの箱、片手で抱えられるのか。もしかしたら、そんなに重くはないのかな。
あとで挑戦してみよう。
さて、お二人が脱いだ靴を揃えて、と。
「おーい、ブロッサム、これでいいか」
ぬ? 台所の方から声が。
「ちょっと、お待ちくださいましでーす」
そういえば、靴、部屋に入る時に当たり前のように脱いで、そして何の疑問も持たなかったけど。これって、この世界では普通のことなのだろうか。
まぁ、いいか。コールズさんもトーチライトさんも、そうしてるし。
「はい、何でございますですか」
「とりあえず、並べておいた。これでいいか」
台所の流し台の前に、几帳面に揃えて並べられた箱が三つ。
「はい、大丈夫です」
「よし。これ、受領証な」
受領証。あー、受け取りました、という証明書みたいなやつですね。
「ああ」
「名前を書けばいいんですかね?」
「そうだ。ここに頼む」
えーと、書くものが。
「これを使ってくれ」
んーと、これは、鉛筆?
「の、ようなもの、だ。消したりはできない」
ほーほー。
えー、ヨリコ、ブロッサム、と。
……普通に私、この世界の文字、書けてるな。メモプラグインを使った時も、意識してなかったけど、こちらの世界の文字でメモを書いていたのか。
うーむ。
「どうかしたか」
「いえ。文字、書けるんだなーと思っただけです」
気にしてもしょうがないから、深く考えるな、ですよね。
「そういうことだ」
はい。
「中身の確認はしておく? 多分、中に品目の一覧が入ってるはずだけど」
「いえ、大丈夫だと思います」
多分、男子であるコールズさん的に、気まずくなるものも入っているような気がしますです。
「……かもな」




